野草園の朝さんぽ
4月の初旬に、はじめて仙台市の野草園に行きました。ずっと気にはなっていたのですが、新緑がきれいになってきたタイミングで気持ちが高まり、ついに訪れることに。
駐車場に車を止め降りてみると、仙台市内だというのにとても静かで、鳥の声だけが響いています。園内に入る前から既に気持ちのいい場所です。
野草園の建物に入って、まず目の前に現れるのが喫茶店と展示スペース。コーヒーや、アイスクリーム、みたらし団子、軽食も楽しめるようです。既に散策を終えたであろうご年配のグループも、テーブルを囲んでお茶をしていました。みたらし団子に心惹かれつつ、まずは地下の受付へ。野草園の入場料は大人で240円!!この気軽さなら何度でも足を運びたくなります。
受付で案内図をもらい、早速森の中へ。園内にはお花を紹介するたくさんのプレートが立っていて、こんなにたくさんの種類が保存されているのかと驚かされました。ほとんどはまだ咲いていなかったのですが、わずかながら花をつけている植物も。普段なら気づかず通り過ぎてしまうような小ぶりの花なのですが、ほぼ緑一色の中で見つけると、喜びもひとしおです。景色を見るのと観るのでは大違いですね。
野草園には様々なエリアがあります。入ってすぐには高山植物、薬草。そこから下っていくと沢があり、日陰や湿地を好む花たちを観ることができます。日差しが強い日でも、その辺りは湿気が多くひんやり気持ちがいい。柄杓で手水を取ることも出来ます。
沢を下ると針葉樹の森があります。針葉樹の中に入ったときの、冷たく澄んだ空気が好きです。杉や松、シダの生えた少し薄暗い森の中を歩くと、心が落ち着く感じがします。
一番下ったところには、ひょうたん池(たしかそんな名前)があって、水生植物区となっています。ここから折り返しで登り坂。あじさい区やどんぐり山(かわいい!)を抜けて、入口近くの芝生広場に戻ってきます。芝生広場にはピクニックシートを広げている人達がたくさんいて、思い思いの時間を過ごしていました。
これはきっと季節ごとに楽しいに違いない!と、5月か6月頃にリベンジしようと決めたのでした。
そして5月のある土曜日、朝散歩の野草園。春先より開花している花も増え、それと共に蜂が元気に活動していました!行く先々で「こっちは俺のテリトリーだー!」と言わんばかりに道のど真ん中に居座るので、その度に迂回しながら進みます。特に見頃だったのがアヤメ。水生植物区に黄色や紫の鮮やかな花を観ることができました。
水辺にはカモが一匹。じっと動かず、休んでいるのか。
反対に元気いっぱいだったのが、うぐいす。針葉樹の森の近くに行くと、競うように鳴いていました。「ホーホケキョ」と鳴く子もいれば、「ホーホケキョギョ」と鳴く子もいて、「メスに向けて自分の個性を打ち出してるんだね」なんて言いながら、微笑ましく耳を傾けていました。
写真はないのですが、ノカンゾウという食べられるオレンジ色の花もたくさん咲いていました。
もう少しするとあじさい区が見頃になるのでしょうか。でも5月の朝だというのに日差しが強く、これ以上季節が進むと、お散歩も厳しくなりそうです。
そんな中で嬉しかったのがケヤキの木陰。たくさん歩いて息も体温も上がっている頃に辿り着いたケヤキの大きなまぁるい木陰で、ホッとひと息つきました。仙台といえばケヤキ並木が有名ですが、街路樹ではこんな大きさはお目にかかれない!
この木は何歳なのでしょう。いろいろな人の手によって何十年も大切に育まれてきたのだと思うと、感慨深いものがあります。
昔から自然に触れるのが好きで、若い頃はスノーボードやボディーボード・登山などに親しんできたのですが、アクティブなものは段々と疎遠になっていき、今はこうやって森の中を歩いたり、園芸屋さんを見に行ったりするのが楽しみになりました。
野草園を巡る途中、植物を見ながら何か熱心にメモを取っておられるご年配の方に遭遇しました。いつか私も、じっくりと植物に向き合うようになるのでしょうか。
段々と「静」なものにも魅力を感じるようになってきた、今日この頃です。