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大人になると友達が…と言うけれど

大人になると友達が減る、とよく聞いてきた。
それぞれの価値観が明確になり、ライフスタイルもそれに合わせて変わっていく中で、自ずと友達との共通点が少なくなっていく。会って話をする時間も物理的に取れなくなっていくし、会話をしても「もう話が合わなくなったな」と感じる瞬間が増えて、結果的に友達が減るのだと。

元々友達が少ない私の感覚だと、そこまで減ったという認識はない。確かに上記のような経緯で会わなくなった友達もいるけれど、逆に大人になってからできた友達もいる。私の友達の4割くらいは大学卒業以後にできた友達だと思う。誰かと疎遠になると代わりに新たな環境の誰かと親しくなる、ということを繰り返しているようにも思える。

高校生くらいまでは、好きでも嫌いでも関係なく日々同じメンバーと会う。今でも、恋愛している時などにはそのシステム有り難かったなと感じることもあるが、学校に通っていた頃はそんなことは思っていなかった。毎日同じ誰かとつるんでも、次第に面倒くさくなってしまう。でも「明日からあなたとは話さない!じゃあね!」なんてパチっと現状を変えることも不可能。だからさりげなくフェードアウトしようとするけど、そんな上手くはいかなくて、悪口を言ったり言われたりみたいなことになってようやく距離を置く。ということもあった。
取る授業、趣味、知ってる先生、クラスメイトのこと…共通点がたくさんあるのはいいことだけど、だからこそ仲が深まるほど違いに目がいってしまったり、自分と相手を同一視しすぎてしまったりして、相手への期待が膨らむ…それが結果的に仲を引き裂く根本的な要因になることだってある。
高校の途中くらいから、誰かと一緒に行動しようとすることをやめた。大学の履修登録も、1人で気ままにやった。その先で運良く友達がいればラッキーだし、いなければ前列の席で真面目に講義を聞くことにしていた。私の場合は卒業後の進路も、周りの友達と比較すると少し異なる方面に向かったので、かつての友達との現在進行形の共通点はもうほとんどない。
でもそれが、今は少し気楽だ。
元々あまり他人の細かい情報(どこに勤めているとか、休日どこ行ったとか)に関心を持つのが苦手で、大学生の途中から、XやInstagramでリアルな友達と繋がるのをやめた。LINEも電話もあまりしない。会話の中で、「〜したほうがいいよ」など、「その人には効果があったかも知れないけど、その人と背景や状況が異なる自分にそのまま活かすことができるのか分からないようなアドバイス(良かれと思って言っているのかもしれないけど、たびたび押し付けに聞こえる)」を受けることがあまり好きではない。人に介入されるのが嫌だから、私自身も他人に介入するような言葉は極力使わないようにしている。「私は、こう思う」「私だったら、こうなるかも」「現状は、こう思ってる」というように、英語で喋ってるんですかって感じだけど主語の主張を少し強めにして自己表現する。

相手の状況を深掘りして知ろうとしたり、他人の悩みに介入したり、同一視しようとしたり、今のままの相手でい続けてくれると期待したり。そういうのが人間関係の悩みの根本にあることは少なくないと感じる。だから他人にそれらをしないように意識する。同時に、他人にもそれらをさせないことで自分の価値観も守る。
そういう人間関係の築き方が、学生時代と比べると表面的で冷たく感じるからこそ、大人になると友達が減ると感じるのだと思う。でも、元から共通点が少ないからこそ過度に期待することもなく、元から「自分や他人の価値観が変わっていくのは当然」と捉えるからこそ関係が疎遠になっていってもそういうご縁だったのだと考えることもできる。運良くいくつもの共通点が見つかれば、学生時代より嬉しく感じることもある。
私は、近からず遠からず、自分と他人という個を意識しながら心地よい距離を保つやり方が好きだ。だから、大人になると心からの友達が少なくなって寂しいな、と感じることは、今のところそれほどなかったかもしれない。


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