NPB シーズンMVP 最年少受賞者は?(村上宗隆、セ・リーグ最年少で受賞)

NPBでは2021年シーズンの「最優秀選手(MVP)」が発表され、セ・リーグは村上宗隆(ヤクルト)、パ・リーグは山本由伸(オリックス)が選出された。



2021年のMVPは村上宗隆と山本由伸

東京ヤクルトスワローズの村上宗隆(21歳)は高卒4年目の今年、NPB史上最年少となる21歳7か月で通算100号本塁打に到達、全143試合で四番打者として先発出場すると、自身初の本塁打王(39本塁打)を手にし、チーム6年ぶりのリーグ優勝、20年ぶりの日本一に貢献した。

オリックス・バファローズの山本由伸(23歳)はプロ5年目の今年、15連勝を含む18勝で最多勝、最優秀防御率(1.39)、最高勝率、最多奪三振()、最多完封数の「投手五冠」を達成し、「絶対的エース」としてオリックスの25年ぶりのリーグ優勝の原動力となった。

村上宗隆はセ・リーグ最年少でのMVP受賞



村上宗隆は2000年2月2日、熊本生まれの21歳で、21歳での受賞はNPB史上6人目だが、セ・リーグでは1996年の松井秀喜(巨人)の22歳を抜いて最年少、野手としては1941年の川上哲治(巨人)、1996年のイチロー(オリックス)の21歳に並ぶ若さでの受賞となった。

新人王受賞経験者によるMVP受賞は



また、村上宗隆もプロ2年目の2019年にセ・リーグ新人王を獲得しており、「新人王受賞者によるシーズンMVP受賞」はNPB14人目、セ・リーグでは6人目であるが、セ・リーグの高卒入団としては初、巨人以外の野手でも初の快挙となる。

<セ・リーグ>
①秋山登(大洋)投手 新人王:1956年、 MVP:1960年
②藤田元司(巨人)投手 新人王:1957年、MVP:1958年、1959年(2度)
③長嶋茂雄(巨人)内野手 新人王:1958年、MVP:1961年、1963年、1966年、1968年(5度)
④堀内恒夫(巨人)投手 新人王:1966年、MVP:1972年
⑤原辰徳(巨人)内野手 新人王:1981年、MVP:1983年
⑥村上宗隆(ヤクルト)内野手 新人王:2019年、MVP:2021年

<パ・リーグ>
①中西太(西鉄)内野手 新人王:1952年、MVP:1956年
②稲尾和久(西鉄)投手 新人王:1956年、MVP:1957年、1958年
③杉浦忠(南海)投手 新人王:1958年、MVP:1959年
④張本勲(東映)外野手 新人王:1959年、MVP:1962年
⑤木田勇(日本ハム)投手 新人王・MVP:1980年(同時受賞)
⑥石毛宏典(西武)内野手 新人王:1981年、MVP:1986年
⑦野茂英雄(近鉄)投手 新人王・MVP:1990年(同時受賞)
⑧田中将大(楽天)投手 新人王:2007年、MVP:2013年

両リーグMVP受賞者が23歳以下は史上2組目



また、両リーグのシーズンMVP受賞者が共に23歳以下の選手というのも1996年の松井秀喜(巨人、22歳)とイチロー(オリックス、23歳)以来、NPB史上2度目である。

ここでは、村上宗隆と同い年か、村上よりも若い、21歳以下でシーズンMVPを受賞した選手を時系列で振り返ってみる。

1937年春 沢村栄治(巨人)19歳


沢村栄治は1917年2月1日、京都に生まれると京都二中で甲子園に出場、剛速球で三振を奪って注目される。京都二中中退後、1934年の日米野球では17歳で選出され、静岡草薙球場でベーブ・ルースを含むメジャーリーガー代表を相手に9奪三振、1失点に抑える快投を見せる。
読売ジャイアンツの前身である大日本東京野球倶楽部に入団。
日本初の職業野球リーグ戦が始まった翌1937年春のリーグ戦でチーム56試合のうち24試合に先発、全試合で完投して24勝を挙げ、防御率0.81でその年から制定された「最高殊勲選手」の初代受賞者となった。
2度の応召を経て、27歳でフィリピン沖で戦死した。
3度のノーヒットノーラン、通算63勝だった。
1947年に沢村の背番号「14」は永久欠番となり、最も優秀な投手に贈られる「沢村賞」が制定された。

1941年 川上哲治(巨人)21歳



川上哲治は1920年3月23日、熊本に生まれ、熊本工業では藤村富美男(大阪、阪神タイガース)と共に甲子園を沸かせると2度の準優勝エースという実績を引っさげ、1938年に巨人に投手として入団。
投打二刀流でプロ2年目の1939年には首位打者と打点王を獲得(投手としては6勝4敗、防御率2.36)。
プロ3年目の1940年には本塁打王にも輝いた。
入団4年目の1941年にはシーズン途中から野手に専念、2度目の首位打者と打点王で、シーズンMVP(「最高殊勲選手」)を獲得した。
川上哲治は戦後、首位打者を獲得した1951年と1955年にもセ・リーグMVPを受賞している。
村上宗隆は熊本県出身者としては川上哲治以来、66年ぶりのシーズンMVP受賞となった。

1957年・1958年 稲尾和久(西鉄ライオンズ)20歳・21歳


稲尾和久は1937年に大分県別府市に生まれ、別府緑丘高校では右のエースであったが、甲子園に進むことなく1956年に西鉄ライオンズに入団。
打撃投手として頭角を現し、開幕一軍を掴むと、敗戦処理からのしあがり、21勝6敗、防御率1.06という成績を挙げて、最優秀防御率、新人王を受賞すると、日本シリーズでも高卒新人で3勝を挙げ、西鉄の初の日本一に貢献した。
プロ2年目の翌1957年にはNPB新記録となる20連勝を含む35勝を挙げ、最多勝と2年連続の最優秀防御率(1.37)を獲得、20歳という若さでパ・リーグMVPを受賞した。
翌1958年も3年連続の最優秀防御率(1.42)、2年連続の最多勝(33勝)、初の最多奪三振で、西鉄のリーグ3連覇に貢献すると2年連続でシーズンMVPに輝いた。
西鉄は巨人との日本シリーズでは3連敗から、稲尾が全試合に先発完投して4連勝を挙げ、3年連続の日本一となり、稲尾は文句なしのシリーズMVPを受賞した。「神様・仏様・稲尾様」と言われたのもこの活躍によるものである。
なお、新人王受賞者によるシーズンMVP受賞は、パ・リーグでは、稲尾を含めて7人いる。

1994年 イチロー(オリックス) 21歳



イチローは愛知・愛工大名電高校から1991年のドラフトでオリックスから4位指名を受け入団。
高卒入団3年目の1994年に大ブレイクし、打率.385で首位打者を獲得、かつシーズン210安打という当時のNPB新記録を樹立し、21歳にしてパ・リーグMVPを受賞した。
翌1995年も首位打者、最多安打、打点王、盗塁王、最高出塁率のタイトルを総なめし、リーグ優勝に貢献すると2年連続でMVP、翌1996年も3年連続首位打者と2年連続リーグ優勝への貢献で三度び、MVPに輝いた。
シーズンMVPを3年連続で受賞したのは、1976年から1978年の山田久志(阪急ブレーブス)に次いで、イチローがNPB史上2人目で、その後も現れていない。
(王貞治(巨人)は2年連続MVPを4度、計9度受賞している)




いいなと思ったら応援しよう!