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動画クリエイター養成科 #5わたしの得意なこと
動画のピラミッドとは
①分かる動画
「なにが写っているのか」「なにを言っているのか」がわかる動画
②伝わる動画
「作り手がなにを伝えたいのか」がわかる動画
③シェアされる動画
視聴者が他の人にもおすすめしたくなる動画
①「分かる動画」が根底にあり②「伝わる動画」が真ん中に位置し、③「シェアされる動画」がてっぺんに三角形のピラミッドは形成される。
シェアされる動画は一見よさそうにも聞こえるけど、
バズりと炎上は紙一重
なので、まずは真ん中の伝わる動画を目指しましょうとのことだった。
授業は台本制作実習に入っていた。
動画の企画を考えるまえに、まずはこのピラミッドを理解しなければいけない。
***
講師は授業の合間にフリーランスでの働き方をうれしそうに語っていた。
講師業をしながらフリーで動画編集の仕事も受け、身の上話を毎日クラスで共有していた。
フリーランス最強説
はい、嘘です。
わたしはそう思っている。
もう企業に雇われるような時代じゃないのは分かっている。
だけどフリーランス・個人事業主 そんな聞こえのいい言葉だけに惑わされて、会社を離れてフリーで働き始めるも結局うまくいかず、会社に戻ってくる人を何人もみてきた。
え、ご自身でビジネス始めたんじゃあ??
なんて聞けるわけがない。
なんとなく状況を察する。
よっぽど実績がある人や、自身の収入が世帯の主軸となっていない人(配偶者いるとか)以外は、何の経験や準備なしにフリーランスだけで生活していくのはわりと難しい。
フリーランスでやっていくには、モノづくり以外の能力も必要。
仕事だってとってこないといけない。営業的な役割もある。
しかもそれは一時的ではなく毎月のこと。
そのときの運やタイミング、人脈も大きいと思っている。
だからみんな副業をする。
この仕事が好きだけど、主軸となる最低限の収入は確保しておかなければいけない。
自分のしたいことだけを仕事にして、生活成り立ちませんでした。
そうなるよね。
本当にしたいことなら、初めのころはそこからの利益に期待してはいけないし、副業するくらいの覚悟は必要。
イラストレーターの友人が、イラスト描きながらアルバイトを続けて、10年目にしてやっと「イラストだけでご飯食べていけるようになりました。ずっと応援してくれてありがとう。」と報告してもらえたときの嬉しさといったらない。
それだけ地道で大変だということ。
だから安易にフリーランスをキラキラワードにしてはいけない。
一方わたしは、税金の手続き〜とか、年一回の健康診断の手続き〜とか会社にしてほしいタイプ。
また自分の制作物がどういった成果につながっていくのか、長期的に間近でみていたい。
さらに、旅行もいきたいし、カフェめぐりもしたいし、美容も楽しみたいし、本も読みたい。
会社に行けば制作業務に集中し、休日は自分の好きなことをして感性を磨く。
全ての時間に生活がかかっていると思うと、旅行なんて行っている場合ではない。
そうなってくると、アイデアを出すサイクルが回らない。
だけどわたしがフリーになりたいと思わない最大の理由は、ずば抜けた技術力、編集スキルに自信がない。
***
台本制作実習ではコンテ表作成を行う。
どういった流れで動画が展開していくのか、企画立案〜コンテ作成をしたあと撮影、編集に入る。
【基本的な動画製作の流れ】
Step1.企画
①企画の立案
②脚本台本作り
③コンテの作成
Step2 撮影
④撮影
⑤素材の準備
Step3 編集
⑥オフライン編集
⑦オンライン編集
⑧マルチオーディオ
⑨書き出し
Step4 公開
⑩公開
今回コンテ表はイラストレーター(Adobe Illustrator)を使って作成することになり、台本制作と併せて略してイラレの操作方法についての簡単なレクチャーがあった。
課題の内容は、食品の新商品を紹介する動画のコンテ表。
わたしにとってイラレは使い慣れたグラフィックデザインツールだった。
しかし皆にとってイラレの操作は大いに頭を悩ませていた。
それに加え今回は講師の説明だけでは、コンテ表もどのように進めていいかわからないような授業だった。
訳が分からず課題の時間だけが過ぎていくなか
「コンテ表の課題をしているのか、イラストレーターの課題をしているのかわからないな~」
ぼそっとつぶやいている声が聞こえてきた。
おそらく今まで課題制作に入るとき、Step2の撮影・素材集めから制作をはじめていた人が多いように思えた。
***
そのころわたしは淡々と課題を進めていた。
台本制作実習は楽しみにしていたカリキュラムのひとつだった。
なので軽い説明だけで課題に突入し、皆が理解できない理由もよくわかるし、期待していただけに物足りなさを感じていた。
台本の授業と聞いて、このカリキュラムを終えるころには画期的な変化が成し遂げられると勝手に思い込んでいた。
シナリオ教室にきているわけではない。
だけどいつも考えていた動画と視聴者を結ぶ動線の引き方のヒントが含まれている内容だと思っていた。
それくらいわたしにとって構成は重要なことだった。
***
今回の課題発表は受講者全員ではなく、時間の都合上、講師が選んだメンバーだけがクラスで発表をする。
なんとなく、わたしは発表をしなければいけなくなるんじゃないかと思っていた。
名前を呼ばれた受講者がコンテ表の内容を発表していく。
出来がよいコンテ表を作成した人だけが選ばれているわけではない。
あまりにも情報量が多すぎてまとまっていなかったり、新商品に必要な情報が含まれていなかったり、
普段はビジュアル的にクラス中が目を引く課題制作を行う受講者も、コンテ表を見せてもらうと何がなんだかわからなかったりした。
動画編集を行い手を動かしながらアイデアをだすと言う。だからコンテ表作成の段階では何のアイデアもでないと。
その気持ちはよくわかるけど、それをしてしまうと時間が大幅にかかってしまい効率よく制作ができない。
そんなことを思いながら、発表者たちのコンテ表を眺めていた。
そして課題発表の時間も残りわずかになり、わたしの番は回ってこなかったと安心したのも束の間、この発表の最後はわたしがすることになった。
***
わたしのコンテ表は、店頭の商品前で流される動画と想定して構成を考えた。
わたしが思う紙の広告物と異なる点は、
動画はシーンの切り替えができ、音声やBGM、効果音を付けることもでき、字幕やテキストをシーン毎に加えることだってできる。
よって情報が多くなりがち。
だけど商品のビジュアルを写しながら、◯月◯日、△△社から新商品が発売されたのでおすすめします。美味しいのでぜひお試しください!
これだけでは動画広告としては弱い。
わたしが新商品の紹介として動画をつくるなら、新商品のお知らせをしたあと、他社製品と比較を意識できる製品の特徴を謳う。
たとえば
△△社(〇〇食品名)の特徴は
1.おいしいを生み出す自社独自の製法
⇒他では真似することのできない製造過程
(独自製法により他社製品では苦み臭みがあったものを改善など)
2.美容や健康に良い成分をプラスしている
⇒一石二鳥、三鳥できる要素
3.契約農家の有機栽培でつくった食材を使用
⇒安全な食材を安心して食べれることをアピール
そのうえで、だからどういった人におすすめしたいのか定義してあげる
△△社の(〇〇食品名)は、こんな人におすすめ!
・こだわりの(〇〇食品名)を食べたいかた or
おいしい(〇〇食品名)を探しているかた
・いつも美容や健康に意識しているかた
・有機農法に興味のあるかた など
この内容を情報量が多くなりがちな動画で、明瞭かつ簡潔にまとめる。
そして最後に
「△△社の(〇〇食品名)で暑い夏を乗り切りませんか」でコンテ表をしめた。
おすすめしたい人を具体的にあげるのは、
特徴だけを伝えて、売り手の一方的な発信にしないため。
視聴者に自分事のように考えさせ購買意欲につなげる。
”新商品でました。特徴はヘルシーで美味しくて、最近売れてるんです。だから買ってね!”だけでは
「へぇ~そうですか。お金に余裕があったらね」で通りすぎませんか?
「そうそう、こんなの欲しかったの!」と思わせるための誘導。
印刷物の制作をしていた経験から思いついた内容だった。
ただ今回のわたしのコンテ表は購買意欲につなげるためのひとつの例であり、食品だったら、美味しそうな動画のシーンを並べて「食べたい!購入したい!」と視覚的に思わせる手法もたくさんあるだろう。
「今回の課題をクリアできたのは、MさんとOさん(他の受講者)です」と講師は言って台本制作実習は終わった。
***
どの課題発表のあとも、まずクラス全体がどんな制作物にしようか検索から始まる。
課題をどのようにつくり上げるかネット上で参考になる動画や資料を探す。
グーグルやユーチューブを検索するときのカタカタとなるタイピング音が次第になくなり、作業するときのマウスをスーッと引く軽い音やクリックをする、カチッに変わる。
しかしクラスのほとんどが編集作業に入っているなか、ただひとりだけ教室に響わたるくらい永遠にいつもカタカタ カタカタ。
わたしは編集のスタートがだれよりも遅かった。
だけど土台づくりは最も大切なプロセスだと考えていたので、たくさん情報を収集してイメージが膨らみきったあとにしか動くことができなかった。
台本制作実習を苦労することなく進めることができたのは、課題制作に入るときいつもStep1.企画、全体の構成を意識していたからだった。
動画制作を始めて、わたしのつくる制作物にはいつもストーリーがついていることに気づいた。
***
ずば抜けた技術力、編集スキルに自信がない、わたしの得意なこと。
それは自身の制作経験を踏まえた、ディレクションと全体の構成案作成だと思っている。
自分の得意、不得意を理解したうえで、進路や働き方を選んでいかないといけない。
とりあえず試してみる。
そうしないと、なにが得意で、なにが得意じゃないのかもわからない。
なにが好きで、なにが好きじゃないのか。
なにがわたしに合っていて、なにがわたしに合っていないのか。
そうやって、自分自身を知り未来を描く。
無意味なことなんてなにもない。
きっと辛かった過去でさえも。
あらゆる経験が自分自身を知り、良い方向に導く材料になっている。