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ニキ・ド・サンファル ~松本路子の制作ノオト~

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松本路子が監督・撮影する、造形作家ニキ・ド・サンファルのアート・ドキュメンタリー・フィルムの制作ノオトです。10年間にわたるニキとの交流、その作品との出会いの物語、そして現在制作…
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2023年12月の記事一覧

ニキ・ド・サンファルの自宅を訪ねて~撮影ノオト

ニキ・ド・サンファルの自宅を訪ねて~撮影ノオト

フランスの造形作家ニキ・ド・サンファル。私がパリ郊外のニキの自宅兼アトリエを訪ねたのは1981年6月だった。当時のパリ、ポンピドゥー・センター館長だったポンテュス・フルテン氏がニキに引き合わせてくれた。

ニキは1963年に、パートナーの彫刻家ジャン・ティンゲリーとともに、この家に移り住んでいる。それまで暮らしていたパリ市内のロンサン袋少路のアトリエが取り壊されることになったのがきっかけだという。

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映画に付ける音楽についての、あれこれ、進行中!

映画に付ける音楽についての、あれこれ、進行中!

今月9日、ピアニスト青柳いづみこさんのレクチャー・コンサートに出かけた。最新刊の『パリの音楽サロン ベルエポックから狂乱の時代まで』(岩波新書)の刊行記念コンサート。ショパン「ノクターン作品9-2」の演奏から始まり、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」まで全8曲。澄んだピアノの音に包まれる至福の時間を味わった。

演奏の合間に、当時の作曲家たちの話や、サロンという場が、どのようにして芸術を生み出

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ニキ・ド・サンファルとの奇跡的な出会い

ニキ・ド・サンファルとの奇跡的な出会い

ニキ・ド・サンファルに初めて会ったのは、1981年6月。パリ郊外の彼女の自宅を訪ねた時だった。当時、私は世界各地で女性アーティストに会い、ひとり1枚の肖像を撮影していた。

ニキが1960年代、スウェーデンのストックホルム近代美術館に、2人のアーティストとともに作った巨大な女性像「HON(ホーン)」のことを知り、ぜひこのアーティストに会いたいと思った。結果として10年以上にわたり、ニキを撮影するこ

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