【美山】行ってわかった、地域のリアル
こんにちは!
美山より指名をいただきました、吉満です。
移住ドラフト会議が終わり、東京に戻ってきて1週間。
テレビから「ドラフト会議」という言葉が聞こえるたびに、また自分が映るんじゃないかとドキドキしてしまいますが、どれもコントじゃない方のドラフト会議のニュースでした。
先週の日曜日にドラフト会議が行われ、
そのまま美山から指名された選手は全員で美山を訪れたというのは前回の記事の通り。
その翌日、私は鹿児島市内を満喫して帰京……の予定でしたが、美山チームを引っ張る吉村さんからお誘いいただき、夜の飛行機の時間まで再び美山へ。
月曜日だったので多くの窯元やお店がお休みでしたが、何カ所か案内してもらいました。
美術館に収められているような立派な工芸品をつくる窯元。
息を飲むくらい繊細な絵付けにこだわる窯元。
さまざまな技法に挑戦し、陶芸を楽しむ気持ちが伝わってくる窯元。
現在11ある窯元それぞれが個性豊かで、違った魅力を持っていることを感じました。
その中で1つだけ購入したのが、この湯呑み。
薩摩焼の中でも、「白もん」とも呼ばれる「白薩摩」は、黄色がかった優しい白色で、表面には細かな貫入(釉薬のヒビ)が。
白薩摩はこの上に絵付けが施されているものが多いですが、私はとにかく貫入が大好きな“貫入フェチ”なので、あえて絵付け無しで貫入を眺めていたいのです。
ふくよかなフォルムも相まって、使うたびに穏やかな気持ちになれる器です。
しかし、この湯呑みをつくられている窯元は、職人であるお父さんが急に亡くなられ、後継者もいない状態だそう。
今は、生きていた間につくられたものを販売している状態で、このままでは、もうこの窯から新しいものが生まれることはないのです。
5年ほど前に、美山で買って誕生日にプレゼントしてもらったスープカップ。
今思えば、これが美山との最初の出会いでした。
しかし、この窯元も今ではもう辞めてしまったところの一つ。
後継者がいない。
焼き物をやりたいという人がいない。
予想していた以上に、深刻な現状がありました。
また、2日行ってわかったこととして、平日の月曜日は定休日も多く仕方ないにしろ、日曜でもまち全体が賑わっているとは言い難い状況であるということ。
日曜は人気のカフェにはたくさんの人が訪れていましたが、そのうちどれくらいの人が美山の窯元や他のお店をまわっているのかは疑問です。
薩摩焼の産地としての美山を守り、より活気のあるまちにしていくには、自分に何ができるだろうか。
地域のリアルをまざまざと見せられて(と言ってもほんの一部ですが)、前日の指名の喜びとは打って変わって、「どうしたらいいんじゃーい!!!」と頭を抱えながら美山を後にしました。
東京に戻り、頭の中をいろいろ整理しつつ、司馬遼太郎の「故郷忘じがたく候」を読みはじめました。
この小説は、美山の沈壽官窯14代目をモデルに描かれたもの。
400年以上前に、朝鮮出兵の際に韓国から遠く離れた薩摩へ連れられてきた沈壽官窯初代をはじめとする陶工の人たち。
遠く海の向こうの祖国に想いを馳せながら、自らの運命を受け入れ、ただひたすらに土と向き合う姿は胸に迫るものがあります。
自分にできることはまだ分かりませんが、まずは美山のことを勉強することからはじめたいと思います。
背景を知ることで、次に美山を訪れるときには、新しい視点で向き合えますように。
できることから少しずつ、がんばります!
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