紐が解けるとき

白い息を吐く度に 
また冷たい空気を吸い込む

そうして心を洗うように
身体が冷えてゆくのを感じる

誰かの側にいて
心が安らぐ日が来ればいい

寂しさと弱さの代償は
安らぎに似た悪意を見抜けぬ心


冷えた涙を流す度に
また瞳は視界を失う

そうして記憶を洗うように
思考が冷えてゆくのを感じる

誰かの側にいて
心は安らぎを失った

他人(ひと)を頼らぬ代償は
孤独という名の自由を求める心


それでも何処かに暖かい場所があって
疲れ切った心を縛り付ける紐が解ける時が
いつか訪れることを願い続ける


それが地上の出来事か
その先の場所の出来事か
記憶を辿ってもわからない

ただ 暖かいと感じた
とても暖かい場所で 心が緩むとき
思考は はっきりと 今を生きていた


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