【交流戦プレイバック】日本ハム・加藤貴之、26回連続無失点の交流戦新記録
北海道日本ハムファイターズの加藤貴之(30歳)がセ・パ交流戦の歴史に名を刻んだ。
交流戦新記録となる26イニング連続無失点
加藤は今季交流戦で登板した最初の3試合をいずれも無失点で抑え、19イニング連続無失点を続けてきたが、交流戦最終戦となった6月12日の中日ドラゴンズ戦(札幌ドーム)で、プロ入り初となる中4日で先発登板した。
加藤は中日打線を5回まで無失点に抑えた時点で、交流戦ではタイ記録となる24イニング連続無失点に並んだ。
記録更新が懸かった6回には2死満塁のピンチを迎えたが、木下拓哉をショートゴロに打ち取り、難を逃れた。
これで25イニング連続無失点となり新記録を更新。
結局、加藤は7回も無失点に抑え、連続無失点記録を26イニングに伸ばし、しかも2点のリードを持ってマウンドを降りた。
試合は2-0で日本ハムが逃げ切り、加藤は8試合ぶりの3勝目を挙げた。
先発106試合目で初完投勝利
加藤はプロ6年目の昨季、2021年10月18日、対東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天生命パーク宮城)で初完投・初完封勝利を挙げた。
デビューから106試合の先発でようやく初完投勝利は、2014年の野上亮磨(埼玉西武ライオンズ)の73試合を抜いて最長記録となった。
自身初の規定投球回数に到達し、防御率3.42でリーグ9位。
しかしながら、加藤は与四球が少なく、WHIP(1イニング当りに出した走者)では、山本由伸(オリックス)、田中将大(楽天)、上沢直之(日本ハム)に次ぎ、リーグ4位の1.05と非凡な成績を残した。
今季4月に90球で「マダックス」達成
今季は4月19日、対東北楽天ゴールデンイーグルス戦(楽天生命パーク)で、9回を投げ切り、90球、被安打3、1四球、無失点に抑え、100球以内の完封勝利となる「マダックス」を達成した。
しかも、90球以内で完封勝利は2008年7月20日のロッテ対西武戦(千葉マリンスタジアム)で、ロッテ先発・渡辺俊介が88球で完封勝利を挙げて以来、14年ぶりの快挙であった(加藤は社会人・新日鐵住金かずさマジックに在籍したが、最終年の2015年に渡辺が投手コーチとして入団するという縁がある)
今季の防御率1.76ながら援護点は1.54点でも「勝ち星は運」
加藤は今季、開幕から13試合(うち先発12試合)に登板して、防御率1.76と安定した投球が続いているが、3勝4敗と負けが先行している。
加藤が登板している間は援護率1.54と好投しても勝ち星がつかない試合が続いた。
試合後のヒーローインタビューで加藤は、
BIGBOSSこと新庄剛志監督も、
「加藤君にやっと勝ちをつけてあげることができて、ひと安しんじょうつよし」
とコメントした。
加藤のピッチングで、日本ハムは今季2度目の同一カード3連勝を決めた。
加藤貴之は社会人に入ってから内野手を経験し、その後、投手へ再転向。
プロ入り後も、栗山英樹監督時代には、「ショートスターター」を経験するなど、難しい役割をこなして、先発投手として力をつけてきた。
遅咲きのエースがようやく実を結びつつある。
セ・パ交流戦でこれまでの連続イニング無失点の最長記録は?
加藤よりも前に、セ・パ交流戦での連続イニング無失点記録を持っていた先発投手はランディ・メッセンジャー(阪神)で2005年に24イニング連続無失点を記録している。
ランディ・メッセンジャー(2005年): 24回連続無失点
2005年の交流戦で、メッセンジャーは5月29日の西武戦(西武プリンスドーム)、6月6日の日本ハム戦(甲子園球場)、6月12日のオリックス戦と3試合に先発登板し、いずれも無失点に抑えた。
最後のオリックス戦(京セラドーム大阪)では0-0のまま、9回までマウンドに立ち続け、136球の力投を見せたが、打線の援護に恵まれず、阪神は延長10回に0-1でサヨナラ負けを喫した。
メッセンジャーはこの後、6月20日の対ヤクルト戦(甲子園)の3回まで無失点を続け、自己最長の27イニング連続無失点を達成した。
序盤に二軍落ちするなどの不振を経験したが、交流戦を契機に持ち直し、防御率は2.97まで回復した。
しかし、シーズンを通して打線の援護に恵まれなかったこともあり、リーグ最多の29試合に先発したが、9勝12敗に終わり、来日2年目から継続してきた4年連続シーズン二桁勝利はストップした。