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父が脳梗塞で倒れた話4

父が倒れて4日目。
この日も14時半に駅でおばと待ち合わせた。

お互い、「気が重いなあ」とため息しか出ない。
父が生きるのか死ぬのか、誰にも分からない。

面会に行くと父は昨日とあんまり変わらない様子でぼーっとしていた。

何か話さなあかんなとは思う。
でも、何も出てこない。
まだ動揺してるし、病院と家の往復で日常に何も話すことがないし。
愚痴なら沸くけれど、愚痴は言いたくない。

相変わらず動かない右手を左手でかばっていた。

酸素マスクが嫌らしく、すぐに外す。
点滴の線が絡まるのが気になるようで、ずっと解こうとして触っていた。

そういえば昨日父のメガネを看護師さんに渡しておいたけど使えるのは当分先だろうな。
本が好きやったから、読めればいいけど。

視野欠損もある可能性があるって聞いてたけど、父の視点はちゃんと私や伯母の顔をとらえているように見えた。

昨日の朝、保険会社から保険の特約が使えるか分かりませんと恐ろしい連絡をうけた。
病院を出た後に伯母と一緒に父の家に行って保険のハガキを探す。

几帳面な父らしく片付いていたおかげではがきはすぐに見つかった。

探している途中、私と弟の子供の時の写真やら私が小学校の修学旅行であげたお土産やら色々出てきて、なんとも言えない気持ちになった。

いい父ではなかったけど、彼なりに子供のことは好きだったのは誰の目にも明らかだった。

何か食べて帰る?と伯母に誘われた。
でも、とてもそんな気分ではなく、断った。
今思えば伯母も食欲なかったんやろうし、ついて行けばよかったな。

母と息子は家の近所の居酒屋で友達と食事中らしくてそこに合流した。

皆何も言わなかったから、父の事は知らないと思ってたら、帰り際に「大丈夫か?」と聞かれた。
知ってても、あえて話題に出さないでくれて助かった。
伯母と祖父と話す内容はその話ばっかりで参ってたから、お酒を飲んで笑って、少しの気分転換になった。

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