革靴サークルで靴を磨いた話
「靴磨きって、写経みたいだよ」
って、いつか誰かが言っていた気がする。
年に2回、春秋に岡山県岡山市で開催される革靴サークルでは、皆が愛する革靴を持ち寄り各々のペースでお手入れをする。
参加費は1000円ぽっきり。
革靴用のお手入れアイテムや県内外の知識人がギュッと集まってくれるから、革靴初心者の私でも心強い。
普段から革靴のお手入れなんてしていないズボラな私には、年に2回の革靴サークルが絶好のチャンスなのだ。
私は普段ライターの仕事をしているのだが、取材現場によっては、ヒールで行けない場所が沢山ある。
畑とか工場とかは、その最たるものだ。
安全靴まではいかないにしろ、Dr.Martensを履いていれば足元に安心感がうまれる。
私に安心感をくれる相棒のマーチンは、砂や煤でまみれていた。
靴を机の上におき、(もちろん敷物をしいてるよ)顔を寄せて、ブラッシングする。
日常ではまず無い行動だと思う。
顔を寄せて、汚れがきちんと落ちているか確認する。そして、クリームを直接指で塗る。
お手入れのときは、
終始、革靴を生き物のように優しく扱った。
そして気づくと、サークル開催の13時30分から2時間半が過ぎている。
周囲とまったり話をしながらお手入れをするのだけど、革靴サークルのときはいつも時間の流れる速さに驚かされる。
没頭するという点で、本当に写経みたいだ。
冬は革靴の季節。
今年も年末にかけて取材の予定が詰まっている。
もしも、私のカレンダーを革靴くんが見たのなら、震えるかもしれない。
来春の革靴サークルまでもうしばらく我慢してくれたまえ、革靴くん。