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写真にはドラマがある ~松本路子の撮影ノオト~

世界各地のアーティストの肖像を撮影する中で、忘れられないエピソード、写真のこと、自宅マンションのバルコニーから、60鉢のバラ・果樹の季節の便りなどを綴ってみたいと思います。本・映…
人やものとの出会いの物語りを、一緒に楽しんでもらえたら、嬉しいです。
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2020年12月の記事一覧

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本年中は、note松本路子マガジンをご購読下さいまして、ありがとうございました。「アーティストの肖像 ~撮影ノオト~」の連載記事、「日々の暮らしノオト」「ニキ・ド・サンファル 映画制作ノオト」も引き続き綴っていく予定です。来年もよろしくお願いいたします。

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ヴィム・ヴェンダース ~撮影ノオト~

ヴィム・ヴェンダース ~撮影ノオト~

ヴェンダースの写真展「ベルリン・天使の歌」などで知られる映画監督のヴィム・ヴェンダースが、2006年、東京で写真展を開いた。妻である写真家のドナータとの2人展。「尾道への旅」と題され、京都から尾道に向かった2人が旅先で出会った人や風景を撮影したものだった。

ヴェンダースは70年代に「都市のアリス」「まわり道」「さすらい」の3部作を制作し、旅する人物、風景の移り変わりを映像化したロード・ムービーの

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メレット・オッペンハイム ~撮影ノオト~

メレット・オッペンハイム ~撮影ノオト~

スイスのベルンにて「やり過ぎだね。ダリみたいじゃない?」と、作品を手にカメラに向かってポーズを取るメレット・オッペンハイム。1985年にスイス、ベルンの彼女の自宅を訪ねた時のことだ。

どの様な経緯でオッペンハイムの自宅に行き着いたのか、今は記憶もおぼろげだが、パリ滞在中にどうしても彼女に会っておかねばと、ベルン行きの列車に飛び乗ったのを憶えている。

私がオッペンハイムの名前を知ったのは、「毛皮

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マイヤ・プリセツカヤ ~撮影ノオト~

マイヤ・プリセツカヤ ~撮影ノオト~

瀕死の白鳥舞台の奥から登場する一羽の白鳥。小刻みに移動しながら、羽を動かし、空に羽ばたこうとするが、力尽き、やがて息絶えてゆく。バレエ「瀕死の白鳥」を踊るマイヤ・プリセツカヤの舞台はまさにそこに死にゆく白鳥が在るとしか思えないものだった。

死を目前にした白鳥の狂おしいほどの生への渇望、そして崩れゆく姿のはかない美しさに観客はただただ息を飲んで見つめるばかり。わずか数分の出来事なのに、その余韻の大

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