mmatsuo

理論物理学の研究者です.特技は積ん読.日々の迷走の記録です.

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最近の記事

【積ん読する勇気】はじめます

私の特技は積ん読です.この特技を生かし,皆さんに,魅惑の積ん読の後押しを試みるシリーズ【積ん読する勇気】を始めます. すでに拙著「相対論とゲージ場の古典論を噛み砕く ゲージ場の量子論を学ぶ準備として」(現代数学社)にて,私の所有するおびただしい数の積ん読コレクションから,ゲージ場の量子論という名の高くそびえ立つ絶壁へのガイドとなるような素敵な専門書をたっぷりとご紹介しました. これは,学部生のことから神保町へと足繁く通い,専門書に囲まれる幸せを知ったあの頃から,買い集めて

    • 研究生活でのメモツール遍歴【2020年7月版】

      私は自称,生粋のアーリーアダプターであり,メモ魔なので,暇を見つけては新しいツールに飛びつき,利用させて頂いています.特に私はアウトライナーマニアなので,お世話になっていた/お世話になっているアウトライナーを中心にデジタルガジェットとメモツールについてざっくりとまとめてみました. 太古の昔のPDAモバイルギアMC-MK12  大学初年度から数年間,毎日持ち歩いて大量のテキストファイルを書き綴りました.しばらく素のままで使い,その後MS-DOS互換機としてのマニアックな利用方

      • お世話になりっぱなしの英語論文作成支援ツール・サイト【2020年7月版】

        非英語ネイティブな私がお世話になりっぱなしの英(語論)文作成支援ツールやサイトです.まだ利用されていない方は,ぜひお試しあれ. 英文作成全般にお世話になっているツール - Grammarly 主に英語論文執筆時にお世話になっているツール - Hyper Collocation - Overleaf チャットでのやりとり,海外サイトの閲覧時にお世話になっているツール - DeepL プレゼン時の表現を調べる際にお世話になっているツール・サイト - YouGlish.co

        • 英語で読み上げ!

          私がiPhoneで重宝しているのが英語読み上げ機能.もしもまだ未設定の方はぜひお試しあれ. 例えば,英語で講演を行うにあたり,自分の用意した原稿をiPhoneに取り込んでおいて,講演に向かう電車の中で,その原稿をiPhoneに読み上げてもらう,という使い方ができます. 私の場合,大学での講義を行うときに,朝の地下鉄移動中この方法で講義内容の最終確認をしています.MWebというMarkdown editorで簡易講義ノートを作ってiOSとMacで同期させているので,iPho

          計量バイリンガル,特殊相対論的トリリンガル,一般相対論的マルチリンガル

          相対論関連の講義を準備をするたびに迷うこと,それは計量の符号どっちを使うか?です. 私自身が論文を書いたりするときには,ミンコフスキー計量の符号を(-+++)つまり,時間成分をマイナス,空間成分をプラスにとります.これは,物性に分野替えして一番最初に行ったスピン接続の計算のときにこの符号で計算ノートを作ったからです.リハビリを兼ねて参照したのが,学部の講義で直接お世話になった須藤靖「一般相対性理論入門」だったという影響もあります. 一方で,大学院のときには自分の計算では(

          計量バイリンガル,特殊相対論的トリリンガル,一般相対論的マルチリンガル

          大きな数も小さな数も,想像できないのに

          海の深淵を画面スクロールで体感できる楽しいサイト (https://neal.fun/deep-sea/) を教えていただきました.深海1万メートルの「1万」,こんなにも大きな数だったんだなと驚きます. 私たちの太陽系がどれだけ広いのかを体感できるサイトもあります.このサイト,スクロールしてもスクロールしても次の惑星にたどり着けないという,この圧倒的な広大さ! 宇宙規模のスケールから原子核のスケールまでを俯瞰するすばらしい映像教材が,こちらのPowers of Tenです

          大きな数も小さな数も,想像できないのに

          グリーン関数じゃないグリーン関数

          場の量子論に登場する様々なグリーン関数って,偏微分方程式の非斉次項がδ関数型の場合の解となっている「本来の」グリーン関数(ファインマン伝搬関数,遅延/先進グリーン関数など)もあれば,そうでないもの「グリーン関数じゃないのにグリーン関数と呼ぶものたち」(lesser/greaterグリーン関数など)もあるんですよね. 場の量子論のグリーン関数やlesser/greaterについては,たとえばここでもご紹介したザゴスキン「多体系の量子論」などをご参照ください. 場の量子論で計

          グリーン関数じゃないグリーン関数

          複合キー,複合キー

          大学の物理学科に進学した頃,バイトでの筆記作業(大学受験関係の講義の板書や教材作成など)が私のキャパオーバーしてしまって,右手の腱鞘炎を発症して以来,筆記やらパソコンのキーボード入力作業をだましだまし行っています. 職業柄,いろんな執筆作業が欠かせないのですが,私なりに試していることについて書き留めておきます. 長年の試行錯誤で, - こまめに腕立て伏せ・指立て伏せをする - 岸辺露伴先生の指の体操をする といったケアをすることで,それなりの長時間筆記・入力作業をこなせる

          複合キー,複合キー

          千回転,億回転,垓回転

          実験グループとの共同研究で,液体金属流体運動を用いたスピン流生成の実証実験の論文が,Nature Communications誌に掲載されましたので,その宣伝をさせてください. 理論予言通りに流体が層流状態と乱流状態で得られるスピン流信号のスケーリング則が変わることを示した実験データが最初に出たときには,興奮しました. 今回の実証実験論文のプレスリリースは,日経新聞にも取り上げていただきました. 2016年に我々が報告したのは,乱流状態の液体金属流体の渦度勾配からスピン

          千回転,億回転,垓回転

          ザゴスキンでホイヘンスとファインマン

          先日,知人の「グリーン関数ってインパルス応答だって気づくのに時間かかったから,最初に教えてほしかったなあ」という吐露を耳にしました.本来同じものなのに,頭の中でしばらく同じものとしては認識できていなかった苦い思い出って,ありませんか? 今回は,私の中で長らく別々だった,ホイヘンスの原理とグリーン関数がザゴスキンのおかげで一致したときの話をシェアさせてください. 私のお気に入りの場の量子論の教科書,A.M.ザゴスキン著・樺沢宇紀訳「多体系の量子論[新装版]」(丸善プラネット

          ザゴスキンでホイヘンスとファインマン

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          生来の新しもの好き,半可通の日々の迷走の記録を綴りつつ, - お世話になっている本や道具の紹介 - 過去ツイートのサルベージ - 教科書や解説記事など出版物で書ききれなかった内容のシェア などを予定しています.

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          noteはじめました。トークってなんだろう

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