【TEX】レンジャーズ大谷翔平が誕生するとしたら
ワールドシリーズ制覇したとはいえ、レギュラーシーズン90勝で地区制覇も逃し、そのチームからFAで大量に戦力が流出。30球団ワーストクラスのリリーフ陣にテコ入れしないと夏にはチームがボロボロ担っている可能性もなきにもあらずという情勢で、他球団ファン同様にオフの補強が気になるレンジャーズ担当・もりまるです。
ジョシュ・ヘイダーの移籍先予測で大体レンジャーズが上がるくらい大物のリリーバーが必要なチームであり、リリーフの頭数自体も欲している中で、とある選手の移籍先にも浮上しているようです。
https://www.espn.com/mlb/insider/story/_/id/38986551/mlb-free-agency-teams-watch-yankees-mets-padres
それは、北米スポーツ史上最高の年俸総額を更新すると目されるFA史上最大の大物・大谷翔平のことです。大型契約連発してそんなお金あるの?という率直な疑問もありますが、大谷サイドから情報は何も漏れてきていないし漏れてくることもなさそうなので、詳しいことは外野にはわかりません。また記者の感想を翻訳するのも味気ないので、今回は大谷がレンジャーズに来る可能性に関して書いていきます。
他の選手の動向を気にしていても、各球団が用意した大谷予算がおそらく巨大なものであるため、大谷の契約が決まってからその予算を狙ってスコット・ボラスをはじめとする大物代理人の活動が本格化する見込みであり、今後も市場の動きは停滞しそうなので、暇つぶしにご覧ください。
レンジャーズが大谷を獲得するメリット
DHは現在空き枠
まず大前提としてテキサス・レンジャーズは守備のいいチームです。チーム全体の守備はどの指標も大体トップクラス。
個々人で見てもコーリー・シーガーのOAAがややマイナスなくらいで他の指標ならプラス、ポストシーズンでDHを務めてFAで退団したミッチ・ガーバーを除いた全レギュラーが各ポジションの平均よりもプラスであり、守備の穴だからDHでプレーしてほしいというレギュラーは不在です。休養枠としてのDHを使っていたところに大谷を加え、休養するときはベンチで本当に休養させて24年は大谷を162試合DH起用、25年以降は彼のコンディションやモチベーションに合わせたDH起用をしても長期契約組のセミエンやシーガーが守備できつくなるまで問題は特にありません。単純にリーグ最強クラスの打者をガーバーに置き換えるだけとなり、強力打線はさらに隙がなくなります。大谷とシーガーの破壊力は、おそらくトラウタニに匹敵するでしょう。
24年オフの先発は要補強
24年、つまり来年のオフにマックス・シャーザー、ネイサン・イオバルディ、アンドリュー・ヒーニーがFAで退団予定です。彼らの穴を埋めるのは実績十分すぎるとはいえ25年にトミー・ジョン手術から復帰2年目となるもののそのときには37歳となっている故障がちなジェイコブ・デグロム、残り2枠をオーウェン・ホワイト、ジャック・ライター、クマー・ロッカー(こちらもTJ手術明け)などで埋めて競争力を維持するのは至難の情勢です。なんらかの補強が必要なので、このタイミングからある程度投げられるスケジューリングと思われ、かつクオリティはサイヤング賞レベルの大谷補強はお互いタイミングが合っているといえそうです。またシーガーたちの補強も最後のピースとしての補強ではなく、補強以降を見据えたチーム編成の一環だったと考えられ、大谷獲得もその路線に則ったとしても不思議ではありません。
日本から莫大な広告収入が期待できる
大谷はスポーツファンでない日本人であってもその存在をある程度知っている、コンテンツが多様化した現代において希少価値の高いスーパースターです。その希少価値を評価してスポンサードする企業が多いわけですが、23年まではエンゼルスを潤していたであろう日本のスポンサーフィーが24年以降は当然大谷の移籍先に流れ込みます。どこの球団にとっても魅力ではありますが、レンジャーズは今後の資金繰りに不透明な部分を抱えているため、なおさら求めてやまない資金源なのです。
レンジャーズは2010年に20年15Bとも16Bとも言われるローカルテレビ放映権契約を結んでいましたが、その契約を結んだ局を買収した大本であるダイヤモンドスポーツグループが23年3月に経営破綻。
レンジャーズは幸い23年の放映権料は減額なく無事に支払い(上記によると111M)が行われたものの、少なくともダイヤモンドスポーツグループ傘下のバリースポーツサウスウエストはレンジャーズの放映権を24年までには手放し、当然放映権料の支払いもなくなるので、最も遅くても25年以降の放送先を探す必要があります。放映権料は課税対象なので額面すべてが入ってくるわけではないですが、大きな収入の柱が減るのは厳然たる事実であり、すでに大型契約を乱発しているレンジャーズにとっては悩みの種です。
レンジャーズの共同オーナーの一人であるレイ・デービスはテキサスの石油王でフォーブスの長者ランキングにも出てくる大富豪なので、チームが破産するようなことにはまずならないとは思いますが、補強するにしてもコストは比較的抑えたいところでしょう。
そこに巨額の投資とデグロムのように故障リスクと年俸の高さで高額保険料が設定されそうな大谷獲得を目指すのは一見矛盾していますが、矛盾をなくすのが大谷獲得の副次的効果である球場の看板スポンサーたちです。たしかに大谷を獲得すれば贅沢税を超過し、贅沢税そのものやドラフト関連で不利益を被りますが、広告料だけで莫大な収入を球団にもたらす貴重な存在なので選手自身に年50M払っても実質負担は30M程度になる可能性があります。
故障リスクをどうにかセーブできるプランを用意し、その起用を大谷が受け入れるか次第ではあるものの、二刀流で年あたりWAR10前後+スポンサーフィーであれば50Mどころか60Mでもコスパのいい選手たりえます。
レンジャーズが大谷を獲得するデメリット
見出しすごく大きいですが、小見出しなしです。ポイントは単純で、本当にそんなお金を投じる余裕やモチベーションがあるかどうかです。ワールドシリーズ制覇という球団史上初の快挙を成し遂げた後、収入の大きな部分を占めたである放映権の動向が怪しく、戦力的に最も大きな弱点はリリーフであるという状態で、チーム最大の強みの打線と25年以降の懸案材料解決を優先させるのか。クリス・ヤングたちが何を考えているのかはいずれわかることでしょう。
大谷がレンジャーズを選ぶメリット
DHが空いてるので気兼ねなし
さっき書いた通り。先発復帰も25年で問題なし。
所得税なし
個人に年俸以上のスポンサーがついていると言われていて、プライオリティもお金第一ではなさそうな大谷にはあまり関係ないかもしれませんが、テキサス州は個人の所得税がない州の一つであり、一方のエンゼルスや大谷獲得最右翼と目されるドジャースが本拠地を置くカリフォルニア州は13.3%であり、全米で最も高い地域です。この差がシーガー獲得に大きく有利に働いたともいわれているので、大谷個人はともかく周囲にとっては関心事になりえる要素です。
ワールドシリーズ覇者だが、チームはまだピークではない
大谷が何を優先してチームを選ぶかは、仮にチームが決まった後でも判明しないでしょう。そのため好き勝手書きますが、要するにレンジャーズは最高の成果を出したもののまだまだ完成されたチームではなく、ヤングやカーター、ラングフォードらスター候補が在籍する伸びしろのあるチームです。大谷がそういう点に魅力を感じる選手なのかは戦術のとおりわかりませんが、まだまだ穴はあるので大谷が加入しなくても勝てるようなチームでは正直ないです。
大谷がレンジャーズを選ぶデメリット
エンゼルスと同地区
直接対戦する機会は以前より減ったとはいえ、かつてのチームメイトの直接的なライバルとして立ちふさがることになります。気にする選手であればマイナス要素でしょう。
リリーフがすごく弱いままかもしれない
大谷獲得して予算が底を尽きましたとなると、23年にセーブ成功率47.6%を叩き出したチームからウィル・スミスもチャップマンもいないリリーフ陣です。恐ろしいことになるでしょう。夏場には得失点差が大幅プラスで勝ち負け5割を切る接戦最弱チームになっているかもしれません。むしろチームに加わる場合は、リリーフ陣の頭数充実をファンの代わりにGMに迫ってほしいくらいです。
ドジャースやブレーブスと比べるとチーム力も歴史も及ばない
これは衆目の一致するところでしょう。今年のポストシーズンはうまくいかなかったとはいえともに100勝チームであり、20年、21年のワールドチャンピオン。さらにメジャーリーグを代表する名門チームでもあります。レンジャーズをどう褒めても及ばない戦力とブランドがライバルと目されているチームにはあります。
最後に
いろいろ書いてみましたが、ここに書いたことは一部事実もありつつ、基本的には状況などの推測に過ぎません。一部ではウインターミーティング中に大谷はチームを決めるだろうといわれていますが、はたしてどうなるか。レンジャーズにきたとしても他のチームを選んだとしても、超大型契約の誕生は間違いない情勢であり、また彼の決断を下したタイミングが他の大物選手たち獲得競争のゴングが鳴るタイミングでもあり、今後も彼の動向を全メジャーリーグファンが注目していることでしょう。
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