とある展示をみて
暗い広い空間の中に、大きな球体や、ひび割れた球体、吊り下げられた小さな三角錐の集合体がある。
それらは全て備前磁器でできていた。
備前焼ではなく、備前磁器。
だからどれもこれも白い体をしていて、
ほの暗い展示会場に浮かび上がっていた。
遠く、近く、
空間を、素材を、
楽しんだ。
引きちぎられたように割れた球体は、恐竜の卵みたいに見えた。
青みがかった直径50cmくらいの球体は、氷河期の地球に見えた。
青い部分はコバルトでできているそうだ。
また、釉薬がかかった部分は濡れたような艶があった。
まるで磁器から乳白色の水がじわじわと湧き上がっているようだった。
この展示は、石田和也さんという世界的な備前焼作家さんの個展だ。
日本酒と備前磁器でコラボ企画をさせていただき、ご縁ができた。
真っ白な備前磁器は、例えるならばひとつひとつが知性を持ち合わせているような、ツンと澄ました雰囲気があり、大変美しい。
それらにスポットライトがあたり、暗闇に浮かび上がった姿は何とも神秘的だ。
作品たちの肌はわざとごつごさせており、地中深くに眠っていた鉱石を掘り起こして持ってきたような自然さと力強さがある。
白く薄くか弱いのではなく、白く硬く重い展示たち。
触らずとも重量を感じられた。
展示期間は終わったが、また展示があれば是非ともお邪魔したい。(写真は同作家さんの作られた片口でした〜)
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