【TEX】2021年の発見とオフの動き方(前編)

 お久しぶりです。最も更新頻度が低いことで知られるレンジャーズ担当のもりまるです。前回投稿から3ヶ月たちました。そして、投稿の末尾にこんな記述がありました。

 近日中に21年ドラフト最高の契約金で全体2位指名右腕、往年の名投手アル・ライターの息子のジャック・ライターを獲得したドラフトに関して振り返りますので、お楽しみに。

 すみません。旬が過ぎたことと、レンジャーズの投手トッププロスペクト育成メソッドに則ってドラフト年は全休ということもあり、1登板もしていないこと、あと面倒になったので割愛します。

 さて、ここからは今年のレンジャーズの発見とオフをどう動きそうか、動いたかを書いていきます。前編は今年の発見についてです。

1. キャッチャーのフレーミングが良い

 テキサス・レンジャーズの捕手といえば、フレーミングがメジャーワーストクラスで酷いという認識が私にはありました。実際に指標を見てもそうです。ところが、今年はホセ・トレビーノジョナ・ヘイムのいずれもフレーミングの指標でメジャー有数の数値を叩き出して、投手陣を支えました。

2012~21年のレンジャーズの捕手のフレーミング

 両選手ともに打撃成績はまったく振るいませんでしたが、2人とも5年以上保有できることもあり、再建中はこの2人の併用でさほど問題はないと思います。20年にトラッキングデータ上で当たれば飛ぶことは証明されているトッププロスペクトのサム・ハフが正規のマイナーシーズンを経て3Aまで昇格してきたので、例えば彼を1塁兼任の3番手捕手のように使えると起用やトレードの幅は広がるでしょう。

 ロボット審判が実現したら意味のなくなるフレーミングですが、アリゾナフォールリーグの様子を見てる限り、実用化はもうしばらく先になりそうです。

2. トッププロスペクトが順調

 育成の上手なチームなら普通のことが、このチームでは珍しいことなのです。ドラフトで上位指名した選手、あるいは大金をかけてINFAで獲得した中南米の若手が、契約金に見合った評価を上位カテゴリでは得られない…それが当たり前だったので。具体的に書くと

コール・ウィン(18年ドラフト1巡目指名)
ジョシュ・ヤング(19年ドラフト1巡目指名)
ジャスティン・フォスキュー(20年ドラフト1巡目指名)
エバン・カーター(20年ドラフト2巡目指名)
アーロン・ザバラ(21年ドラフト2巡目指名)

 近年全米トップレベルのプロスペクトたちがメジャーレベルへのアジャストに時間がかかっている(というより、マイナーとメジャーのレベル差が拡大している?)ので、マイナーをスムーズにいったからといって将来の保証は当然ないですが、マイナーで苦戦してるようではメジャーに上がるチャンスすらこないので、これはいいことです!

3. 20年の成長が謎だったプロスペクトの浮上

 これはどのチームにもある話です。新型コロナウイルスの流行により、2020年はマイナーリーグが開催されずに各球団のキャンプ内で年中強化合宿をしているような状況で、プロスペクトの成長やトレードで獲得した選手の現実などが数字で表に出てこないシーズンでした。

 そのファンからは見えづらかった成長が21年は成績という数値で定量化されてきたため、よくわからない選手が突然すごい成績をあげていたり、故障明けの選手が普通にプレーしていたりという事態が30球団すべてに起きていると思います。レンジャーズの場合だと

ダスティン・ハリス(19年のマイク・マイナーのトレードで加入、21年の傘下マイナー最優秀野手に選出)
ニック・スナイダー(17年19巡目指名,、21年の傘下マイナー最優秀リリーバーに選出)
オーウェン・ホワイト(18年2巡目指名、19年春にトミージョン手術して、今年プロデビュー)

 などが該当します。この中で今回は特にハリスの話をします。fangraphsをみるかぎり、アスレチックス時代は

・K/BBとかK-BB%は優秀
・打率は高い
・走れる一塁手
・まったく打球が上がらない(ゴロが53%)

という帯に短し襷に長しな選手だったのが、21年は明らかにゴロが減っています(A,A+通じて37%)。その分だけフライが増えたら、19年に238打席で1HRだった選手が、466打席で20HRの選手になったわけです。しかも、三振は据え置きか若干減っている。往々にしてアッパースイングに改造すると高めを空振り、低めを追いかけがちでボール球の変化球にも手が出てしまって三振が増える、ような印象ですが、ハリスには今のところはそういう傾向は出ていません。

 以下私見ですが、打者としてのトータルの貢献度を三振が増えても長打を増やすことで上げていくそのためには打球のスピードを上げる+角度をつける必要があり、その手段として空振りが増えたとしても強振したり打球に角度がつくスイングをする、という考え方は変わらないでしょう。そして、今後価値が高まるのはそういうスイングをしながらも空振りの少ない打者だと思います。そもそも打球をいっぱい生産できる人が価値あるよね、という考え方をする人が増えるということですね。アストロズやワンダー・フランコあたりを見ればすでにそうなっているかもしれません。今後はマイナーの選手の三振の少なさを見ていくのはありなのではないかなと思います。


 ここまで21年のレンジャーズの発見をまとめてみました。次回は現行労使協定の期限が切れる今年のオフにどう動くべきかを書いていこうと思います。よろしくお願いします。

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