『すべては壊れる』ラマルシュ=ヴァデル
累々とした屍骸の中で「私」は死を見詰め続ける。紡がれる独白は、思念の蔦が森を成し景観を変貌させるような止め処ない運動を思わせ、一方で死の臨床試験報告書でもある。
「占領」はテレビ中継され、狂騒を煽る。蹂躙する女性たちは武器・武力のメタファーのようだ。楽園であった家も「占領」され、私はシステムに取り込まれていく。
マルトがもたらした災厄は洪水であるが、「国家から国家への贈り物」とあり、その破壊力、影響力からするに原爆も暗示しているように思う。母たち、死んだ子供たちと共に詰め込