チューリップ柄の傘を買った、モテたくて。
今日の東京は雨だが、私は傘を持っていない。
家に傘を忘れたというわけではなく、そもそも家に傘が一本もないのだ。
数週間前に傘をなくした。数年以上使っていた、お気に入りの傘だ。高価なものではなかったが、自分の手に馴染みがよく、まさに雨の日のおともといえる傘だった。そんな傘をなくすなんて、その日の私はどうかしていたのだろう。
その日からというもの、私は出かけるたびに傘売り場に立ち寄り、新たなおともとなる傘を探した。目についた傘があれば広げ、全身鏡の前に立ち、その傘が自分に合っ