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この花は知っている

ヒヤシンス・プロジェクトその後  on.18
始まりは何時かわからない。
でも、ベランダの鉢にはスミレの花が咲いている。
この花の名前を教えてくれたのは、朧月夜さんだった。

この花だったのかと、今更ながら想う。
この花なら知っている。
近くの交差点の手前に、毎年咲いているのだ。
アスファルトの隙間から一列に並んで花を咲かせている。
毎年変わることなく必ず花を咲かせている。

春が来るたびに、私は何時も見ていた。
ここに越して来てから、もう10年が過ぎた。
その存在に最初に気づいたのは何時だっただろう?

植物は文句を言わない。
咲ける場所で咲く。
そう語っていたのは、日本画家の堀文子さんだった。
植物になぜ魅力を感じるのか?
彼らは強い。

あの場所を通るたび目にとめていた花が、自宅のベランダに自ら来てくれた。
5階のベランダまで…これは偶然?
普段はあまり使わない言葉がふと脳裏をよぎる。
何かの縁だろうか?
不思議な巡りあわせに感謝。

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