【TEX】23勝38敗。シナリオどおりである

 ご無沙汰しています。おそらく最も更新してない担当者もりまるです。

 MLBのシーズンも1/3ほどが終わり、テキサス・レンジャーズはアウェイの連敗記録を15としてチーム記録まであと1つの地区最下位。全体で3番目に低い勝率ということで、開幕前の誰もが思っていたように地区制覇などは難しい状況です。

 しかし、何も問題はありません。先日書いた今年はプロスペクトの確保が目標のとおりに進んでいるだけのこと。今年は

・買い手チームから見てトレード対価が安く済むコントローラブルな選手が怪我なく活躍して評価を高める。
・来年のドラフトを有利に進めるために負ける。

の2つがチームの立て直しのために求められているのです。

 要は個人は頑張ってほしい、でもチームは負けてくれた方が好都合ということです。

 チームの負けを願う人間をファンと呼んでいいのかどうかは意見が分かれるかもしれません。しかし、テキサス・レンジャーズが本当にワールドシリーズ制覇を狙うのであれば、現状はもちろん他球団に太刀打ちできない、かつ2~3年後にはシアトル・マリナーズがすべての準備を整えていそうな状況であることを踏まえると、3年間力を貯めてマリナーズの後に続くのが合理的だと考えています。

 さて、先にチームにどれだけ負けが込んでも問題ないという話をしましたが、個人のレベルの活躍ぶりははたしてどうなのでしょうか?こちらに関しては、想定以上に順調だという認識です。

 野手のトレード候補 で挙げたジョーイ・ギャロの打撃が今ひとつ(昨年から打球角度が下がっている)なくらいで、アイザイア・カイナーファレファショートも十分守れることを証明しつつあり、打撃も昨年より成長。ニック・ソラックや新加入のネイト・ロウもレギュラークラスとしては十分な成績です。ちなみにギャロの打球角度は徐々に上がってきているので、少し期待です。

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 という中で、驚きは先日の記事の段階ではロスターにいなかったアドリス・ガルシアでしょう。ここまで打率.278 16本塁打 42打点 7盗塁を記録し、センターの守備も上々で現状アメリカン・リーグの新人王争いをリードしています。28歳という遅咲き選手で2026年に33歳でFAになることを考えると、今年が終わって良好な成績であればチームフレンドリーな格安契約に応じる可能性もあり、今後も要注目です。三振が多くて四球が少ないのが欠点なくらいで、仮にスランプに陥っても守備が良いのでかつてのギャロのように我慢して使ってもらえるでしょう。新人王取れるといいですね。

 もう一つ、予想していなかった事象にキャッチャーのフレーミング改善があります。フレーミングとは、ストライクかボールか際どいゾーンでストライクコールしてもらうようなテクニック総称を指しますが、そのストライクコールのプラスマイナスを得点化されたものを見ると、なんと6月7日時点ではレンジャーズのホセ・トリビーノジョナ・ハイムが2、3位なのです。ともに打撃は今のところさっぱりですが、過去年度を見てもプラスの選手が在籍していた方が稀なので、あまりデータの匂いがしないレンジャーズとしては大きな進歩と捉えています。前者のFAが25年オフ、後者が26年オフということを考えると、現在故障中でパワーはすでに証明済みのサム・ハフはあと1年半くらいはマイナーで育成でも問題はなさそうです。

 もう一方の投手のトレード候補 ではカイル・ギブソンが絶好調です。開幕戦で1アウトしか取れずに5失点し、防御率135.00からスタートしたギブソンですが、その後10試合65.1イニングで自責点10。防御率も気がつけば2.06と素晴らしい成績です。

 今年は平均89マイルのカッターをレパートリーに加えました。以前は92マイル前後の速球と84マイル付近のスライダーチェンジアップという配球で、パワーがあるわけでもないのに速球で押さないとカウント稼げない…という印象でしたが、今年は中間の球速のカッターを混ぜてうまくカウントを作っているような印象です。

 彼との契約は今年が3年契約の2年目で、
 21年 10M
 22年 7M
とまさにコントローラブルというお値段です。

 ガルシアを含めて今のレンジャーズにアンタッチャブルな選手は一人もいません。コンテンダーからの気前の良い問い合わせを待ちつつ、全体2位指名権を持つドラフトに備えましょう。

※リンク引用元は主にBaseball Savant。数字は現地6月7日まで。

 

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