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人工呼吸器をつけると、他にもこんなものをつける必要があるよ、って話

ついに首都圏で2度目の緊急事態宣言が発令されましたね。

新型コロナウイルスに感染して重症化すると「人工呼吸器をつける」ことになる。ということは、もうよく耳にされてご存知だと思うのですが、実際どうなるのかを見たことがある方ってなかなか少ないと思います。

そして一般の方が書いているドラマやアニメなどの解説ブログや医療に触れるブログなどを読んでいていると「酸素投与」と「人工呼吸器装着」がごっちゃになっている、または逆に捉えている方が結構いらっしゃるな〜と感じます。

ですので、今回は酸素吸入と人工呼吸器の装着の違いについて書いていき、さらに人工呼吸器をつけるとこんな感じになるよ〜ってことを知っていただければと思います。

まずは、酸素投与からです。

酸素投与

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口と鼻を覆う「酸素マスク」と、鼻の穴に短いチューブ状になっているものを装着する「酸素カニューラ」があります。

体の中にまで酸素のチューブ類は入っていません。

・会話はできる
・食事も取ることができる
・酸素のためだけに鎮静剤(眠らせる薬)はいらない
・酸素の量を増やしてもらっているものの、自分で息を吸って「呼吸自体は自分でしている」

という状態です。

普通に生活している私たちの周りにある空気中の酸素の濃度はおよそ21%です。でも、呼吸が十分にできない時はそれだと体に取り込める酸素が少ないので、チューブから100%の酸素を流して自力で吸ってもらっています。(※100%ではないこともあります)

人工呼吸器装着

急性期の場合、人工呼吸器をつけるには気管の奥の方までチューブを入れます。この場合チューブを入れることを「挿管(そうかん)」と呼び、入れるチューブのことを「挿管チューブ」とか「気管内チューブ」と呼びます。

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↑結構奥までチューブ入れられます。

そして、このチューブと人工呼吸器をつないで、普通の空気よりも酸素濃度が高めの気体を機械が肺に送ります。これが人工呼吸器で、自分で吸い込む酸素投与と大きく違います。

で、挿管されると呼吸器だけでなく他にもいろんなものが必要になってきます。次の写真を見ていただいてから、その説明をします。

実際にご自身が挿管されたことがある方が、その写真をツイッターにあげてらっしゃいました。この写真が挿管中の実際です。

口から出ている、向かって右側のが挿管チューブで、人工呼吸器に繋がっています。向かって左側の水色のは「バイトブロック」と呼ばれ、この挿管チューブを歯で噛み潰してしまわないようにするためのものです。チューブを噛み潰して息ができなくなるのを防ぎます。

そして挿管中は、鎮静剤(眠らせる薬)を使います。患者さんが動いて(もしくは自ら引っ張って)チューブが抜けてしまうのを防ぐためや安静のため、そして患者さんの苦痛を減らすためです。薬で眠っている状態は普通の睡眠とは違います。

鼻から出ているチューブは胃まで入っています。人工呼吸器中は胃の中にあるものを吐いてしまうと、吐物などが口から挿管チューブを伝って肺に入ってしまい肺炎の原因になります。なので、胃液などはチューブで胃から抜く必要があります。

ですから、食事は当然食べられません。

声を出すときは「声帯」を肺からの息で振るわせて声が出るのですが、チューブが入っているので声も出せません。

このようなことから、会話することもできません。

尿量を管理するために尿道にはおしっこの管も入れられます。入れっぱなしです。結構不快です。

手などに入れる点滴とは違う、太い点滴を首に入れます。CVと呼びます。この点滴は、ご飯を食べられないので高カロリーの点滴をしたり、手などの点滴に入れた時に漏れてしまったら細胞が壊死を起こしてしまうような薬や、確実に投与したい薬などを入れるルートとして使います。簡単に抜けてしまわないように皮膚に縫い付けて固定します。もちろん、さらに普通の点滴も手や足に入れられます。

そして、挿管中は基本、体を自由に動かせないようになんらかの形で固定されます。寝返りを打っちゃってチューブが抜けたり、薬で頭がぼーっとしている中で口のチューブ嫌だーっと無意識に手を伸ばして抜いてしまったりしないようにです。

そしてとても苦しい「気管内吸引」。挿管中は数時間に一度定期的な痰の吸引が必要になります。この挿管チューブの中に、さらに細いチューブを入れて痰を取ります。その際、咳が出るし痰の吸引と一緒に空気も吸われるのがとても苦しいそうです。(患者さんから聞きました)

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人工呼吸器を装着するというのは、自由に動ける日常生活を送っている方にとっては本当に苦痛の多いことのようです。

酸素投与の場合は、酸素のチューブをつけるだけですが、人工呼吸の場合は挿管チューブの他に

1.バイトブロック
2.胃管
3.尿管
4.CV
を付けなくてはならず、さらに体を自由に動かせないように固定されます。
(心電図モニターやSpO2モニターといったモニターももちろん付けます。侵襲的ではないので今回は割愛しました)

終わりに

重症化して人工呼吸器をつけるということがどんなことかは日々のニュースなどではあまり伝わってきません。呼吸器が足りない、病床が足りないというのハード面だけでなくそれだけ人手も足りないということです。

今、この感染症で医療が圧迫されて、脳卒中や交通事故などの方の受け入れ先がなかなか見つからずに、本来なら助かる命が医療を受けられずに命を落とす可能性が出てきています。もう起きているかもしれません。

この記事で人工呼吸器や重症化のイメージが正しく伝わるといいなと思います。そして早く収束してまた様々な活動ができる世界に戻れるよう願っています。

それではまた🙂👋








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ゆっこ 二児の母/小児科看護師
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