風を治すクスリ
ようやく木々が赤や黄色に色づき出した。
秋風のリリーは、気持ちよさそうに青空の下を駆け抜けた。
ヒヨドリが声をかけた。
やあ、リリー
今年は来るのが遅かったね。
そうなの、夏風ジェーンが長く居座ってたからね。
その時ヒューンと冷たい風が吹いて、リリーがくしゃみをした。
リリー大丈夫?
ちょっと風邪ひいたみたい。
僕、薬を探してくるよ。
ヒヨドリは、あちこち探し回った。
葛根湯はこの辺にはないし、
オオバコとよもぎも、最近見かけないな…
ネギや生姜は刺激が強くて、咥えることができない。
戻ってきたヒヨドリは
ごめん、見つからなかった
と項垂れた。
しかし2人ともわかっていた。
本当は風邪をひいた風を治す薬なんてないんだ。
方法はただ一つ。
お別れする事。
ヒヨドリは寂しそうに言った。
南の方に行かなきゃ行けないんだね…
リリーは
暑い夏と寒い冬があってこその私たち。
それぞれの四季を楽しんで、来年の再会を楽しみに待ちましょう。
そう言って微笑んで南の空に消えた。
本文ここまで 410文字
これはたらはかにさんの企画
毎週ショートショートnoteに参加したものです。
お題は、【風を治すクスリ】
まだ時々、秋の穏やかさと冬の寒さが行ったり来たりする日々です。
これじゃ、リリーも風邪をひきそう…。
喉を痛めている人も多いですね。
冬が嫌い、というわけではないけど、もう少し秋を感じていたかった。
でも乾いたから風が吹くようになったら、私のお楽しみ❤️
からっからにしておくれ!
早く食べたい、干し芋♪