夜明け前のこと
藤井風くんの、「dawn」のMVが好きすぎる。
最初に見た時は、ただ華やかな舞台のシーンに惹かれて(ステージが好きだから)、でもその中で葛藤する彼の世界観に引き込まれて、なんだか耳に残る曲調で、ただ気にいって聞いていた。
フィナーレの、スクランブル交差点で一人で踊るシーンも、なんだか無性にかっこよかったな、くらいだった。
(メイキングも見ていて、最後の変顔は何回もこだわって撮り直したのがとても印象的だった)
でもふと、先週あたりにこの曲をもう一度思い出して、「あ、聞きたい」と思って見返した。そして、気になって歌詞を調べたり、もう一度よくシーンを見たり。無性に、最後のソロで踊るシーンの真似がしたくなったりした。
そして誰かが書いていた感想に、他人の評価よりも、セルフラブを歌っている歌だと気付いたのだった。
誰かに見せるために踊っているわけでもない。ただ自分が楽しいから踊る。表現する、歌う。そして、自分が好きなことに没頭している人は、その人にしか見せられない顔がある。真似できない迫力がある。
自分なりの楽しさが存分に満たされた瞬間、ようやく自分という箱の枠の外に広がり始める。他人の存在をもし考えるとしたら、そこからでいい、のかもしれない。
音に合わせて踊る彼を見ていたら、そんなことを考えていた。あの表情がなぜ出せるのか。なぜ人を魅了するのか。彼はきっと、きちんと自分自身に集中している。きっと、色々なノイズを削ぎ落として、自分の感性と美学と愛に集中している。「魅せよう」としていると「魅せられない」。没頭している人が見せる色気。人はきっと、そんな空気に惚れ込むものだ。
「今はあなたにとって"夜明け前"だね」と、言われた言葉が気に入っている。
夜明け前こそ、一番暗い。明けた先をのぞいてみたい。でも、夜が開けたら、明ける前には戻れない。今見てる景色は、もう二度と訪れない。だから、今しか見えないものを愛そう。起こることは、すべてが愛おしい。夜明け前の空の美しさを、目に焼き付けておきたい。
「dawn」
“愛してくこの先ずっと 守ってく明日もずっと
i love me, and i will keep him in a safest fairest happiest place baby“
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