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六花落々 西條奈加 著

下総古河藩の下士小松尚七は、雪が降るたびに、欠片の一粒一粒が、どのような形をしているのか確かめたくて。城下に流れる川の畔で、降る雪を袖に受けたりして、いるのを目に止められ、話かけてきたのは、江戸詰の上士、[何故なに、尚七]と呼ばれているのはお前か、尚七はこの世は、不思議に満ちている。何故かどうしてか、口にするのでこのあだ名を、進呈された。この尚七が江戸に呼ばれて、御目見以下の身分から、藩主の若君の御学問相手になった。若君は、分家刈谷土井家から、本家の下総古河土井家に、養子に入った土井利位、若君もかって蘭書で、見た六花を(雪)直にこの目で見たいと言う。そこで若君に蘭学の手ほどきをした、鷲見十郎左衛門忠常が、国元で会った尚七を取り立てた。尚七は忠常に伴われ蘭学者達と交流し、シーボルトや渡辺崋山、大黒屋光太夫などにも合う、殿様とともに様々な雪の結晶を、記録していく、その間家を継いだ殿様は、雪の形に心を奪われている人ではなく、政の中枢にいて、大阪城代の時には、あの大塩平八郎の乱を治める。京都所司代を経て老中になる。御学問相手の尚七は、お供して大阪や京でも、雪の記録をする。シーボルト事件などもあり、二十年以上の時がかかり、とうとう利位の雪華図説が完成した。何故なに尚七、ただ殿様と同じように、雪の結晶が見たい、出世欲はなくおもねず、自分の立場でものを言う、この様な人物を、主君の御学問相手として、側に侍らす.鷲見十郎左衛門忠常とは、只者ではない、土井の鷹見か、鷹見の土井か、と忠常の評判は城中にも、広く伝わっている、利け者の家老。殿様を政の中枢に押し上げる、尚七は政に煩わされている、殿様の気持ちを和ませ、六花の研究のあいてとして、頼りになり心の拠り所に、なっているのだった。土井利位、鷲見忠常、小松尚七、この三人のめぐり逢いで、見事な雪華図説が完成した。物語は、幕末の動乱へ向う、予兆が現れだした時代です。また、興味を持った事を、ずっと続けてやっていれば、生き甲斐になり、役に立つことができるということも書いています。殿様土井利位は、谷文晁に絵を習っている、渡辺崋山は、鷹見忠常像を、描き忠常に贈ります、今に残る崋山の名作です.描いた二年後に蛮社の獄に巻き込まれて自死します。又忠常は雪華を、蒔絵師の、原羊遊斉に印籠や、文箱などに描かせ献上品にする、これらは現在国重要文化財になっています。小松尚七はじめ、登場人物は殆ど実在します.この対極に、水野忠邦や、鳥居要蔵、遠山金四郎がいる、面白いといったら、申し訳ないが現世の人間の、思いです。



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