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彼岸花を見て思い出す曲がある

彼岸花、別名「曼珠沙華(マンジュシャゲ、マンジュシャカ)」は、品種改良されているのにも関わらず野山に馴染む強さと毒々しさがある。

毒々しさというより、実際にアルカロイド系の毒を球根にたくわえているんだから、そう見えて当たり前っちゃ当たり前だとも言える。

お墓やら田んぼの畝やらに彼岸花がよく植えられているが、モグラさんや虫さんに土壌を掘り進まれないようにという工夫だそうな。

山口百恵ちゃん(以下、百恵ちゃん)の曲にも『曼珠沙華(まんじゅしゃか)』という歌があるのでぜひとも聞いてみて欲しい。


♪:涙にならない悲しみがあることを、知ったのはついこの頃~
形にならない幸福がなぜかしら、重いのも今日この頃~


という歌い出しから始まるこの歌はどんな考察をしようにも悲恋の歌なんだろう。
もちろん阿木燿子と宇崎竜童のタッグが織りなす、隠れた名曲だ。
明治大学出身の、あのご夫婦と百恵ちゃんの歌声の相性がたまらなく良く、色々と曲を聞きかじっている。


♪:あなたへの手紙、最後の一行、思いつかない。どこでけじめをつけましょう。


この歌の主人公(きっと女性)は幸せな状態なのだが、彼なり旦那さまなりとの別れを切実に考えている。
最後の一行は、「今までありがとう」なのか、「サヨナラ」なのか、そもそも別れ自体を躊躇っているのかもしれない。


♪:曼珠沙華 恋する女は、曼珠沙華 罪つくり

その別れの理由も、他に好きな人ができたからなのかもしれない。

♪:白い花さえ真紅に染める〜

純粋に愛した相手を捨てる、純愛しか知らない自分が裏切り者となる、そんな例えを白い花が紅く染まると表現している気がする。


良くも悪くも昭和の名曲はコンプライアンスすれすれの加減が上手い。歌詞が鮮明で鮮烈で生々しく、だからこそグッとくる。
生の言葉には体温があって、生きたまま内臓を引きずり出したようなあたたかさを感じるのだ。三島由紀夫の文章にもそんな雰囲気があるんだけど、それは後の話にとっておこう。

とにかく、百恵ちゃんの曼珠沙華は私の十八番なので皆様一度聞いてみて欲しい。ぜひに。

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