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風見鶏ローディー【リメイク】

ある村に、赤い三角屋根で白い壁の家に、一組の夫婦が住んでいました。
夫は、音楽が好きで、アーティストのライブなどで、楽器を運んだり、楽器のメンテナンスをする仕事をしていました。

そんな夫が退職を迎えた日、
夫が1匹の雄鶏と4匹の雌鶏を買ってきました。

夫は言いました。
明日からは、このニワトリ達の面倒を見たり、畑を耕したりして、のんびり暮らそう。

夫は、以前の仕事がローディーといわれた仕事だったので、雄鶏にローディーという名前をつけました。

翌日から夫は、庭を掘り起こして、小さな畑を作ったり、木を組み立ててニワトリ小屋を作り始めました。

ローディーは赤い三角屋根の上が大好きで、屋根の上でいつも風上を向いていたので、近所の人は、ローディーのことを
風見鶏ローディー
と呼んでいた。

人々は、ローディーが東を向くことが多くなると、
そろそろ春が来るな とか
北を向くようになると、
そろそろ冬になるな
などと話をしました。

又ローディーは、近くに狐やイタチが現れたり、タカが近づくと、雌鶏たちにいち早く危険を知らせ、守っていた。

雌鶏達は、そんなローディーと、優しい夫婦に見守られながら元気に過ごし、毎朝新鮮な卵を産んで、二人を喜ばせた。

こうしてのんびりと幸せに暮らしながら、いつしか二人は歳をとり、おじいさんとおばあさんになっていた。
そしてある朝、おじいさんは突然倒れて亡くなってしまった。

おばあさんは、とても悲しんだけれど、おじいさん亡き後も、おばあさんが可愛がっていたローディーがいることで、寂しさを紛らわすことができた。

ある時隣に一人の男が引っ越して来た。
男は、村のパブで仕事をしていた。
夜遅くまで仕事をしていたので、朝ゆっくり寝たかった。
しかし、毎朝元気に鳴くローディーの声で起こされる事が耐えられず、ある朝おばあさんのところに
鶏の鳴き声がうるさい、
どうにかしろ!
と、怒鳴り込んできた。

しかし、おばあさんは
鶏は朝鳴くものです。
それにあなたより、鶏の方が先にここに住んでいるんですから
と相手にしなかった。

ところが男は、ある朝とうとう、イライラが爆発して銃でローディーを撃ち殺してしまった。

おばあさんは悲しんで、毎日泣いて暮らした。
雌鳥達も、それ以降卵を産まなくなり、後を追うように次々と死んでしまった。

近所の人はおばあさんを心配して、ローディーに似た風見鶏を作って、屋根のてっぺんに置いた。
おばあさんは、村人に促され、久しぶりに庭に出て屋根の上を見上げた。そして
まあ! ローディー!
と歓声をあげた。
それからおばあさんは、元気を取り戻し、庭の畑にも青々とした葉が茂るようになった。

それからしばらく経ったある朝、突然屋根の上の風見鶏ローディーが鳴いた。

人々が驚いてやってくると、おばあさんが畑の前で倒れ、顔をローディーの方に向けて亡くなっていた。
その顔はとても穏やかだった。

近所の人は、おじいさんとおばあさんのお墓の横に、風見鶏ローディーを移した。
ローディーは、今もおじいさんとおばあさんの近くで、風上を向いて立っている。

終わり

実はこのお話、元は、以前たらはかにさんの企画、
毎週ショートショートnoteの「風見鶏ローディー」
というお題で作ったお話のリメイクです。

このお話を投稿した際、Love the PTAさんから、こんなコメントをいただきました。

それで調子に乗って、ちょっと長めのお話にしてみました。

いやー前の方が良かったよ…
なんて思う方もいるかしら…

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