放課後ランプ
放課後ランプ行こう
知美は、由美と真理に囁いた。
オッケー
学校から500mほど離れた所に、喫茶ランプはあった。
店の入り口には、ランプの形の電灯があり、中は薄暗い。
その暗さと立地からか、客は決して多いとは言えない。
3人は、秘密の話や大事な相談がある時などに、
よく喫茶ランプに行った。
マスターは無口な中年男性で実に愛想がない。
黙々とサイフォンでコーヒーを淹れている。
カウンターの常連客も無言でコーヒーを飲む。
そんなお店の一番奥のテーブルで、知美たちはクリームソーダを飲みながら、ヒソヒソ話をしたものだった。
卒業して3年半。
知美は教育実習で、母校にやって来た。
昼休みに廊下を歩いていると、
放課後バンブー行こう!
という声が聞こえて来た。
みると、3人の女の子が教室で話をしている。
知美は数日前、喫茶ランプがバンブーというカフェに変わった事を知った。
でも、ランプがバンブーに変わっても、あの日の光景は今も変わらない気がして嬉しくなった。
本文ここまで 410文字
これは、たらはかにさんの
♯毎週ショートショートnote
に参加したものです。
お題は「放課後ランプ」
ちょっと強引な感じになってしまったけど、卒業後に母校を訪ねた時、自分たちの思い出の場所で、当時の私たちのように語らい笑って過ごしている学生達を見て、甘酸っぱい気持ちになりました。