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アンダーカレント Undercurrent

「人を分かるって、どういうことですか?」

その人と一緒に過ごし、思考や行動のパターンを何度も目の当たりにしている。その蓄積があるから、ある出来事に対してその人が何を思ってどう行動するのか、ある程度その通りになる可能性の高い予測ができる。
それが、その人を分かっているということじゃないか。
私はそう思っていた。

でも、どんなに深く関わっていても、他人を全て分かるなんてことはあり得ない。
だって、自分のことすら本当はよく分からないでしょう。
常に矛盾した感情が同居しているのが人間なのだから。
この映画に、そう言われた気がした。

「悲しみなんてものは、ひとりで抱えるものじゃないよ」

思いっきり引っ叩いていい?と言いながらも最後に出てくるのは愛のある言葉だったり、
出ていくつもりでいたのにバスに乗らずまた薪を割っていたり、
自分でもよく分からない感情、矛盾、と感じるけれど、感情というものは一色ではなく本来そういうものだと思った。

堀さんは何も放出しないようでいて、その、内に秘めているというか押し込めている感じが常にあった。
かなえが最後の方、本当はどじょうがあまり好きではないと打ち明けたシーンは、元夫との関係を経て今度は正直な思いを伝えられる人間関係をまず目の前の人と築きたいと思った表れかもしれない。

最後、かなえの後ろに少し離れてついていく堀さんは、これから彼女との人間関係をどう築いていくんだろう、と思った。

原作は読んでいないが、大切なことを静かに教えてくれるような素敵な作品だった。


I was impressed by what the detective said in the film:
"What does it mean that you understand him?"
I realized that I can't completely understand the people around me, even though I spend a lot of time with them. Additionally, sometimes I don't know what I really think myself.

People always have complicated minds, and that is human nature.
The film teaches me that.

I have been interested in Hori-san. When he talked with someone including Kanae, he always seemed to keep his own thoughts deep in his heart.

I was touched when Kanae confessed that she didn't like loaches so much. She seemed to want to have a relationship with Hori-san with no lies.

In the last scene, Hori-san walked far behind Kanae. I have hoped he eventually talks about what he really thinks with her.

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