2023年度の年頭の挨拶
今年も新年にあたっての挨拶を職員と取引先に送ったのでnoteにも。
新年明けましておめでとうございます。東京都副知事の宮坂学です。
2022年は行政のデジタル化、シン・トセイ(都政の構造改革)、国際金融に加えて、新たにスタートアップの推進も担いました。
それぞれについて1年の振り返りと2023年の抱負を記載します。
デジタル化の取り組み
東京都民の皆様のQoL(クオリティオブライフ)の向上に貢献するため、情報技術を利活用する取り組みを「スマート東京」というプロジェクト名で推進しています。2040年をゴールにスマート東京は3つの柱で推進しています。
1.つながる東京を実現する
「TOKYO Data Highway」と呼んでいる取り組みです。デジタルサービスを受けるには「接続」できることが大前提となります。そこで、都民の皆様からお預かりしている全ての都の空間(公園や文化施設、避難所、学校など)で光回線、公衆無線LAN、5Gなどの整備を通じて、いつでもどこでも誰でも何があって(災害)もつながる東京を作るべく取り組みを推進していきます。
通信キャリアの皆様と連携をとりながら水道、下水道、ガス、電気、道路に続く第六のインフラであるインターネット網を作りあげていきます。年に一度、都民向けのインターネット調査を実施しており、その結果を見ながら弱点のセグメントを強化していきます。2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックの会場では当初は通信環境の整備が弱いところもありましたが、通信キャリアの皆様の協力を得て、ほぼすべての会場で5GやWi-Fiを整備することができました。基地局設置のための都のアセット開放の数も増えており、その取り組みそのものが全国知事会の先進政策バンクに登録されたり全国の自治体から問い合わせが来るなど、都庁初の動きが日本全体に広まりつつある手応えも感じています。
今年もさらにつながる東京に向けての取り組みを進めたい。台湾のオードリー・タンさんにご登壇いただいたイベントで、「山の上でもライブで配信できるように5Gで国土を覆いたい」という話がありました。都庁でも東京全体を調査してどこが弱点地域なのかを把握して整備を推進します。
また、通信といえば5Gだけではありません。学校などの公共施設、避難所でのWi-Fiの整備も不可欠ですし、島嶼部への光回線の強靭化も取り組んでいきます。ウクライナの戦争においても改めて通信の重要性が再確認できました。戦争という究極の災厄の時に市民のスマートフォンをつなぐ通信が重要です。東京都では昨年末に「TOKYO強靭化プロジェクト」を策定したところであり、大災害が東京を襲ってもつながる東京を維持できるように努めていきます。
2.公共施設や都民サービスのデジタルシフト(街のデジタルシフト)
港湾、水道、下水道、道路、公園、交通、医療、教育など、東京都が提供している様々な行政サービスに情報技術の力を取り入れることで、より良いサービスを提供できるようにします。全ての局でデジタル化を推進する代表的な取り組みを一つ以上定め、それを「リーディングプロジェクト」と名付けて重点的に取り組んでいます。
単にアナログ的な手法をデジタルに置き換えるだけではなく、デジタル化によって行政サービスの品質(QoS クオリティオブサービス)がアナログ時代に比べて改善している状態になることを目標にします。そのため、「テストなくしてリリースなし」を実践すべく、ユーザーテストを必須にしたりサービス開発にあたってのガイドラインを整備しました。加えて、行政サービスの品質の数値化にも取り組む予定です。島嶼部やベイエリア、西新宿などでのスマートシティの取り組みも推進しています。
昨年発足したデジタルサービス局の重要なミッションが都庁各局の情報技術利活用のサポートです。未だ猛威を奮っている新型コロナへの対応については、保健所において電話対応からSMSへの切り替え、チャットボットの活用などにより3か月で約3万時間の削減効果がありました。
また、現場におけるデジタル化の成功モデルとして豊洲市場の市場衛生検査所の事例が挙げられます。現場部門とデジタルサービス局が協働で開発や改善を積み重ねて成功事例の一つになりました。このサービスは昨年新設した都庁デジタルアワードだけでなく、全国知事会のデジタル・ソリューション・アワード大賞も受賞。都庁における各局のデジタル化の成功モデルが確立できました。
さらには、都内区市町村のデジタルを活用した優れた取組を表彰する、「Tokyo区市町村DX賞」も新設しました。こうした、現場や区市町村での優れた取組をみんなで称え合い、知恵を共有することで、都内だけではなく全国の自治体にも優れた取組を横展開していけるようにしていきます。
各局では、主税局や保健所のデジタル化に代表されるような現場でのローコードツールを利用した開発が活発化したことも特筆すべき一年でした。その際、従来は各局が独自にツールを調達した結果として調達コスト、トレーニングコスト、システム連携コストで重複が発生していましたが、新たに共通基盤チームがツールを選定することで、複数の部門が同じ道具(ツール)を使って開発をすることで、異動してもスキルが無駄にならなかったり「東京デジタルアカデミー」での教育研修の共同化ができるようになります。
各局からの支援要請は、支援チームができた最初の年(2020年度)は30件ほど、デジタルサービス局ができた2021年度は255件、今年度(2022年4~12月)はすでに300件を超えるまでになってきました。これらの案件の管理をするために、プロジェクト管理DBを活用した運用をスタートしています。これは内側の地味な取組に見えますが、組織運営のイノベーションはとても重要です。良いサービスは良いマネジメントから生まれます。デジタル予算を全庁横断で可視化するツールを開発したりデジタルスキルマップで人材資源の管理をできるようにしたのもマネジメントにおけるイノベーションです。今後もマネジメントの道具をどんどん作っていきます。
さて開発支援については数字でもわかるようにデジタルサービス局の仕事の幅が大きく広がりました。今後ますます増える方にしかいかないでしょう。
今年は新たに従来の川中から川下での”支援”から、企画や仕様書、事業者選定などの川上で"協働"に変えること、つまり仕事の深さをより上流にという取り組みが品質の高いサービス開発には大切になります。
仕事の量という幅に加えて、仕事のより上流、つまり深度を深めて縦横のデジタル領域の面積を拡大していきます。
支援の関係から協働の関係へ。そのためにはルールや体制の整備も大切ですが、何よりも「信頼」が鍵となります。デジタルサービス局と仕事をするとより良いものが生まれる、困った時もなんとかしてくれる、一つ一つの相談を一期一会のつもりで相手の期待値を上回る成果を出す。個人としても組織としても、信頼の貯金通帳の残高を増やしていくことが大切です。デジタルサービス局や今年立ち上げる「Govtech東京」は、「協働に値する組織だ」と各局の現場担当者や区市町村のデジタル担当者に思ってもらえるようにしていきます。
3.行政のデジタルシフト
都職員の働き方や仕事の道具を変える内部改革の取り組みです。職員が職場に来なくても働け、都民の皆様も来庁せずに全ての手続きや相談を受けれる「ヴァーチャル都庁」を目指して、2025年を目標にシン・トセイというコード名で推進しています。例えば、都の行政手続については、件数ベースで98%をデジタル化する目標を掲げて取り組んでいます。
年に一度、職員に都庁の情報環境に関するサーベイを行っています。3年目の結果については現在集計中ですが、職員が戦える道具を提供し、毎年サーベイをしてフィードバックをもらって改善するというサイクルを地道に繰り返して進化させ続けます。
いよいよ今年は職員の情報環境がクラウド基盤に変わる元年になります。従来は使えなかったチャットやスマホでの仕事もできるようになります。いわゆる、「ステップ2」と呼んでいる取り組みです。業務用の端末もこれまでは仕事の種類に関係なく同じものだけでしたが、今後は仕事の性質に応じて選べるようにしていきます。都庁の最前線で働く現場職員が存分に能力と情熱を発揮できるような最高の道具を提供する、それが結果としてその先にいる都民へ高いサービスを提供できると思っています。
また、せっかく道具を旧世代から新世代のものにしていくので、それに合わせて組織文化も変えていきたい。特に管理職の役割が大事です。せっかくの新しい道具なのに「自分は苦手だから嫌だ」というのではなく、ぜひこれを機会にデジタルアカデミーなどを通じて学んでいきましょう。道具が使えないのは恥ずかしいことではなく、道具が使えないのに居直ることが最も恥ずかしいことです。管理職こそ最も学ぶ人であり続けるというロールモデルを示していきましょう。
組織面でのデジタル化
一昨年はデジタルサービス局という情報技術に特化したチームを作ることができましたが、さらに昨年9月に「Govtech東京」設立構想を発表しました。
約3年前に副知事に着任した後の最初の講演で「一つだけ残すものは何か?」と質問された際にとっさに答えたのが「組織を残したい」でした。デジタルサービス局という船に加えてさらに全区市町村も包摂する「GovTech東京」という大きな船を作る目処が立ってきました。
すべての組織は顧客のために存在します。デジタルサービス局の創設にあたり最初にした仕事は貢献すべき顧客の定義です。それを「1.すべての都民と企業 2.都職員 3.区市町村のICT担当」と定義しました。
特に3つ目の「区市町村のICT担当」は、この3年間継続している東京都CIOフォーラムや区市町村CIOとの座談会での対話を通じて、協働のニーズがとても高いことが再確認できました。情報交換を通じて、例えばデジタルサービス開発、オープンデータ、人材教育など様々な「共同化」の可能性を確認することができ、「GovTech東京」を設立することでデジタルサービスの開発力を強化して、その力を62区市町村全てに届けたいと思います。
これまで、都庁のデジタル化は各局が個別に(バラバラに)推進してきました。
それをデジタルサービス局の創設や共通基盤の整備などを通じて共通化する領域を増やしてきました。
しかし仮に都庁のデジタル化が成功しても、62区市町村の誰一人取り残さずにデジタル化を成し遂げないと東京全体がデジタル化したとは言えません。
「Govtech東京」は、62区市町村+1(東京都)の体制で、東京を丸ごとデジタル化に導く推進母体となるイメージです。
そこでは「共同化」「協働」が一つのキーワードになります。
まずは共同化についてです。これまでの都庁や自治体のシステム、ネットワーク、ハードウェアは個別最適で進んできました。その一方で共同化のメリットが極めて受けにくい構造になっています。
その人材採用や配属は今後も共同化せずに個別最適でやり続けるのか?
その調達は今後も共同化せずに個別最適でやり続けるのか?
そのシステム開発は今後も共同化せずに個別最適でやり続けるのか?
そのデジタル人材研修は今後も共同化せずに個別最適でやり続けるのか?
そのデジタルサービスの開発の成功事例やしくじり先生の事例共有は今後も共同化せずに個別最適でやり続けるのか?
そのオープンデータの推進は今後も共同化せずに個別最適でやり続けるのか?
多くの「個別最適」を「共同化」にしていきましょう。
次に「協働」についてです。構想の取りまとめにあたって、従来とは違って世界の先進事例をコンサル任せにせず職員自らが一次情報(自分が直接実体験した情報)を摂取すべくデンマークやイギリス、シンガポールなどのデジタルガバメントで定評のある先進地域に行って調査をしてきました。そこでは官と民、さらには自治体の枠を超えて協働して、デザインリサーチなども取り入れながら使いやすいサービスを作っている姿がありました。こういった姿勢も大いに取り入れていきたい。協働とは辞書によると「立場の違いを乗り越えて対等の立場でコトにあたること」とあります。デジタルサービス局と「GovTech東京」、これらと各局、区市町村、デジタル庁、さらに都民の皆様。さまざまな種類の組織を超えた協働を上手にやれるような構造を作りたいと思います。
「GovTech東京」には、行政の専門家だけでなくこれまで以上に民間のデジタルの専門家にも数多く参加してもらいます。都庁プロパーの人もいれば中途採用で来た人も同時に在籍することになります。任期付の人もいれば無任期型の人もいます。国籍も多様になる可能性があります。専門性や出身の多様性に富んだ組織を作っていきたい。多様な人が集まって上下ではなくフラットに協働するのは難しいことです。DXとは、D(デジタル)とX(変革)の組み合わせの言葉ですが、まさにXの要諦はこの多様な人が一緒になって上下や受発注ではなく協働できるかです。立ち上げ期には混乱もあるでしょうし、理想の姿に至るまでには多くの困難が待ち受けていると予想していますが、個別最適の個性も活かしつつ、共同化の推進や行政職と技術職の協働、都民との協働、都庁・区市町村・デジタル庁との協働などを進めていきたいと思います。
人材領域でのデジタル化
一昨年、職員の採用区分にICT職を創設しました。これまでは部署移動によってデジタルサービスへの知見や経験が途切れてしまい、情報技術人材を育成するのは困難でした。ICT職の人材は継続的にどの部署に行ってもデジタル関係の仕事に取り組むことで、「行政×情報技術」という掛け算のスキルを蓄積していくことができます。
さらにICT職に求められるスキル、スペックを可視化するための「デジタルスキルマップ」を開発しました。これを使って都庁に不足している人材のスペックを可視化して採用に役立てたり、教育研修体制を充実させて、今後爆発的に必要とされる「公務員×情報技術」の人材育成に備えます。
また、昨年は「東京デジタルアカデミー」を開設し、半年ほどで1万人近い職員がデジタルに関する勉強をしています。区市町村と合同での研修も少しずつ増えてきました。持続可能で質の高いデジタルサービスを作るには良い人材投資が不可欠です。日本全体の公共部門のデジタル化は決して褒められた状況にはありません。だからこそ、高度な知識を持つ任期付の職員も、任期のない職員も、分け隔てなくデジタルアカデミーで体系的に、そして実務で経験から学ぶことで公共部門のデジタル人材の輩出組織として貢献できるようにこのアカデミーを育てていきましょう。
デジタルアカデミーの開講の際に、「都庁」デジタルアカデミーではなく「東京」デジタルアカデミーにしたのは、都庁職員だけではなく62区市町村の公務員の仲間が一緒に学べるようにという思いをこめて命名したと話しました。いよいよ「GovTech東京」も始まります。ここで多くの職員が共に学び、そしてあらゆる区市町村のデジタルの仲間が繋がっている状況を作っていきましょう。
また当初、デジタル職の採用は郵送応募のみの状況からスタートしましたが、採用手法もどんどん進化して、専門メディアを活用したり採用イベントを実施するまでに成長しました。こういう工夫をますます広げていきます。
デジタルサービスに係る行動指針
東京都が何十年にもわたって持続的に、そしてどの部門や担当者がデジタルサービスを作っても品質にムラがなく安定して高い品質を提供し続けることが極めて重要です。そのため、東京デジタルサービス会議を立ち上げ、みんなが守るべき行動の掟やガイドラインとして、「東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針」を策定しました。
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市民との協働
「市民が参加できること」こそがデジタルの本質です。市民参加がしやすくなるようにオープンデータを整備し、ハッカソンでより良いサービスだと思ったら社会実装に持っていきましょう。
特に行政のもつデータは市民のコンピュータで判読可能な形で公開すべきという哲学が大事です。東京データプラットフォーム(TDPF)も特にオープンデータを重視して進めていきます。都知事杯オープンデータハッカソンや、東京都発OSS活用共創プロジェクトである「TOKYO OSS Party」では多くの優秀な作品が生まれています。一方で、オープンデータの網羅性(カバレッジ)の限界から、1つの自治体のサービスが横の自治体に広がらないのでは宝の持ち腐れです。ラウンドテーブルに加えて、ハッカソンやアイデアソンから生まれたより良いサービスに必要なオープンデータ公開の輪を都庁だけでなく62区市町村に広げていきましょう。
シン・トセイの取組
都政の構造改革である「シン・トセイ」も大きな進展がありました。ペーパーレス、はんこレス、FAXレス、キャッシュレス、タッチレスの「5つのレス」の推進だけでなく、「テストしないものはリリースしない」を合言葉にユーザテストガイドラインを策定し、ユーザーテストの実施が都庁では当たり前のようになってきました。繰り返し伝えていますが、未来型オフィスとはフリーアドレスやテレワークではありません。都民にサービスを提供する現場がオフィスであり、そこの生産性を上げることがより良い都民サービスを提供することにつながります。そして自分のオフィスがどうあれば最も生産性が上がるのか、これはそこで働いている人が最もよく知っています。だから「自分たちのオフィスは自分たちで作る」ことが重要なのです。
未来型オフィスの取組は西新宿の都庁の本庁舎だけでなく、都税事務所や保健所といった現場の最前線でも始まりました。それぞれの現場でより生産性を上げるにはどうすればいいのかという工夫が自律的に始まりそこにデジタルツール「も」活躍しています。
デジタルサービス局でも引き続き、最前線の仲間が最も戦闘力を発揮できる最高の道具を提供できるように研鑽していきましょう。
さらに、シン・トセイの重要プロジェクトの一つである行政手続のデジタル化の取り組みも大きな進展がありました。単にデジタル化するのではなく、どうせやるならば利用者本位で使いやすいデジタル化を実現するというコンセプトの下で、開発会社の選定の際にデザインチームもセットで提案する方式を採用しました。これはおそらく都庁で初めての試みです。もちろんユーザーテストなども実施していきます。どうせ作るなら不便なものではなく、利用者が使いやすいと笑顔になれるデジタル化を実現する、そのためにはデザインの力が決定的に大切です。行政はデザインという言葉と最も縁遠い世界だったかもしれませんが、このままの状況ではいけません。
また、noteや各種イベントでの情報発信も活発になってきました。情報発信をすることで初めて世間から認知されネガティブなこともポジティブなことも含めて情報が集まり、自分たちが進化する刺激を得ることができます。情報発信をしないと世の中から叩かれるリスクがなくて楽ですが、それでは自らが進化するチャンスを失います。引き続き勇気を持って自分たちの取り組んだ成果を、仮に武運つたなくうまくいかずとも発信していきましょう。
フィードバックのない仕事は絶対に進化しません。組織内部的にもデジタル提案箱に寄せられる意見で耳の痛いこともあるとは思いますが、まずは一旦受け止めましょう。それが我々の成長の栄養源になる可能性があるからです。
国際金融の取組
昨年は、企業の英文IRのサポートを実施する「英文IR人材育成講座」を開始したり、中小企業の皆さんのESGへの取り組みのために役立つ情報、取り組み事例、CO2排出の測定ツール紹介などを盛り込んだ「東京サステナブルNavi」をリリースしました。
都庁全体でもグリーンへの取り組みが重要になっており、金融の力も総動員していきます。
またグリーンボンドに続きソーシャルインパクトボンドを都庁として初めて発行することができました。
スタートアップの取り組みも強化しており、ここでも金融の力がとても重要になります。スタートアップ企業への資金の担い手をより集積させていくなど、今年はグリーンに加えてスタートアップの金融の領域も強化していきましょう。
スタートアップ
スタートアップとの協働については、約1年半前の「シン・トセイ加速化方針」での打ち出しから短期間で大きく進展することができました。
昨年8月には、スタートアップ施策を都庁全体で横断的に展開するチーム、「Team Tokyo Innovation」を結成するとともに、担当局長の設置、スタートアップ・フェローの選任なども行い、日々ワンチームで東京都が実行すべき取り組みを議論したり、様々なステークホルダーと意見交換を重ねてきました。その一つの成果として、昨年11月に東京都のスタートアップ施策に関する戦略である「Grobal Innovation with STARTUPS」をわずか3か月という従来では考えられないスピード感でまとめることができ、今年はいよいよその実行の年となります。
その一つの集大成になるのが、2月に東京で初めて開催するスタートアップのグローバルイベントである「City-Tech.Tokyo」です。現時点で出展するスタートアップの2/3以上が海外企業であり、これまでにない国際色豊かなイベントになると思います。「City-Tech.Tokyo」と同じタイミングで世界の行政関係者が集まる「G-NETS」も開催することで相乗効果を狙います。
世界の各都市では、それぞれの特徴を生かしたスタートアップ・エコシステムが形成され、そこで数多くのスタートアップ企業が興り、多くの雇用やイノベーションが誕生しています。現在の仕事やサービスの多くは、我々の親の世代には存在していなかった仕事やサービスです。いつの時代も、スタートアップ企業が未来の雇用や現在の便利なサービスを生み出してきました。東京も、常に未来の雇用やイノベーションを生み出す活力あふれるスタートアップの街にしていきたいと思います。
「初」のつく仕事をやろう
すべての職員が、どんなに小さな事柄でもいいので年に一つだけ自分史上初に挑戦してほしいと思います。初の仕事は失敗も多く打率3割でも好成績でしょう。それでもいいので「初」にこだわって一つでいいので挑戦してほしい。
そして挑戦を躊躇うような文化や制度を解消する。それこそが私を筆頭としたマネジメントの役割です。職員の「才能と情熱を解き放つマネジメント」ができているのかを常に自問自答しながらより良い組織を作っていけるようにやっていきます。
「初」の仕事にも、自分史上初から、部として初、局として初、都庁として初、都内の行政初、日本の行政初、世界の行政初といった具体にいろいろな層があります。もちろん後者に行けば行くほど難易度が上がります。新規事業のようなわかりやすい「初」の仕事もあれば業務ツールの改善や運用の変革など、外からは見えにくい種類の「初」の仕事もあります。どの層でも、どんな種類でもいい、「初」の仕事に年に一つでいいから取り組んでいこう。
全職員の小さな「初」という挑戦の集積が大きな変化をきっと起こします。
今年はもっと皆さんと対話できる年にしたいと思っています。なのでその時に皆さんがやってきた「初」と今年やろうとしてる「初」についてぜひ教えてください。楽しみにしています。
自分も今年も「初」を起こせるように取り組んでいきます。
皆様からのご指導、ご支援をいただきながら着実に一歩ずつ前進したいと思います。
本年もよろしくお願いいたします。
東京都副知事 宮坂学
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