就活戯言日記16
ついに来てしまった。私は地元の友人と3人でよく傷をなめあい、海まで歩き、社会への冒涜を唱えていたのだけれどついに二人とも内定をもらったらしい。嬉しいのとああついに来てしまったという複雑な感情だ。
正直言って私は二人に比べて何にもしていなかった部類の人間であるため当然といえば当然なのだけれど、グループラインでの愚痴や海に散歩に誘う理由付けというのがなかなか難しくなるのだ。どうしたって気を使う。私自身自分のペースで行えばよいのだけれど、もうそうもいかないらしい。
就活に対しての戯言はたくさんある、圧迫面接なんていつでもチクれる環境下でよくできるなとか、スーツのスカート丈のこととか、定型文みたいな履歴書とか。それを言い合える人たちに気を使わせるのは申し訳なさでいっぱいになるのだ。
今日、地元のカフェでお茶をする約束をしていた。そして彼女が内定をもらったと教えてくれた。その時私はキチンとおめでとうと言えていただろうか。もし、立場が逆であればきっとおめでとうとキチンと言えてなくても責めることはないだろう。そういう仲の友人間だ。だけど、心から嬉しいのと待ってくれという狭間で駅からカフェまでの道のりを歩いた。
コロナの関係で座席が全て同じ方向でよかった。カップルシートみたいな席しかなかったため二人とも同じ方向を向いて座っている。今、目をみて会話する自身はないのだ。
帰ってきてもなんだか複雑な感情は止まらなくてアニメを見て紛らわそうと、小説を読もうと、企業研究にでも励んでみようとも、何にも手につかないのだ。というか企業研究ってなんだ。
早く二人のように卒論のことで頭がいっぱいになりたい。ラジオの研究を早く進めたい。今週、初めての対面での面接がある。マスクに薄く香水でもつけて落ち着かせようと思う。