財政改革は道半ば 堺市の財政について調べみた件
こんにちは、海原雄山です。
今回は、堺市の財政について調べてみました。
選挙管理委員会の判断により、統一地方選との同日実施が見送られた堺市長選が近づいてきました。
政治と金がらみのスキャンダルで任期半ばにして前市長が辞任したことに伴う市長選で当選してから4年。永藤市長は、2期目に挑戦する意向です。
それでは、永藤市政でどのように堺の財政は変わったのか、2021年度の最新決算データももとに詳しく見ていきたいと思います。
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堺市ってどんなところ?
まず、そもそも堺市がどんなところかについて簡単にご説明させていただきます。
人口約83万人(2022年1月1日現在、住民基本台帳ベース)の人口を抱える、大阪府内の政令市です。
南北朝時代以来、日明貿易等で栄え、安土桃山時代には商人による自治都市となった歴史があります。(その後織田信長、豊臣秀吉の庇護下)
2005年に美原町を合併し、翌年政令市に移行しました。
大阪市に隣接しており、大阪市のベッドタウンとしての一面を持ち、居住人口に比べて昼間人口の割合が低く、大阪都市圏に含まれています。
近年、大仙陵古墳(仁徳天皇陵)を含む「百舌鳥・古市古墳群」が世界文化遺産に登録され(大阪府内で初)、観光都市としての一面も芽生えつつあります。
堺市の財政について
では、本題に入りましょう。
今回は、ようやく公開された2021年度までの直近5年間の決算カード等をもとに分析していきますので、特に断りが無ければ、2021年度の数字であると捉えてください。
また、類似団体とは、各市町村等を人口および産業構造等により全国の市町村をいくつかのグループに分類したもので、堺市は「政令指定都市」という類型に属しています。
各種指標の状況
①財政力指数
財政力指数は「0.79」で、類似団体の平均「0.84」を下回っています。
財政力指数とは、地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額を基準財政需要額で割り算して得た数値の過去3年間の平均値ですが、ここで基準財政収入額(同需要額)は、だいたいどれくらい自治体運営にあたって財源を確保できそうか(どれくらいかかりそうか)を示す指標だととらえてください。
その数値が高いほど収入にゆとりがあり、1を下回っていれば、地方交付税交付金がその分支給されると大まかに捉えてください。
堺市は、他の類似団体に比べても、歳出の割に税収がやや貧弱といえます。
しかも、右肩下がりで下がってきており、類似団体平均から引き離されつつあります。
堺市は、「社会福祉費の増加などにより基準財政需要額の規模が大きく拡大しているのに対し、基準財政収入額の規模は需要ほど拡大していないため、3ヵ年平均で求められる財政力指数は下降傾向となっている。令和3年度は、国の補正予算による普通交付税の再算定が行われ、基準財政需要額が増加したことにより財政力指数は下降した。類似団体平均を下回る状況が続いているため、市税の徴収強化等による歳入の確保に努め、指数の改善を図る。」としており、歳入の増加に向けた取り組みが待たれます。
②経常収支比率
経常収支比率は「93.7%」で、類似団体の平均「92.7%」より数字として良くないと考えられます。
経常収支比率とは、経常的な経費に経常的な収入がどの程度充当されているかを見るものです。比率が高いほど自由な施策が打てなくなり財政構造の硬直化が進んでいることを表すものです。
つまり堺市は、他の政令市と比べ財政の自由度が比較的低いと言えるでしょう。
なお、直近で経常収支比率が下がっていることについては、「令和3年度の主な改善要因は、大部分が地方交付税の制度上の影響によるものであり、あくまでも一時的なものである。経常的な歳入歳出の構造自体に大きな変化は無いため、社会保障関係費の適正化に資する施策の実施に加え、市税の徴収強化等による歳入の確保や、行財政改革を一層推進し、指数の改善を図る。」としており、一過性のものであるようです。
また、堺市に限らず、政令指定都市全体が前年度より経常収支比率が下がっているため、全国的な傾向と言えるでしょうが、2017年度から2020年度にかけて経常収支比率が上昇し、100%も超えるような状況であったことは異常であったということは認識しておいた方がよいと思います。
③将来負担比率
将来負担比率は「0%」で、類似団体の平均「72.8%」より、数字としてかなり良いです。
将来負担比率とは、地方公共団体の一般会計等の借入金(地方債)や将来支払っていく可能性のある負担等の現時点での残高を指標化し、将来財政を圧迫する可能性の度合いを示す指標で、標準財政規模(地方公共団体の標準的な状態での通常の収入と捉えてください)に対する「特別会計、第三セクターまで含めた地方公共団体の負債総額から積立金などを差し引いたもの」の割合を示したものです。
つまり、借金から貯金を引いたものが収入に対してどれくらいの割合かを示したものと捉えてください。(早期健全化基準:政令市では 400%)
元々堺市はこの指標が良好であるため問題はありませんでしたが、ここ3年でさらに良化のペースが上がったようです。
④公債費負担比率
公債費負担比率は、一般財源に占める公債費(地方債の元利償還等に要する経費)の比率で、この数字が高ければ財政構造の硬直化が進んでいることを表します。
堺市は、「13.90%」で、類似団体平均の「16.0%」よりやや低い水準です。
堺市は、公債による一般財源の硬直具合は比較的低いと言えます。
⑤実質収支比率
実質収支の標準財政規模に対する割合。簡単に言うと、収入に対して当年度の収入と支出との実質的な差額が、どれくらいの割合かを示すものです。
堺市は、「3.1%」で、類似団体平均の「2.3%」を上回っています。
歳入の状況
では、歳入の状況を見てみましょう。
2020年度以降は、コロナ対策の国庫支出金を多く受け取ったため、大幅に増えていますが、そういう一時的な要因を除くために、経常一般財源等で見ていくと下記のとおりです。
経常一般財源等は、歳入のうち毎年度経常的に歳入されるもののことです。
こう見ると、2019度以降に大きく伸びています。
もう少し詳しく歳入をみていきましょう。
市町村の歳入の多くは、地方税です。
基本的に横ばいで、2019年度まで上昇傾向でしたが、以後は横ばいの模様。
先ほどの歳入全体の大幅な伸びは2019年度以降でしたので、他に何か別の要因があるのかもしれません。
地方交付税は、2020年度から2021年度にかけて100憶円程度の増収です。
地方消費税交付金は2019年度以後大きく伸びているようです。直近では前年度から約16憶円程の伸びとなっています。
その他、地方特例交付金も直近で10憶以上伸びております。
地方消費税交付金もですが、地方交付税や地方特例交付金と言った外的要因が歳入増に寄与しているようで、決して地方税収が伸びているわけではないことはおさえておいてください。
①市町村民税
ここから地方税を細かく見ていきますが、「臨時」に付与されたり「特定」の目的にも使う財源等も含むことをご了承ください。(それでも傾向は掴めるかと思います。)
地方税の多くは市町村民税と固定資産税で、だいたいの市町村において、これら2つで地方税収の約85%を占めています。
市町村民税は2017年度から翌年度にかけて約130憶円程大きく上昇しました。
以後は700憶円前後で安定していますが、ちょっとずつ減収傾向なのは気になります。直近1年では前年度比で10憶円程減少しています。
市町村民税を個人分と法人分で分けてみてみましょう。
まず、個人分です。
基本的に右肩上がりですが、所得割が2017年度から2018年度にかけて大きく伸びています。
これは2018年度の財政の概要において、「大阪府から権限移譲のあった府費負担教職員に係る税源移譲の影響による個人市民税」があったと記されており、その影響のようです。
均等割、所得割共に2020年度まで増加傾向でしたが、2021年度にやや減収となっています。
一方、法人分についてですが、
法人均等割は、コロナ前の水準に戻りましたが(と言っても金額にしてほとんど違いはありませんが)、法人税割は急落した2020年度とほとんど変わらない水準のままにとどまっています。
だいたいの市町村では、個人に課す市町村民税に対して法人分の金額が小さいですが、堺市も同様です(地方税全体に対する割合は、個人:約39.9%に対し、法人:約5.8%)ので、市町村民税全体の増減は個人の市町村民税の増減に大きく影響されると言えます。
2021年度の堺市の市町村民税については、個人分はやや微減、法人もにコロナ前の水準まで戻っておらず、全体として頭打ち感が否めません。
ここで、政令市間の地方税収の内訳を見ておきたいのですが、地方税における法人市民税の割合について言うと、堺市はお隣の大阪市の半分以下になっております。
また地方税収は人口一人当たりで183,547円と類似団体平均 213,688円より少々低く、大阪市の274,515円の3分の2程度の水準にとどまっています。(いずれも決算額ベース)
大阪市とは個人分の額はもちろん法人分でも大きく水をあけられている状況です。
これは、堺市が大阪市の都市圏の一部を構成しており、ベッドタウンとしての性質を有しているが故なのかもしれません。
②固定資産税
地方税のもう一つ大きな柱は、固定資産税になります。
固定資産税収は、この5年で25憶円以上の伸びです。特に直近1年では10憶円程伸びています。
固定資産税は、土地・家屋等に対して課税され、ざっくり言うとその評価額を基準として税額が決まるので、近年の金融緩和による土地等の資産価格の上昇が、固定資産税収に追い風となった自治体もあるようです。
地方税収としては、市町村民税の伸び悩みで固定資産税の伸びを打ち消してしまっている構図が見えます。
歳出の状況
ここからは歳出の状況です。性質別で見ていきます。
一時的な要因を除くべく、経常的な費用に充当される一般財源の金額を示す「経常経費充当一般財源等」の金額で確認していきましょう。
まず、義務的経費です。
これは、人件費、扶助費 (生活保護費、児童福祉費老人福祉費など) 、公債費など、その支出が法律上義務づけられたものや国の指示によって事実上強制されるもので、任意に節減できない極めて硬直性の強い経費とされています。
金額は一貫して上昇傾向で、下記のとおり、義務的経費の経常収支に占める比率は61.4%です。直近で経常収支比率が下がったのは、恐らく分母たる経常一般財源等が増えた影響でしょう。
政令市の平均が約63%ですから、やや低い水準と言えるでしょう。
では、それらの内訳である人件費、扶助費、公債費をそれぞれみていきましょう。
①扶助費
扶助費は基本的に右肩上がり基調のようです。
扶助費の経常収支比率(扶助費が経常的な収入に対しどれくらいを占めるか)は類似団体平均と同水準かやや高いですが(類似団体平均:15.6%、堺市:16.3 %)、人口一人当たりの金額も少し高い水準です(類似団体平均: 46,378円、堺市:49,033円)。
経常収支比率は2019年度を境に低下傾向です。
堺市は、「令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による受診控えの解消等により子ども医療扶助費が増加したことなどもあり、扶助費の歳出経常一般財源が前年度から増加したものの、地方交付税及び臨時財政対策債の増加等により分母となる歳入経常一般財源が大幅に増加した結果、0.9ポイント減の16.3%と なった。」と分析しており、今後も増加基調をたどるであろう扶助費をいかにして賄うかは課題であると言えるでしょう。
②公債費
公債費は、上下動はありますが、910憶円から920憶円前後で安定しています。
堺市の一人当たり公債費は47,884 円(経常収支比率15.9%)、 類似団体平均は52,412円(17.6%)となり、堺市は類似団体と比較して公債費による負担はやや小さいものと言えます。
公債費の経常収支比率は、2020年度までは右肩上がり傾向でしたので、今後の推移は注視する必要があります。
③人件費
人件費は710憶円前後で上下しています。
堺市は、類似団体に比べて人件費の経常収支比率が同水準かやや低いぐらいです。(類似団体平均:29.8%、堺市:29.1 %)
また、人口一人当たりの金額も類似団体平均より少し低いようです。(類似団体平均:88,819円:堺市:87,474 円)
堺市は、「令和2年度は、会計年度任用職員制度移行等の影響により、前年度から0.7ポイント増の31.8%となった。令和3年度は、共済組合負担金の増加等により分子となる人件費の歳出経常一般財源が前年度から増加したものの、地方交付税及び臨時財政対策債の増加等により分母となる歳入経常一般財源が大幅に増加した結果、前年度から2.7ポイント減の29.1%となった。」と総括しており、分母の増加が経常収支比率の改善の要因のようです。
④その他の歳出
さて、義務的経費以外のもので注目すべきは、「物件費」、「補助費等」と「繰出金」です。
物件費とは、人件費、維持補修費、扶助費、補助費等以外の地方公共団体が支出する消費的性質の経費の総称で、旅費、交際費、需用費、役務費等が含まれています。
物件費については、経常収支比率としては、13.0 %と類似団体平均の11.6%より少し高い比率となっており、人口一人当たりの金額にしても、38,966 円と類似団体平均の 34,584円より少し高い金額になっています。
ですが、2019年度をピークに経常収支比率は低下傾向です。
堺市は、「令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の影響によるパスポートセンター運営事業に係る経費の減少などに加え、地方交付税及び臨時財政対策債の増加等により分母となる歳入経常一般財源が大幅に増加した結果、1.3ポイント減の13.0%となった。」と総括していますが、過去政令市平均より大分上の経常収支比率だったもののが同水準まで近づいており、良化傾向は明らかだと考えられます。
補助費等とは、各種団体に対する助成金や一部事務組合への負担金のことです。
堺市の補助費等は、長期で見れば右肩上がり傾向です。
しかし、経常収支比率としては、6.8%と類似団体平均の7.4%よりやや低い水準で2019年度をピークに緩やかに低下傾向です。
人口一人当たりの金額にすると、20,451 円と類似団体平均の21,890円よりもやや低い金額になっております。
堺市は、「令和3年度は、後期高齢者医療広域連合負担金の増加などにより、補助費等の歳出経常一般財源が前年度から増加したものの、地方交付税及び臨時財政対策債の増加等により分母となる歳入経常一般財源が大幅に増加した結果、0.4ポイント減の6.8%と なった。」としており、経常収支比率の低下はやはり分母の増加によるもののようです。
繰出金とは、会計間相互に支出される経費をいい、ここでは一般会計から介護保険事業会計や後期高齢者医療保険事業会計と言った特別会計や公営企業への言わば仕送りのことを指します。
堺市の繰出金は、右肩上がりに伸びています。
繰出金の経常収支比率としては、堺市10.9%と類似団体平均の 8.8%よりやや高いです。
人口一人当たりの金額にしても、32,797円と類似団体平均の 26,110円より6,000円以上も高いです。
堺市は、「令和元年度以降、分子となる国民健康保険事業、介護保険事業の各特別会計への繰出金が増加しているが、令和3年度においては、地方交付税及び臨時財政対策債の増加等により分母となる歳入経常一般財源が大幅に増加した結果、0.7ポイント減の12.6%となった。」としており、高齢化が繰出金にも影響を与えている様子が垣間見られます。
これは、堺市に限らず、多くの自治体で共通している事象です。
物件費こそやや低下傾向であるものの、総じて多くの経費が金額として増加傾向にあります。
経常収支比率はいずれも良化していますが、これは多くは分母が増えたことの影響によるもので、必ずしも費用が低下していることを意味していません。
しかも、その収入増も交付金等の増加によるもので、地方税収が増えているわけではない中、費用が増えるばかりで、以前永藤市長が堺市財政危機宣言を出したのも、頷ける状況ではあったと考えられます。
収支の状況他
では、収支の状況を見ていきましょう。
歳入と歳出の差額から、翌年度繰り越すべきお金を差し引いたものが実質収支です。
実質収支は一貫して黒字です。
実質収支には、前年度から持ち越されているものもあるため、ストック性があるため、純粋なフローを見るとなると単年度収支(=今年度と前年度の実質収支の差額)を見たほうが、より収支というイメージに近い数字を見ることができます。
単年度収支は、永藤市長が就任した2019年度に赤字幅が縮小し、2021年度には大幅な黒字を実現しています。
単年度収支の金額は、基金への積立金や市債の繰り上げ償還等は差し引かれていますし、基金の積み立てを取り崩した金額は逆に上乗せされています。
そのため、これらを逆にすれば、さらに実態に近いフローの状況を確認できます。
積立金や繰り上げ償還等は足し上げ、基金の取り崩しは差し引くと、実質単年度収支という数字になります。
積立金も永藤市長が就任した2019年以降、大幅に金額を増やしています。余力は無駄遣いせず、将来に備え蓄えている姿勢が見えます。
繰上償還金は行われていません
積立金の取り崩し額は以下のとおりです。
2021年度に約26憶円の取り崩しがありますが、一方で同じ年に100憶円以上の積み立ても行われているため、基金としては純増のようです。
ここで、基金の状況を見ておきましょう。
貯金にあたる財政調整基金は一貫して増えています。これも2019年度以降急速に金額を増やしています。
減債基金は、2020年度を底に2021年度には大きく増えています。
特定目的基金についても、多少凸凹はあるものの近年右肩上がり基調です。
来るべき将来の事業に対する資金的手当てを実施しているものと考えられます。
なお、堺市の特定目的基金の主なものは以下のとおりです。
・公共施設等特別整備基金
・泉北丘陵地区整備基金
・地域福祉推進基金
・産業活性化基金
・フェニーチェ堺芸術文化創造基金
基金残高について、人口一人当たりに直すと79,251 円と類似団体平均の46,758円より約3万円も高く潤沢と言えます。
実は財調基金の人口一人当たり金額は政令市平均とほぼ変わらない金額ですが、減債基金は3倍以上の11,698円、特定目的基金は2倍以上の47,978円となっており、割と使途を決められた基金が多めに積み上がっているのが特徴のようです。
積極的に積立金を積み立てており、その結果が数字になって表れているように思われます。
話を戻して、これらを踏まえて、実質単年度は以下のとおりになります。
こうしてみると、永藤市政以降、明らかに堺市の収支は好転しています。
2020年度に単年度収支が赤字だったのは、恐らく積立金を多く積んでいたことによるもので、永藤市長が就任して以降、明らかに収支に余裕ができており、将来に向けた積み立ても進んでいると言えます。
ちなみに、地方債残高ですが、右肩上がりに増加している状況です。
人口一人当たりに直すと582,695 円と類似団体平均の655,445円より7万円程低い水準となっており、大阪市の623,160円よりも低い水準ではありますが、地方債残高が減ってる大阪市とは逆コースをたどっているため、今後大きな負担を将来に先送りすることのないよう、強固な財務を築く必要がありそうです。
まとめ
堺市の財政をまとめると以下のとおりと考えられます。
・財政力指数は政令市平均よりやや低く、経常収支比率もやや高い。
・将来負担比率は0となり良好
・歳入においては、地方税収は固定資産税は増加傾向であるものの市町村民税が伸び悩み横ばい傾向
・直近では地方交付税等の伸びが大きい
・歳出においては、物件費を除いて増加傾向であるため、経常収支比率が直近で低下していても要注意
・実質収支は一貫して黒字
・実質単年度収支は近年黒字幅が大きくなっている
・人口一人当たりの基金積立額は多く、地方債残高も人口一人当たりの金額は低いものの、総額として地方債残高は一環として増加傾向
永藤さんが堺市長に就任してから明らかに将来負担比率の改善傾向が加速し、収支状況も大幅に良化しています。
しかし、コストは軒並み増加傾向である一方、地方税収は頭打ち状態で、果たしてこの財政が持続するのかは疑問です。また、地方交付税は将来も今の水準が国から降りてくるとは限りません。(そもそも、国の財政も火の車)
そのため、永藤市長は、2021年2月に堺市財政危機宣言を発令し、前市長までの基金の取り崩しに依存していた財政構造からの脱却を目指す意向を示しました。
そのために以下の取り組みを行うと宣言しました。
1 公共投資の選択と集中
〇公共施設やインフラ施設の新設、更新、維持管理費の総量管理や制限
2 公共施設の見直し
〇各種施設の目的や機能を根本的に問い直し、民間を含む他施設の活用も視野に入れて あり方を検討
3 外郭団体の見直し
〇外郭団体の経営効率化の促進や役割の見直しを実施
4 イベント・補助金・その他市独自施策の見直し
〇イベントや補助金をはじめとする市独自施策の見直し
5 収入確保
〇使用料や手数料の見直しなどの受益者負担の適正化
6 人件費の抑制
〇業務効率化による時間外勤務の縮減をはじめ、人件費を抑制するあらゆる手法を検討
2021年度の決算を見る限りだとまだそれらの効果ははっきりとは表れているように見えませんが、決算自体について言うと(実質)単年度収支は大きく黒字となっており、フローは改善しています。
基金は潤沢で備えはそれなりにあり将来負担比率は0となりますが、一方で一貫して地方債残高は増えており、費用が増えるばかりで地方税収が増えない財政構造の抜本的変革なしには、堺市の将来は決して明るくはありません。
なので、まだ1期目である永藤市長が上記の方向性を推し進め、堺市の抜本的財政構造改革を完遂すること、つまり永藤市政の継続こそが、堺市の命運を分けると言っても過言ではありません。
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