生徒指導の先生
私の通っていた高校には、学校の象徴とも言える名物生徒指導教諭が居た。
まず出立ちそのものがとても教師には見えない。初めて彼の姿を目にした時は、
『親父が見ていたミナミの帝王の中にこんな人出てきてたなぁ』
と思ったものだ。スーツ姿というのがまたいけない。恰幅の良い体型に、内側に傾斜のかかったメガネ。そして手に持った竹刀が、任侠ドラマさながらの威圧感を倍増させている。
校門の前では、竹刀を手に仁王立ちした生徒指導教諭が生徒たちを迎え入れる。制服の着こなしに乱れがあったり、態度の悪い生徒はその場で取り押さえられて生徒指導室へと連行されていく。一見ヒヤッとする光景だが、その様子は我が校の日常風景であった。
ある日。担任が慌てて教室へ駆け込み
「急遽全校集会になったから早く体育館へ行け」
と急かすので、言われた通り体育館に向かうと、ステージの上で眉間の皺が【怒】の文字を形成している生徒指導教諭が、竹刀を手に仁王立ちをしていた。
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