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ブレーブスのWS制覇がこれからのMLBに与える影響
3月に企画がスタートしたMLB30球団+αのファンによるnote企画でブレーブス(以下ATL)を担当してきましたが、今回の投稿を最後に降板することとなりました(ATL担当の後任はかしさんおよびピロシキとfaucetさんのお二人です)。更新の頻度が少ない中貴重なお時間を割いて読んで頂いた読者の方ならびに各球団のnote企画の担当者のみなさん本当にありがとうございました。最後の投稿ということで、今回はATLのWS優勝について私が思うその要因などを簡単にですが書いていきたいと思います。
ATLのWS優勝の要因としてはE・ロザリオやJ・ソレールといった途中加入組の活躍など具体的なものもありますが、個人的にはATLが変化を受け入れるチームに変わったことこそが要因だと思います。
ATLといえば今でも多くのファンがマダックス・グラビン・スモルツの3本柱を筆頭に強力な先発投手を軸としたチームという印象を持っているのではないのでしょうか。実際ATLは2010年代の再建期に若手投手を大量に集めたので、この印象自体は間違っていません。
しかし現在のMLBのトレンドを見ても先発投手が投げるイニングは明らかに減っており、先発投手に30年前と同じ役割を期待するのは時代錯誤というものでしょう。その点今年のPOでは、K・ライトやT・デビッドソンといった若手をオープナーのように使ったり、ブルペンデーを採用したりとかなり柔軟な投手起用が目立ちました。
さらに内野守備のシフトに関しても5月途中にアンソポロスGMやワシントンコーチ主導で導入されることが決まりました。その後は内野手や投手でもコミュニケーションを図り、チームに浸透させていきました。チーム全体のOAAも2019年の+1から今季は+5と僅かながら向上しました。さらに実際の試合でもシフトの正面を突く打球が多く、その効果は確実に出ていたといえます。
上記の2点以外にもパワーツールに特化した存在であるソレールを1番DHで起用したりといった一見奇策のように見えるものもうまく取り入れていたのが今季のATLです。
このような背景にはデータ分析などで他球団をリードするドジャースからやってきたアンソポロスGMの存在は不可欠だったといえます。さらに伝統を重視するATLを体現するような勤続40年のスニットカー監督が新たな戦略を受け入れたことがチームの変化の決め手になりました。
近年ドジャースやアストロズといった他球団よりも優れた知見を持っているチームがMLBでは成功を収めてきました。その一方でそれらの分野で遅れを取っているチームは苦戦を強いられてきました。
しかしレッズがドライブラインのカイル・ボディをチームに招聘したり、多くのチームが複数の打撃コーチを併用したりといった形で遅れを取っているチームも巻き返しを図っています。
ATLもどちらかといえば長年後者の立場で苦しんできました。そこをアンソポロス氏の就任以降時間をかけて巻き返しを図ってきました。その成果が今季の最高の結果に繋がったのではないかと私は見ています。そして今季のATLの活躍が後に続くここ数年苦戦を強いられてきた球団にとっても明るい兆しとなり、MLBがより一層盛り上がることに期待したいと思います。
Photo BY :Matt Barnett