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故郷は遠くにありて思うもの、かな?

けいこです。昨年11月に遊びにきた元同僚がたくさんの本をお土産に持ってきてくれた。

その中の一冊を最近読み始めた。

本の主旨は、東京からUターンし、鹿児島で出版社を始めた著者が、日々思うことや社会問題などについて綴ったエッセイをまとめたもの。

私の友人は九州出身なので、なんかの縁でこの本を手に取ったんだろうけど「九州」に土地勘がなく、そこがかなり離れた地に感じる私にとっては、日本が大きい国で私が知らない地域・土地があるんだ、とあらためて感じる機会になった。

例えば、鹿児島と奄美の関係が民族的な問題を抱えてるとか。知らなかった。

それと同時に、今の日本が抱えている問題や情勢についても共感できることもたくさんある。

いい本との出会いだ

この本の中で、共感できると思った点を備忘録として書き残したい。

「後継者難」というタイトルで、町の本屋さんがどんどん閉店してるという状況について書かれている。本屋の店主が高齢化し、そして後継者がいない。

この本はたまたま町の本屋さんという職種についてだけど、これは何も本屋さんに限ったことではなくて、農家も町工場も伝統産業でも、いろんなところで「後継問題」が深刻だと聞く。

一度田舎を出た若者は異郷で家庭をもち、盆暮にたまに顔を見せたとしても二度と帰ることはない。捨てられるために、少ない現金収入をやりくりし、必死の思い出学校に行かせて子供を育て上げる田舎の親たち。挙げ句の果てに老人夫婦の世帯になり、独居老人となり、やがて孤独死を迎える。
<中略>
今からでも遅くない。「親の仕事の後を継げ」。

「砦の上に:南方新社本づくり30年」(著者:向原祥隆)

ウチも、私も弟も「故郷を去り」、老人夫婦の世帯を残したことになる。独居老人と孤独死は幸い防げた。そして、親は私たちを外に出して精一杯羽ばたかせることが役目だと思っていた。そしてその分、寂しい思いもしたはず。ありがたくもあり、そして、なんか切ない。

最近、弟と話していて、彼は本籍を住んでいる関東に随分前に(もう20年も前のことらしい)移した、と知った。本籍は変えないものだと「思い込んでた」私は意外だった。でもよく考えてみると、奥さんも関東の人、仕事も転勤がなくずっと関東のまま。本籍を移すことは、生活する上で利便性を考えると当たり前のことだ。

でも最初に本籍を関東に移すことを父に報告したときはすごく寂しそうだったと言ってた。そうだろうね。単なる書類上のことではなくて「自分はどこの人か」という帰属意識を示すことだからね。

ちなみに私は移そうと思ったことはなく、ずっと金沢のまま。外国に住んでて「本籍がどうのこうの」というのは全く関係のないことだけど、でも私の根っこは金沢にあるという気持ちの上での拠り所になってる。

若い頃は、都会に出ることや、いい大学を卒業すること、いい就職先を見つけることが、人生のゴールそのものだと思い込んでいた。私自身もそうだけど、社会一般のそういう「立身出世」みたいなのが、成功の形と思っていた。

けど、そんな生き方だけじゃないんだな、とこの本を読んで、そして何よりこの歳になって初めて思う。

もう一回生まれ変わるとしたら、どんな人生を送るだろうか。


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