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ひらめき膝枕 【毎週ショートショートnote】

僕は、今日も妻に耳かきを依頼した。

またなの?
私も忙しいのよ。

そう言いながらも妻は、耳かきを持って畳の部屋に正座する。
僕は、妻の膝の上に頭を乗せる。

僕は作家だ。
アイディアに詰まると、いつも妻に耳かきをしてもらう。

耳かきをしながら、僕と妻は、あれこれと作品について話をする。

同じ話をしていても、顔を合わせて話をしてる時は、妻が何を言っても
違う、そうじゃない!
と思うのに、膝枕の時に夢の彼方から聞こえるような妻の声は、僕にインスピレーションを与える。
新しいアイディアがひらめくのは、こんな時だ。

ひらめいた!

僕は、突如耳かきを遮り仕事部屋に向かう。

妻は微笑んでそんな僕を見送った。

君の「ひらめき膝枕」がなかったら、僕は作家としてやっていけないだろう。
僕がそういうと、妻は
若い女の子の膝枕でもいいんじゃないの?
と笑いながら言った。

ダメなんだよ。
若い女の子だと、ひらめきどころか、トキメキになってしまうから。
僕は心の中でつぶやいた。

本文ここまで  410文字
これはたらはかにさんの
♯毎週ショートショートnote
に参加したものです。

今回は裏お題【ひらめき膝】で書きました。

膝枕、いいですよね。
なぜか安心します。
する側はといえば…
なんだかとても愛おしくなる…
ような気がします。
(遠い遠い目…)

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