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文章スケッチ▽コロッケ定食

12時。昼休みのチャイムが鳴ると、私は勢いよくパソコンをロックして立ち上がった。
向こうから一緒に昼食を食べようと弁当を持ってやってきていた同僚の高橋が、私の様子に驚いて目を丸くしていた。

「今日、社食だから」

そういうと高橋は、私の様子に納得したようにうんうんと頷いて見せた。

五階から階段を下りながら、今日食べる予定の菜の花とチーズ入りコロッケについて思いを巡らせる。
月初めに掲示板に食堂の献立が張り出された日から、ずっと楽しみにしていた菜の花とチーズ入りコロッケ。

予想としては、ポテトコロッケにチーズが練りこんであり、細かく切った菜の花が入っているのではないかと思っている。

前を歩いていた二人連れのおじさん社員もコロッケの食券を買っていて、私は一人「やっぱりね、わかってるね」と心の中で盛り上がっていた。

食堂には内勤の人から工場勤務の人まで、同じ敷地で働いている多様な職種の人が集まってくる。
私は全体が見渡せる場所に陣取って、みんなが幸せそうにご飯を食べている様子を眺めた。

私が頼んだ今日の日替わりメニューは、米と味噌汁、キャベツの千切りにレンコンとごぼうのきんぴら、そして菜の花とチーズのコロッケだった。
米とキャベツの千切りにはそれぞれふりかけとドレッシングを選ぶことができるが、私はシソ風味ふりかけと胡麻ドレッシングを選んだ。

まずは、はやる気持ちを抑えてキャベツの千切りをゆっくり嚙んでいただく。
先日ドラッグストアの機械で測った時、糖化数値が高かったことを気にしているのだ。
血糖値を上げないためにまずは野菜から食べていく。うん、美味しい。

キャベツを食べ終えて、ついにあつあつのコロッケを箸でつまみあげ、齧り付いた。
中は意外にもクリームコロッケだった。サクサクの衣で守られていた柔らかいクリームがじゅわりと溢れ出した。まるでクリスマスにもらったお菓子が詰まったブーツを開けた時のような気持ちだ。
チーズはチェダーチーズのような、香ばしくジューシーな味がする。
肝心の菜の花だが、クリームの中にたまに混じっている緑色がそうなのかと思える程度で、味までを感じることはできなかった。
残念だが、菜の花をコロッケに入れるというアイデアは頂けたということで納得しておこう。

シソ風味のふりかけは、紫芋のような鮮やかな紫色で、鼻を近づけた時は香らなかったのに口に入れた途端爽やかなシソの香りが広がって驚いた。

楽しく食事をして外に出ると、ツバメが三羽元気に飛び回っていた。

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