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【子どもの事故予防】子どもにとって危険な「子ども向けの製品」も実は結構ある

皆さまは「8割当たる宝くじ」があったらどうしますか?私なら買います。だって自分は8割に入れそうな気がするから!

じゃあ、「あなたの子どもが8割の確率で受診が必要な事故に遭います」と言われたら?「うちの子に限って、そんなわけない…」って思いがちです。これ、正常性バイアス。

正常性バイアスとは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。(Wikipediaより)

しかし「10人のうち8人は3歳までの間に医療機関を受診するような事故に遭遇していた」※1)というデータもあったようです。(孫引きですみません)

子どもの事故は転落・転倒、熱傷、窒息、切り傷、誤飲誤嚥、溺水、交通事故などに分類されます。重症度も家庭内の処置で済むものから死亡に至るまで様々です。

こんなご時世なので、自宅で過ごす時間が増えて、家庭内での子どものケガが増えているのではないかな…と懸念しているところです。

今回は、子どもの事故(傷害)についてお話します。ちょっといつもより長くて盛りだくさんですが、最後までお付き合いいただければ嬉しいです😌

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理由は後ほど言いますが、小児医療においては子どもの「事故」のことは「事故」ではなく「傷害(しょうがい)」と呼んでいます。

子どもの死因

厚生労働省の「平成 30 年(2018) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」※2)の「第7表 死亡数・死亡率(人口10万人対)、性・年齢(5歳階級)・死因順位別」によると子どもの死因はずっと「不慮の事故」が上位を占めています。※5〜9歳の男子の死因の第一位は不慮の事故

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まだまだたくさんの子どもたちが病気以外のことで命を落としています。また、命を落とさないまでも、後遺症が残ったり、受診が必要になるような怪我をしています。

先ほどもお伝えしましたが、「10人のうち8人は3歳までの間に医療機関を受診するような事故に遭遇していた」というデータもありました。これは親が全員子どもを放置していたわけではありません。普通の家庭でも起こり得ることです。

実はうちの子も3歳までに二人とも受診することになりました😓私はこれらの知識を持って2人を生んだので、小児看護の傷害予防の知識を総動員して、対策は出来る限りしていたつもりだったのに…(二人とも転倒による怪我でした)

「親が見ていなかったから傷害は起きた」ではない

事故(傷害)が起きると「ちゃんと注意していなかったから」「ちゃんと見ていなかったから」と親の責任であることが当たり前のように言われてしまうことがあります。親自身も、「自分がちゃんと注意していなかったから」と思いがちです。しかし、事故(傷害)を個人の責任にしてしまってはなんの解決にもなりません。そして実際なっていません。

ハッキリいいます、見ていても傷害は起きます。目の前で一瞬で起きます(起きました)。

そして、子どもずっと見ていることは不可能です。

大抵の人は育児は家事とセットなことが多いでしょうし、家事をほとんどしなくていいとしても自分がトイレにいくときなど目を離さざるを得ません。また、疲れ果てて自分だけが寝てしまうこともあります。

子どもの事故(傷害)予防は、「目を離しても安全なように物理的に環境を整えていく」ことが大切です。「ちゃんと見ておくから」はなんの対策にもなっていません。

子どもの傷害予防を専門としている山中龍宏医師は、「社会全体が、子どもの事故は重要な健康問題であると認識しなければならない」、「社会が取り組まないと子どもの事故は予防できない」と述べています。

「事故」ではなく「傷害」

スーパー大辞林※3)によると

【事故】①悪い出来事。思いがけず起こった災難。

と言われています。しかし、今回のテーマ「子どもの事故」は「同じような製品・状況下で同じようなことが起こっていて、思いがけないことではない」ことから、「子どもの事故」ではなく「子どもの傷害」と呼んでいます。アメリカでは20年以上前から「事故」ではなく「傷害」と呼ぶようになっています。

ただ、一般にはまだまだ認知されていないため、わかりやすく「子どもの事故」と呼ぶことも多いです。今回の記事のタイトルも、そのような意図で「事故」という単語を使いました。

起こらないようにするには、物理的な対策が必要

同じような製品・状況下で同じような傷害が繰り返し起こっています。ただ「気をつける」「目を離さない」では完全な対策になっていません。

よって、家庭内の環境を見直し、物理的に子どもが触れられない、その場所に行けないなどの対策が必要です。

根本的には製品の改善により物理的に対策をするのが一番です。しかし、ただの親の私には直接製品を改善することはなかなかできません。私が考える「親としてできること」は

・命に関わる事故に関しては全て対策する(下記のpdfなどを参考に)

・自宅の環境を物理的に子どもの目線になって見てみる。(屈んでみる、近づいてみる)

・どんな事故が起こっているかの情報について収集し続けてその製品を避けたり、生活に必要で使用するときはそのリスクを頭にいれて物理的な対策をしておくこと

・万が一怪我をした場合は、その製品で起こった事故について報告できるととってもいい(これはかなり難易度は高いと思いますが…)などです。

傷害速報・類似事例への投稿は一般の人は専用E-mailアドレスから投稿できます。(後述ページに詳細があります)

子ども向けの製品でも傷害は起きている

子どもが使うことを想定されていないような製品でのよくある傷害は少しずつ知られるようになってきているし、周囲の大人もなんとなく「あぶないな」という認識はあります。

例えば台所の包丁や、ボタン電池、タバコなどは、何でも口に入れる乳幼児を目にすると、ほとんどの大人が「小さな子どもにとって危ないもの」だと認識できますね。もちろん、それらでの傷害もまだまだあります。危ないと思っていても物理的な対策ができていなかったり、不十分だからです。

そのような傷害についても、「目を離した親が悪かった」で済ませずに、短時間目を離していても子どもが危険なものに触れたり、危ない目に合わないような環境、ルールを家庭内でも作っていく必要があるのです。まぁそれはそれとして。

実は一見大丈夫そうな、子ども向けの商品でも傷害は起きています。

例えば

・スーパーボールの誤飲による窒息
・風呂用浮き輪による溺水
・首浮き輪による溺水
・抱っこ紐からの転落
・ベビーガードとベッドとの隙間で発生した窒息 などです。

そのような傷害の報告を受けて、製品そのものの改良で子どもの障害を無くしていこうという取り組みはあります。ただ、改良された製品になるまで時間もかかります。また中古のものを使うこともあるかもしれません。そして新しい種類の商品が出るたびに新しい傷害は発生します。色々配慮して作られても、子どもの行動はいつも大人の想像を超えているからです。

そこで、どんな傷害が起こっているか、ということに関しては親がアンテナを高くしておくのもひとつ大切なことだと思っています。

「傷害速報」で、全国でどのような傷害があったのかを知ることができる

日本小児科学会のHPに「Injury Alert(傷害速報)」というページがあります。そこを見ると、子どもが何でどのように怪我などして、それに対してどのような治療がされて、結果どうなったのかが1例1例非常に詳しく載っています。これはこのような経緯で傷害が起こったよ、という情報をみんなで共有するためです。

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医療者向けの内容で専門用語が出てきますが、「発生時の詳しい様子と経緯」は一般の方も普通に読めます。

「治療経過と予後」は専門的な内容で一般の方にはイメージしにくいことが多いと思いますが、「どうなったか」はわかります。

Injury Alert(傷害速報)はこちらから↓見ることができます。

↑このページの「傷害速報一覧」のちょっと上に、先述の専用メールアドレスも書かれています。

Twitterではこちらのアカウントがオススメです

それでなくても子育て忙しいのに、「そんなしょっちゅう傷害速報気にして見られないよ!」って方もいらっしゃると思いますが、そんな方はTwitterのこちらのアカウントがオススメです🐥

↑こんな感じで「こんな道具でこんな事故があったよ!こうしましょうね!」と教えてくれます。是非フォローしてみてくださいね❗️

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子どもがしなくてよかった痛い、辛い思いをしないよう、子どもを守れるのは周りの大人のちょっとした意識と行動です。子どもの命や健康は、一番守るべきものです。どうか他人事と思わずに、「物理的な」対策をして予防していただければと思います。我が家も引き続き対策をしていきたいと思います。

以下のリンクに物理的な対策やポイントがたくさん載っています。是非参考にして対策し、お子さんを守ってくださいね🙂

日本小児科学会の「子どもの事故と対策」というpdfが無料でダウンロードできます。↓

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冊子でほしい方は、送料のみでもらえます。詳しくはこちらから↓

教えてドクターのpdfはイラストが多くわかりやすいです。

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教えてドクターのpdf(全ページ)はこちらから↓無料で見られます。

実際に我が家で起こった子どもの事故(傷害)についてもご紹介したいと思います。それではまた次回\\\\٩( 'ω' )و ////

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山中先生は子どもを傷害から守るために活動されている小児科医です。リンク先の4つの記事、非常にわかりやすく大切です。是非お読みいただければ幸いです。

私も過去にこんな記事も書きましたので、もしよろしければこちらもどうぞ。↓こちらは私の個人的な意見です。

引用・参考)

1)厚生労働省 平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況

2)日本赤ちゃん学会.子どもの事故予防へのアプローチ.山中龍宏氏

3)編者:松村明.スーパー大辞林3.0.三省堂編修所.Version.4.2.3



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