山名淳編『記憶と想起の教育学』

『記憶と想起の教育学』(勁草書房)
「教育学」と題されてますが、歴史的事件(ホロコーストや震災)を教育の題材にすることから、ルソーやアーレントの思想にとっての「記憶」の意義、記憶の「継承」の問題など、広く人文学的なテーマを取り上げています。

https://www.keisoshobo.co.jp/book/b616924.html

声をかけていただいて、私も門外漢ながら震災や原爆、ホロコーストを扱った文学作品での「証言」に焦点を当てています。
なかでも、証言の「真」と「虚」(それは「虚偽」でもあり「虚構」でも)をめぐるものだったなと今にして思います。自分の関心のおもむくままに北条裕子「美しい顔」、アラキ・ヤスサダの詩、ビンヤミン・ヴィルコミルスキー『断片』など、自分にはチャレンジングな題材でしたが、取り組んでみて今後の糧となるものをたくさん得られたと思います。

 また編者山名淳さんはエアル『集合的記憶と想起の文化』(水声社)の訳者でもあります。ドイツは記憶の文化研究が盛んな地域で、山名さんも教育学の観点から歴史的事件を扱う編著『災害と厄災の記憶を伝える』があり、拙著で取り上げた広島の高校生による原爆絵を精力的に研究されてます。

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