3人のカミ様のお話
ある晩、男の枕元で、3人のカミサマが、話をしていました。
この男は、お願い事があるときだけ私に頭を下げるくせに、普段はお礼を言うことさえしない。
カミサマAが言った。
今までずっと、様々なものから守ってきたのに、当たり前だと思っている。
カミサマBが言った。
私も、彼とずっと共に生きてきたのに、お礼どころか最近は、もう必要ないとまで言い出した。
カミサマCが言った。
3人のカミサマは、大きくため息をついた。
それでもあなた方はまだ、必要とされている。
カミサマCが言った。
いえいえ、昔は大事にされ、あれこれしていただきましたが、最近は諦めたようで、私の仲間も一人減り二人減り…と、どんどん彼の元を離れていき、今や寂しいばかりです。
カミサマBが言った。
私は、普段は完全に忘れ去られてますよ。
それどころか、悪いことがあると、まるで私が祟ったかのような言い草です。
あ、でも先日、Bさんの事で私にお願いをしてきましたよ。
カミサマAが言った。
え? 私のことを?
はい。
どうか(い)なくならないでくださいと言っていました。
諦められてなかったじゃないですか…
私なんてもう…
カミサマCが言った。
いやいや、なんだかんだ言って、あなたが一番必要とされていますよ。
毎朝、この男が仕事に行く前に、必ず行くところで、あなたなしではいられないじゃないですか‼︎
カミサマAとBが言った。
そうでした。
私はまだまだ彼には必要な存在でした。
カミサマCは、嬉しそうに言った。
その時、男が寝返りを打ち、独り言を言った。
うちのカミさんに聞いてみないと…
どうやら彼にとって今一番大切なのは、他のカミのようじゃ…
神サマと、髪サマと、紙サマは、顔を見合わせ、苦笑いをして、それぞれの場所に戻って行きました。
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