「〇〇したら××してあげる」という"交換条件付きの報酬"がどのような影響を与えるか?
子育てのシーンで「勉強したらおもちゃを買ってあげる」といったものだとか、仕事のシーンで「ノルマを達成したらボーナスをあげる」といったような「〇〇したら××してあげる」という"交換条件付きの報酬"によって人を動機付けるという行為に馴染みがある方も多いのではないでしょうか。
実はこの"交換条件付きの報酬"が、自然に出てくる内なる動機を阻害してしまうということをご存知でしたでしょうか?
ダニエル・ピンク氏の著書『モチベーション3.0』という本にも書かれていますが、単純労働や短期的利益のためには"交換条件付きの報酬"が効果を出すこともあります。
しかし、創造性が必要とされる仕事や長期的な利益をもたらす上では悪影響しかないということがはっきりと分かっています。
そのことを証明するためにとある実験をご紹介します。
1978年アメリカの心理学者は報酬を与えた場合の影響を調べるため、自由時間に絵を描いて過ごしている幼稚園児を以下の通り3つのグループに分けて、どのような結果になるのか実験を行いました。
一つ目のグループは"賞がもらえると分かっている"グループです。青いリボンと子どもたちの名前が書かれた賞状を用意し、予め「絵を描いてこの賞が欲しい?」と訊ねておきます。
二つ目のグループは"賞をもらえることを知らない"グループです。研究者は子どもたちにただ「絵を描きたいか?」とだけ訊ねます。
三つ目のグループは"何ももらえない"グループです。二つ目と同様に「絵を描きたいか?」とだけ訊ね、終了後に何も渡しませんでした。
2週間後研究者たちが自由時間を観察してみると"賞をもらえることを知らない"グループと"何ももらえない"グループは、実験前と同じぐらい熱心に絵を描いていました。
一方で"賞がもらえると分かっている"グループは実験前より絵に対する興味を大幅に失っており、絵を描く時間も格段に少なくなっていました。
つまり、内なる情熱としての"遊び"だったものが外的な魅力的報酬によって"仕事"に変わってしまったのです。
お分かりの通りこの実験は40年以上前のものです。
人は内なる情熱によって選択して行動し、他者と関係性を築いていきたいという生き物だということは間違いないでしょう。
ですが周りを見渡すといまだに古い考え、つまり"交換条件付きの報酬"のようなものがまだまだ残っているように思います。
新しい考え方が浸透していくためには、社会的なシステム自体が大幅にアップデートされる必要があるんだろうと思っています。
組織の新しいあり方については"ティール組織"という考え方があります。是非以下の記事も参考にしてみてください。
また『モチベーション3.0』を是非手に取ってみてほしいですが、時間がないよという方は以下の動画をご参照ください!