ユキ

会社嫌いの給与所得者。好きなことをするために日々仕事をしているはずが、気づいたら働いている時間が長くなってました。 だから、ここ(note)で「私が好きなこと」、思い出そうと思います。

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会社嫌いの給与所得者。好きなことをするために日々仕事をしているはずが、気づいたら働いている時間が長くなってました。 だから、ここ(note)で「私が好きなこと」、思い出そうと思います。

最近の記事

ゴッホと静物画ー伝統から革新へ

行っていたのにレビューを書いていなかった展覧会シリーズ、第8弾。2023年秋から2024年1月まで、新宿のSOMPO美術館で開催されていた『ゴッホと静物画ー伝統から革新へ』展についてです。 私が行ったのは2023年の12月ということで、去年の分はとりあえずこれが最後になります。 所蔵品『ひまわり』を西洋静物画の流れに置く SOMPOと言えば、東郷青児とゴッホの『ひまわり』。損保ジャパン日本興和の前身である安田火災海上保険がバブルの真っ只中、1987年にこの作品を53億円

    • パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命

      行っていたのにレビューを書いていなかった展覧会シリーズ、第7弾。去年(2023年)の秋に国立西洋美術館で開催されていた『パリ ポンピドゥーセンター キュビズム展ー美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ』です。 今気がつきましたが、タイトルがめちゃくちゃ長いですね。 生涯で2度とない(だろう)キュビズムがテーマの大展覧会 キュビズムは、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックによって生み出されたとされています。 キャンバスという二次元の世界に描く空間を、それ

      • デイヴィッド・ホックニー展

        行っていたのにレビューを書いていなかった展覧会、シリーズ第6弾…思っていた以上に溜まってます。 今回は、東京都現代美術館で2023年7月から11月にかけて開催されていた「デイヴィッド・ホックニー」展です。 雑誌の年内開催の展覧会情報を見て、「あら、めずらしい人が。これは行っておこう」と年初から思っていたのです。ただですね、この美術館、駅からのアクセス悪くて毎回行くのに気乗りしない場所なのが難点で。自分を奮い立たせるまでに少々時間がかかり、行きたいと思った割に実際に訪れたの

        • イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル

          行っていたのにレビューを書いていなかった展覧会、シリーズ第5弾。2023年秋に国立新美術館で開催された「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」です。クリスチャン・ディオール展が開催された年にサンローランまで開催されるなんて、ここは見ておかなければと、行ってきました。 20世紀後半を代表するファッション・デザイナーの回顧展 1936年、当時フランス領のアルジェリアに生まれたイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent) は、18歳でクリスチャン・ディオールの

          テート美術館展 光 ー ターナー、印象派から現代へ

          行っていたのにレビューを書いていなかった展覧会、シリーズ第4弾。2023年夏に国立新美術館で開催されていた「テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ」です。 光をテーマにしたテートの海外巡回展 だいぶ昔だけれどロンドンのテートには2度ほど行ったことがあるし、美術館の名前を冠した所蔵品展にあまり興味が持てない方なんですけれど… どうして行くことにしたのか、もう思い出せない😅 鑑賞してから知ったのは、英語タイトルが "LIGHT : Works from the

          テート美術館展 光 ー ターナー、印象派から現代へ

          スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた

          年が明けても続けます、行っていたのにレビューを書いていなかった展覧会シリーズ第3弾。去年(2023年)の夏に国立西洋美術館で開催されていた『スペインのイメージ』展です。 この展覧会、最初から見に行こうと思ったわけではなく、同時期に東京国立博物館で開催されていた『古代メキシコ』展を見た後に、個人的に不完全燃焼だったので、そのまま帰るのも口惜しくて、上野駅に向かう途中で思わず入ってしまった展覧会でした。 スペイン・版画・西洋美術館のコレクション、となれば、絶対ゴヤは見れるだろ

          スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた

          江戸絵画の華

          行ってたんだけれど、レビューを書いていなかった展覧会シリーズ、第2弾。もう一年経ってしまいましたが、去年(2023年)出光美術館で開催されていた『江戸絵画の華』展です。 プライスコレクションの受け入れ タイトルだけだと、その有難さがよくわからないんですけど、2019年に出光美術館が購入した故エツコ&ジョー・プライス(Joe D. Price)夫妻(当時は存命)旧蔵の江戸絵画から約90点を厳選して公開したものです。本当は受入直後に展覧会を予定していたようですが、コロナの感染

          江戸絵画の華

          クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ

          ずっと前に行った展覧会のレビューなんですけど、下書き途中で放置していたので…の第1弾、ちょうど1年前くらいに始まって春までやっていた『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展です。 この展覧会を見に行こう!と思ったの、庭園美術館の企画展がきっかけだったりします。 元々、ディオールに対するイメージって、私の中ではあまり繋がりがなかったので、前述の東京都立庭園美術館での展覧会を見て以来、私はディオールについてあまり良くわかっていないな、とは思ったのです。 なにしろ私自身

          クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ

          憧憬の地 ブルターニュ

          私のゴールデンウィーク、ようやく始まりました。ということで朝一で国立西洋美術館の『憧憬の地 ブルターニュ』展へ。 前回ここを訪れたときにチラシを見て、ロケーションがテーマの展覧会って珍しいな、と思っていたのです。しかもフランスの中でも、メジャーとは言い難いブルターニュ。気になります。 西洋美術館の所蔵品の核『松方コレクション』をブルターニュという土地で切り取って、他館の同テーマ・同時期のフランス絵画、それにその時期にブルターニュを訪れ作品を残した日本人洋画家の作品を紹介す

          憧憬の地 ブルターニュ

          佐伯祐三 自画像としての風景

          場所として大好きな東京ステーションギャラリーで、今年に入って始まったのが佐伯祐三の展覧会。回顧展をやっているならまとめて見てみるのもあるかなぁ、と気軽に行ってきました。 佐伯祐三は1898年大阪生まれですが、18歳で上京して以来、主に東京とフランスで創作活動を行った洋画家です。2度目のフランス滞在時、30歳の若さで亡くなっています。会場では、彼の代表作約100点を、最初に自画像、その後は主に題材となっている場所別に時系列で展示しており、それら以外に家族の写真や佐伯が家族や知

          佐伯祐三 自画像としての風景

          交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー

          バウハウスの建築・家具に興味があって、その延長線上でアール・デコのデザインも嫌いではない私。よく分からないタイトルでしたが、会場が東京都庭園美術館ならアール・デコと関係あるんだろうと思って行った展覧会です。 作品と構成から明示的に分かるような感じではないのですが、20世紀初頭に「モダン」というムーブメントがどうやってインダストリアル・デザインやファッションに体現されていったかを示したいようで、バウハウスに代表されるような無駄を削ぎ落とした機能重視のデザインだけでなく、展覧会

          交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー

          ブラッド・メルドー in Japan 2023

          去年の夏に予約してキャンセルになったので、払い戻し後諦めていたのですが、2日前にチケットぴあの案内があり、ついポチっとしたコンサートでした。 あまりジャスに対して知識がないながらも、いろいろ聴いてみたくてフラッと寄った渋谷のタワーレコードで、ライナーノーツと視聴した音に惹かれて買ったのがBrad Mehldau Trioの『Day is Done』。以来、きちんと説明はできないながら、彼のピアノの音をスピーカー越しに聞くたびに、ソワソワとした胸のざわめきで始まって、曲が終わ

          ブラッド・メルドー in Japan 2023

          Words, words, words. :松岡和子とシェイクスピア劇翻訳

          国立西洋美術館で『版画で「観る」演劇』展を見た後、気づいちゃったんです。早稲田大学演劇博物館でこんな特別展をやっているの。 ということで、世の受験生が大学入学共通テストを受けている中、早稲田キャンパスに行ってまいりました。 ちくま文庫の『シェイクスピア全集』全33巻で日本語訳をしている松岡和子。シェイクスピアの戯曲、全部で37作品あるそうで、全作翻訳を彼女が成し遂げたのを記念しての展示だそうです。 松岡和子は1942年生まれの翻訳家・演劇評論家で、日本で上演された数々の

          Words, words, words. :松岡和子とシェイクスピア劇翻訳

          版画で「観る」演劇:フランス・ロマン主義が描いたシェイクスピアとゲーテ

          先週訪れた国立西洋美術館、『ピカソとその時代』の感想は前の記事のとおりですが、その傍らで開催されていた展覧会があります。それがこの版画展です。 西洋美術館には常設展の中に版画素描展示室という小さなスペースがあって、所蔵品の中からテーマに沿った作品を選んで展示しています。これが結構良くて、私は大規模企画展を見た後に余力があれば、必ず立ち寄ります。 今回のテーマはフランス・ロマン主義画家の手による演劇の一シーン。その少し前に新古典主義という、ヨーロッパにおいて伝統的とされる形

          版画で「観る」演劇:フランス・ロマン主義が描いたシェイクスピアとゲーテ

          ピカソとその時代:ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

          成人の日でお休みの月曜日。朝から国立西洋美術館に行ってきました。 開催されていたのはベルクグリューン美術館 (Museum Berggruen) の所蔵品のうち、主にピカソをフィーチャーした展覧会です。 ベルリンを旅行した時に訪れていた美術館だったので、最初は行かなくても良いかとは思ったのですが、西洋美術館で開催中のもう一つの展示にも興味があり、思い直して今日に至りました。 ベルググリューン・コレクションは、現在ベルリン国立美術館に帰属していますが、元は画商であり収集家

          ピカソとその時代:ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

          ヴァロットンー黒と白

          年明け初めての外出先は、三菱一号館美術館。1月29日まで開催のヴァロットン展を見るためです。 ビアズリーみたいな本の挿絵になる版画が昔から好きだったせいか、年末に偶々この展覧会の広告を見た時に興味をそそられました。 三菱一号館、こんなコレクション持っていたんですね。とても素晴らしかった。 フェリックス・ヴァロットン (Félix Vallotton) は19世紀末にパリで活躍した画家・版画家ですが、この展覧会はこの美術館所有の版画コレクションをまとめて公開したものなので

          ヴァロットンー黒と白