社員を個人事業主への懸念
電通は一部の正社員を業務委託契約に切り替え、「個人事業主」として働いてもらう制度を始める。2020/11/12付日本経済新聞 朝刊
思わずギョッとしてしまった。電通の中でどのような枠組みでやるか知らないが、有名な企業が行うことで、仕組みが良く分かっていない会社が「わが社も」と追随してしまうようなことにならなければいいと感じている。
社員を個人事業主としてということは理論的には可能である。会社のメリットは社会保険料等の負担が無くなること。請負となるので、賃金の支払いも出来高で払うことになり、労働時間管理等もしなくてよくなる。
一方で、労働者側からすると、一番問題なのが、労働法による保護から外れること。社会保険料も自分で払うことなど、デメリットも多い。
極論だが、労災事故があっても労災の適用はない。労働時間がどれだけ長くても支払われるお金は契約に基づいた金額以外ない。
電通さんが、こういった経費削減のために行うとは思わないが、
中小零細にとって、社員を個人事業主にする手法は経費(社会保険料等関節人件費の抑制)ということで昔から言われていたことだが、暗黙の了解として禁忌事項でもあったのは事実。しかし、あの電通さんがやるのだからOKといった、勝手な判断が独り歩きする懸念がある。
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