映画『南極料理人』感想

夜中にラーメンが食べられなくなると、眠れなくなる。そういうことがある。よくある。ということを教えてくれた映画だった。

南極で、ラーメン(袋麺)の在庫がなくなった。夜中にそれを食べていたきたろうは、食べられなくなって眠れなくなった。終盤で、料理人である堺雅人がなんやかんやでラーメンを自作しみんなに振る舞う。良い話。

この映画はラーメンの映画ではなくて、南極で一年を過ごすことになった八人の物語だ。主人公である料理人の堺雅人は海上保安庁の人で、他にも医者や学者、自動車関係の人などがいる。というか、八人全員が主人公でもあるし、全員が主人公というよりは脇役っぽい。

それが普通なんだよなと思う。主人公みたいな人間なんて、そうそういない。いるとしても、そいつはただの馬鹿である可能性が高い。

話を戻そう。ラーメンだ。夜中にラーメンが食べられなくなると、眠れなくなる。それを堺雅人に告白するシーンが、きたろうの演技含めてめちゃくちゃ面白かった。その切実さ、分かるよ。分かりすぎる。となって爆笑した。

そういう、人間の切実なんだけど側から見たらくだらない情けなさを映画で観たのはもしかしたら初めてかもしれない。南極という設定だからこそ表現できた、人という生き物の根源的なしょうもないけどしょうもなくない情けなさ、愛おしさ。めちゃくちゃ良かった。

日本でラーメンが食べられなくて眠れなくなるなんて、まずないよなあ。あったとしても、響かないと思う。


#南極料理人
#映画

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