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はじめての労務業務「年度更新」編

※この記事は、2022年に別の機会で公開した内容を再編集して公開しています。

こんにちは。今回は「年度更新」の実務についてとりあげたいと思います。「年度更新の実務をはじめてやるけれど何をやればいいか全くわからない」方や「実務をする予定はないけれど年度更新に興味がある」という方に読んでいただければ幸いです。

ご注意
この記事は「年度更新の全体の流れをざっくり・なんとなく理解できるようにする」目的で作成しました。細かい実務の手順については記載していません。また、本文中の文言については法律上の正確さを保証していません。
年度更新の正式な手順や決まりについては、厚生労働省のWEBページをご参照ください

そもそも年度更新ってなあに?

事業主は、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付(労働保険の保 険料の徴収等に関する法律第15条)と前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第19条)の手続が必要です。これが「年度更新」の手続です。

令和5年度 労働保険年度更新 申告書の書き方

「年度更新」とは、労働保険にかかる保険料の精算手続きのことです。
労働保険とは、ざっくりいうと労働者に関する保険です。業務上の原因による私傷病への補償を行ったり(労災保険)、雇用の安定を維持したり(雇用保険)することを目的としています。雇用保険の制度で特に知られているのは、失業給付ですね。

労働者を雇っている会社は労働保険に加入する義務がありますが、会社が労働保険に加入する際には、前払いで保険料を支払います。
保険料は、会社が従業員に支払った賃金額を元に計算します。初年度では、保険加入日以降の保険年度内に支払われる見込みの賃金総額から保険料を算出します(概算保険料)。

前払いしたということは、どこかで精算する手続きが必要ということになります。会社は、毎年6月1日から7月10日(土日祝が含まれる場合は12日または11日)までの間に確定した保険料を申告し、納付した保険料との精算を行います。
この精算手続きのことを「年度更新」といいます。年度更新の際には、提出年度分の保険料の前払いも行うため、年度更新の手続きは事業が続く限り毎年行うことになります。

実務のながれ

1)郵便で書類を受け取る

年度更新の時期が近づくと会社宛てに年度更新の案内が届きます。(緑色の角2封筒で届きます)
電子申請をする場合でも、書類は捨てないで取っておきましょう。申告書用紙に申請に必要な情報が記載されています。

2)賃金データを集計する

年度内(4月~3月)に支払われた賃金を集計します。
賃金集計には「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表(賃金集計表」を利用します。
※集計表形式を利用した計算支援ツール(Excel)も公開されています。

集計の際には、主に以下のデータが必要になります。

  • 労災保険だけに加入する人の人数と賃金:年度内各月分

  • 労災保険と雇用保険に加入する人の人数と賃金:年度内各月分

  • 役員(通常は労働保険に加入しない人)で労働保険に加入する人の人数※役員としての業務でない部分にかかる賃金を集計します。

ポイント
賃金として算出するもの・しないものはこちらで確認できます。

3)集計結果を申告書へ転記し、保険料を算出する

「労働保険概算・確定保険料等申告書」に記入します。
2)で作成した「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表(賃金集計表)」の集計結果を転記し、保険料を算出します。
保険料率は、会社の業態やメリット制の適用の有無(労災のみ)により異なります。申告書の原本に印字されている数字をご確認ください。

ポイント
2022(令和4)年度は、年度内に保険料率の変更があったため、保険料の算定の際に、例年と異なる対応が必要です。

4)申告書を提出する

郵送または電子申請で提出します。

5)保険料を納付する

銀行振込、電子納付、口座振替が選べます。
※口座振替の場合は事前の手続きが必要です。
保険料が一定の金額以上になる場合は、3回の分割払い(延納)とすることができます。

以上、年度更新の実務の流れをざっくりご紹介しました。
基本的には、給与計算結果から作成可能な手続きですが、毎年ちょっとだけ(?)面倒な作業ではあります。
なお、海外派遣者の特別加入等がある場合は、別途手続きが必要なため面倒度がもう少し上がります。


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