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【通関士への道③】第58回通関士試験受けてきました

こんにちは。
ついに運命の日を迎えました。
第58回通関士試験、新潟会場にて受験してきましたので、忘れないうちに試験内容を中心に記録していきたいと思います。

通関士試験は毎年10月上旬に開催されます。今年は10月6日でした。朝9:30の通関業法からスタートし、2科目め関税法等、お昼休みを挟んで3科目め通関実務が終わるのが15:30。一日かけて受験します。

試験会場は、残念ながら我が県内には無く、車で片道2時間の新潟県まで受けに行きました。

新潟港は快晴。釣り人がのんびり座っていました。

余談ですが、会場に着くと大学生みたいな若い人達が大勢集まっていて、「通関士ってマイナー資格だと思ってたのに!」と軽くショックを受けたのですが、イベントスタッフのバイト達でした。
この日、新潟会場である朱鷺メッセでは、なにわ男子のライブがあり、私達が4階の会議室でもがき苦しんでいる間、1階では着飾った女の子達が大挙して押し寄せライブを楽しんでいたのでした。


1科目め:通関業法

ミンティア摂取よし、オロナミンCよし、コーヒーよし。いつでも来いやぁ!とギンギンになった状態で、ついに試験スタート。

通関業法は、体感的には難易度は非常に易しかったです。というか出題範囲も狭いし、これ以上難しくできないんだろうな、という感じでした。
毎度のことながら、その後の2科目に精力を使い果たすので1科目めの記憶は薄いですが、過去問をやる感覚で解いていたので意外と見直す時間が取れなくて焦ったことだけ覚えています。

出題範囲としては、語群選択では
 通関士の設置
 更正に関する意見の聴取等
 通関士の資格喪失事由
 業務改善命令
でした。

出題範囲が限られる中でも、何とか聞き方を工夫して受験者に考えさせようとしているな、という問題もありました。

例えば第9問の選択肢4、
「通関業法第32条第1号(通関士の資格の喪失)の規定に該当したことにより通関士でなくなった者であって、同法第22条2項の規定による異動の届出のない者が、通関書類に通関士として自己の記名をさせた場合には、その行為は同法第33条に規定する「その名義を他人に通関業務のために使用させる」には当たらないこととされている」

よく考えたらおかしな話な気がしますが、答えは❌だそうです。

試験日当日の夜には、予備校のTACが解答速報をYouTube LIVEで配信しました。
チャット欄では通関業法満点だった、という方もいて、やはり難易度は高くなかったようです。
自己採点では無事合格ラインを超えていました。


2科目め:関税法等

全体的に重箱の隅を突くような問題が多く、特に今年度法改正された300万円以上の無申告加算税に課されるペナルティが語群問題にて出題されるなど、ちょっと難しめな印象でした。

語群選択での出題範囲は、
 延滞税
 加算税
 輸入許可前引取り承認
 関税の減免税制度
 関税率表解釈通則
でした。

最後の解釈通則が少し意外でした。この分野から語群選択で出題されたこと過去にありましたっけ?

迷った問題では、たとえば第21問選択肢4の、
「保税地域以外の場所にある特例輸出貨物が亡失した場合には、当該特例輸出貨物に係る特定輸出者は、直ちにその旨を当該貨物の置かれていた場所の所在地を所轄する税関長に届け出なければならない。」

答えは❌だそうです。最初、「保税地域以外の場所にある」って他所蔵置許可場所だろうなと思ったんですが、よく見ると特例輸出貨物なのでそもそも蔵入してないってこと?って考え始めてドツボに嵌りました。

全体的にマニアックな感じで、だからこそ解けた時の快感も大きく、この辺でゾーンに入ってきました。だからなのか、難しいけれどまだ解けるレベルだな、という印象でした。


3科目め:通関実務

1科目め、2科目めと思ったより難易度が高くないように感じていたので、3科目めにとんでもないのが来るんじゃないかと薄々予感はしていました。

3科目めが始まり、申告書問題を後回しにして複数選択式に取り組んだ瞬間、予想を遥かに超える高難度であることを直感しました。

「評価(包括)申告書」って何?輸入許可後の事後審査?還付加算金をさらに加算……??

手も足も出ない問題が3問立て続けに出題され、もう計算問題で挽回するしかないと気持ちを切り替えるも……

事例を読み、適用できる最も安い協定税率を適用して関税を算出するという、これまで見たこともなかった計算問題が出題され、頭が真っ白になりました。

あとで冷静になって見返すと何ということのない、ちょっと表現を変えただけの簡単な計算問題だったのですが、こちらとしては「附帯税の計算か国内消費税の合算来いやー!」と気張っていただけに、完全に肩透かしをくらい、軽いパニックになりました。

択一式も別に簡単というわけではなく、特に日EU協定の原産品申告書の書式のことや、インボイスとの関係など、「そんなん知るか」な問題もあって、残念ながら自信を持って回答できたのは片手で数えるくらいでした。

申告書の方は、輸出申告書が92類楽器関係、輸入申告書が64類履物関係でした。
これも珍しい組み合わせですよね。
特に輸出申告書の方で、製作後100年を超えるヴァイオリンを97類骨董に分類する作業がありました。TACの講師陣も「ついに出たか」という感じのようです。

申告書全体としては、そこまで難易度は高くなかったと思います。輸入申告書の方では選択肢にオベリスク符号が付いていて、一見複雑そうで警戒していたのですが、分類上全く関係ありませんでした。

申告書がまだマシだったものの、知識を問われる問題は全滅に近いのではないかと思います。
解答中、脳の中で何かがブチブチいう音が聞こえてきて恐怖でした。ストレスで脳に何か起こったのかもしれません。頭痛もあり、デスロード状態でした(夜に酒飲んだら治りました!)。


TAC通関士試験講評会(速報)

試験日当日の夜、予備校のTACが試験の講評と1科目め・2科目めの解答速報を配信しました。

そこで初めて、2科目め関税法等の難易度が例年に比べても非常に高かったことを知りました。チャットを見ても「さすがに難しすぎる」という声が溢れていて、講師の方々も去年よりは合格率は下がるだろうという見解でした。

去年の通関士試験でも2科目めの難易度が高く設定されていました。ちょうど前日に解いていたのですが、とにかく問題文を読み下すのに労力を割かれた感じでした。

今年の関税法等はとにかくマニアックだった。
チャット欄では合格基準の引き下げがあるかもと盛り上がっていましたが、講師曰く2科目めの関税法等が引き下げられたのは過去に1度しかないそうです。合格率が一桁になると可能性はあるが、12%くらいで推移するんじゃないか、という見解でした。

関税法等ですが、解答速報で自己採点してみると、何と冒頭の延滞税の端数処理で大量失点していました。こんなところ間違えるわけないと見直しもしていない箇所でした。
本当に、本番には悪魔が潜んでいるんですね。「終わった……」とこれまでの勉強が走馬灯のように思い出されましたが、なんと後半怒涛の追い上げを見せ、ギリギリ合格ラインを突破しました。

せっかくデパ地下で美味しいお弁当を買って来たのにマジで味がしませんでした……。

さて、通関実務の方はというと、「難易度そこまで高くはない」という事でした。今度こそ終わった……。
関税法等の解答速報を作成するのに時間を取られたため、通関実務の解答は後日発表だそうです。


終わってみての所感

合格率が15%で推移する難易度の高い試験、という最初のイメージは、丸1年かけて頑張れば独学でも何とか取れる試験、という印象に変わっていました。
特に、メインとなる法令が①通関業法、②関税法、③関税定率法、④輸出入貿易管理令くらいで比較的狭い範囲だし、計算問題は四則演算ができれば問題なく、申告書問題も英語ができなくても解けるようにしてくれているからです。

ですが、本試験を終えてみての感想は「それでも独学は厳しそうだ」でした。
過去問を繰り返し解いていても、今年の2科目めは落として不思議はなかったと思います。
YouTubeのチャットでは、市販の参考書に載っていない所がたくさんあったという証言もあります。実際私が使っていた参考書や問題集にも載っていない問題がありました。

もしかして、「問題慣れしてるだけの人」をふるい落とし、「知識として定着させてきてる人」「臨機応変に対応できる人」を選り分ける方向に変わっていっているのかもしれません。

これに対処できる唯一の方法は、模試だと思います。
私は予備校の遠隔オンライン受講生でしたので、模試を会場で受けられたのは1度だけでしたが、そこでも「参考書に載っていない問題」に触れることがありました。
また模擬答練が3回分郵送されてくるので、そこでマニアックな問題に触れられ、耐性がついていたのではないかと自己分析しています。

ただし、これは関税法等の話で、通関実務の方は模試も答練も、本試の形を想定できていなかったのではと思います。
模試と答練をやっていたからこそ、申告書問題が高難易度に違いない、きっと価格按分や重量按分が出るに違いないという、偏った心構えを作ってしまいました。
そしてEPAで詳しいことは聞いてこないだろう、だってこれは試験なんだし……と心のどこかで舐めていました。
完全に本試作成者に裏をかかれたということですね。


このあと10月9日の3科目解答速報で、暫定ではありますが合否が確定します。公式での合格発表は11月12日です。

私、本当に通関士になれるんでしょうか?
まだしばらく気が休まりません。

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