2020年ベストアルバム TOP50
前回書いた配信ライブに関する記事がありがたいことにnote編集部公式に取り上げていただき、これまで以上に大きな反響をいただきました。正直ここまで話題にしていただけるとは思ってもいなかったので、純粋に嬉しいですね。読んでくださった皆様ありがとうございます!
というわけで2020年のベストアルバムを選びました。ライブがほとんどない状況の中、多くのアーティストにより素晴らしい作品がリリースされました。個人的にはここ数年で一番ロックバンド、バンドサウンドが目立っていたように感じて嬉しかったですね。これからのロックシーンを担うであろう若手の台頭(とりわけUKの)もかなり大きいと思います。
それでは2020年特に好きだった50枚のアルバム(1枚だけEP)です。
50. Machine Gun Kelly『Tickets To My Downfall』
Green DayとかFall Out Boyを初めて聴いた時と同じようなエキサイトメントを覚え、やっぱりポップパンク好きだなと思わせてくれた一枚。
49. Dream Wife『So When You Gonna...』
衝動的なロックサウンドが特徴的だった1stと比べ、全体的にどこか"優しさ"を感じ、彼女らの進化を感じさせてくれました。
48. Mura Masa『R.Y.C』
前作から一転してギターを多く取り入れてかなりバンド色が濃く、こういう音楽も作れるのかとMura Masaの新たな一面を知りました。
47. Disclosure『Energy』
世界遺産のプリトヴィツェ湖群国立公園からのストリーミングライブがすごい熱量で度肝を抜かれましたが、アルバムもタイトル通りエナジー全開の内容でよかったですね。
46. Georgia『Seeking Thrills』
80sのエレクトロポップを彷彿させる多幸感溢れるサウンドが最高に踊れますね。今年フジロックに出演予定だった彼女ですが、延期となった来年も名を連ねて苗場を熱狂のダンスフロアに変えてくれるのでしょうか。
45. Moses Sumney『græ』
ソウルフルで甘美、そしてどこか荘厳さも感じさせるボーカルがとにかく圧倒的に素晴らしく、秒でその世界観にのめり込んでしまいます・・・
44. BLACKPINK『THE ALBUM』
Selena GomezとCardi Bの強力なゲスト参加を差し置いても、楽曲の洗練されっぷりは聴いてて本当にすごかった。近い将来BLACKPINKがフェスのトリを務める日が来てもおかしくなさそう。
43. BBHF『BBHF1-南下する青年-』
前身のGalileo Galileiをほとんど聴いてこなかったのですが、それでもこれほどの完成度の高さでコンセプチュアルなアルバムを作れる彼らの凄さを感じました。
42. Melt Yourself Down『100% YES』
個人的に2020年は一番ジャケットに惹かれて新しい音楽を聴くことが多かったのですが、このMelt Yourself Downもその一つ。ジャズ、ファンク、パンク、様々なジャンルをブレンドしながら綺麗にまとめあげてる良作。
41. IDLES『Ultra Mono』
パンクのエナジー全開のド直球なロックが最高でしたね〜全英チャート1位という結果も他の多くの若手UKバンドたちにポジティブな影響をもたらしたでしょう。
40. Yaeji『What We Drew』
BTSやBLACKPINKのような欧米ポップス路線だけでなく、チルでローファイな音楽を作れる逸材まで韓国にいたとは・・・
39. Arca『KiCk i』
アルバムのジャケットからしてかなりミステリアスな雰囲気だなと感じてましたが、音楽も同様で単にエレクトロと一言では形容し難い内容に酔いました。
38. Rolling Blackout Coastal Fever『Sideways To New Italy』
心地いいメロディ重視のギターポップと疾走感は、まさに青春の音楽の理想像そのものというべきものですね。
37. Dominic Fike『What Could Possibly Go Wrong』
フロリダ出身の若手ベッドルームアーティストの待望のデビューアルバム。ヒップホップをベースにSSW的要素も入れつつ踊れる曲揃い。1曲1曲が3分前後とコンパクトに収める感じが今時で良いですね。
36. Fiona Apple『Fetch The Bolt Cutters』
Pitchforkの10/10点を筆頭に各方面で大絶賛された一枚ですね。その音楽性に決して新しさはないものの、1曲1曲の圧倒的な完成度の高さは突出していました。
35. ラブリーサマーちゃん『THIRD SUMMER OF LOVE』
日本人の若手アーティストで90年代的な音楽を奏でる人がいたのかと、感動を覚えた一枚です。“UKロックやネオアコースティック、ローファイなどへの憧憬が感じられるロック・アルバム”を標榜しているのも納得。
34. Bruce Springsteen『Letter To You』
コロナですべてが変わってしまった世界でも、ボスの音楽は変わらず人々の心に希望を灯してくれました。やはり彼とE Street Bandのタッグは最高です。ボスの音楽に見せられた青年の青春群像劇「カセットテープ・ダイアリーズ(原題: Blinded By The Light)」は今年のベストフィルムの一つ。
33. BTS『BE』
今年のポップスシーンは終始彼らの話題で事欠きませんでしたね。個人的にも「Dynamite」でようやくBTSを初めてしっかり聴いたのですが、楽曲一つ一つの完成度の高さにかなり驚きました。
32. GEZAN『狂(KLUE)』
去年のフジロックで初めてライブを観てそのカッコよさに衝撃を受けたGEZAN。息が詰まるような音楽の中にある彼らからの問いかけは、多くのリスナーの心を射抜いたのでは。
31. boy pablo『Wachito Rico』
ノルウェー出身の新進気鋭のベットルームアーティストが織りなす極上のポップセンス。これがアルバムデビューとのことで、今後どのように化けるのか楽しみ。
30. Yumi Zouma『Truth or Consequence』
今年リリースされたドリームポップのアルバムの中では一番。透明感が本当に半端ないですね。
29. The Killers『Imploding The Mirage』
スタジアム映えするポップセンスはさすがの一言。こういうサウンドを聴くと余計にライブが恋しくなってしまいました。
28. Soccer Mommy『color theory』
インディーロック/ポップサウンドを鳴らす女性SSWはやはり最高だと改めて思わせてくれました。
27. Fleet Foxes『Shore』
1曲目から心が浄化されました。この手のサウンドを鳴らすインディ系では2020年屈指の完成度の高さでした。
26. 羊文学『POWERS』
個人的に邦楽で今年最も刺さった作品はこちら。澄み切ったサウンドとどこか儚げなボーカルが最高にマッチして美しい。邦楽で今一番ライブを観てみたいバンドです。
25. Taylor Swift『folklore』
ここ数年で最も多くの音楽好きを驚かせたサプライズリリース。ポップスター街道まっしぐらだったTaylorが原点であるカントリーミュージックサウンドに戻り、しかもゲストにBon IverやThe Nationalのメンバーとフリークもうなる内容でしたね。
24. GHOSTEMANE『ANTI-ICON』
ブラックメタルやインダストリアルにアプローチしたトラックメイキングが特徴の現代ヒップホップシーンの異才。過去一でメタルよりかつ凶暴で最高でした。来年スパソニでモッシュピットに揉まれながら聴きたい。
23. Phoebe Bridgers『Punisher』
これでまだセカンドアルバムなのが信じられないくらいです。ラストトラックの「I Know The End」、思わず鳥肌が立っちゃうくらい好きな曲です。
22. bdrmm『Bedroom』
イギリス・ハル/リーズを拠点に活動する5人組バンドのデビューアルバム。初期DIIVなどのドリームポップの影響を色濃く受けた、極上のシューゲイザーサウンドがたまりません。こういうのをフジロックで見たら頭蕩けそう。
21. Childish Gambino『3.15.20』
正直にいうと、このアルバム聴くまでは「This Is America」くらいしか知りませんでした。2曲除いてすべて秒数がタイトルだったり、全編通して不穏さがあったり、とにかく謎に満ちた空気感が魅力的。
20. NNAMDÏ『BRAT』
この異質感満載のジャケに惹かれて手を出してみたら、内容もかなり尖ったもので色々と衝撃を受けた一枚。
19. Tame Impala『The Slow Rush』
昨年はロックバンドとして久々のコーチェラヘッドライナーを務めた彼らの最新作は最もポップでダンサブル。合法トリップしたいので、来年フジロックのヘッドライナーリベンジして欲しいところ。
18. Dogleg『Melee』
今年多くでたギターロックの良作の中でも、ハードコアパンクに通ずる衝動的なアグレッシブさが強烈だったDoglegのデビューアルバム。次回作でどのように化けるのかが楽しみです。
17. kiwi jr.『Football Money』
ALVVAYSのBrian Murphyも在籍する、カナダはトロント出身の新進気鋭のインディーバンド。WeezerやDinosaur Jr.あたりの90sオルタナの影響を色濃く感じる最高のギターポップです。来年はあのSUBPOPからニューアルバムリリース!
16. The Weekend『After Hours』
コロナ禍で最も聴かれたであろうアルバム「Blinding Lights」のシンセだったり、「In Your Eyes」のサックスソロだったり、80s感満載の要素や全体的にどこかダークな作風が単純に好きでした。
15. Yves Tumor『Heaven To A Tortured Mind』
初期のRoxy Musicみを感じるいかにもグラムロック間のあるギラギラしたロックサウンドながら、Radioheadにも通ずるどこか先進的なものを感じる雰囲気が絶妙です。
14. Poppy『I Disagree』
原宿系の「可愛い」に魅せられた美少女がヘヴィメタルと出会うと、最高に狂ったポップミュージックが誕生した・・・ BABYMETALとはまた違いカオスな曲展開もあったりして、聴けば聴くほどハマるスルメなアルバム。個性的なバンドを数々輩出してきたメタルコアの名門、Sumerian Recordsからのリリースというのもナイス。
13. The Strokes『The New Abnormal』
The Strokesの7年ぶりの新作、その響きだけでもう心が踊りましたね。「Bad Decisions」聴いた時はなんか涙出そうでした。ハイネケンを片手に「Eternal Summer」を苗場で聴きたかった2020年の夏よ・・・
12. HAIM『Women In The Music Pt.Ⅲ』
名実ともに今最も勢いのあるガールズバンドの傑作ですね。HAIMの音楽は時折感じる70年代ぽさが最高にたまらないです。
11. Hello Forever『Whatever It Is』
Beach Boysの”Pet Sounds”やThe Beatlesの"Magical Mystery Tour"あたりの60年代テイストのサウンドを現代風に昇華した感じがツボでした。これがまだデビューアルバムとのことで早くも次が楽しみです。
10. Kevin Krauter『Full Hand』
某レコード屋さんの店頭で「まるでOasisの"Whatever"を初めて聴いたときの感動に似ている」的な紹介をされていたのを見て聴きましたが、まさにその言葉通りでした。山下達郎や大貫妙子など日本のシティポップ的メロディと90sのシューゲイザー/ギターポップを掛け合わせると、こんなに最高な音楽が出来上がるなんて・・・
9. Run The Jewels『RTJ4』
「BLACK LIVES MATTER」のムーヴメントが世界中に広がり加熱していくというタイミングでリリースされた2020年のヒップホップの傑作。普段ロックを聴くことが多い自分ですが、このアルバムはとにかく全体を通して熱量がすごくて圧倒されました。
8. Sorry『925』
今年デビューを果たした新人バンド勢の中で特に異彩を放っていたのがこのサウスロンドン出身のSorry。グランジ・パンクを軸としつつも、そのサウンドには様々な音楽ジャンルの要素が混ざっていて、聴きやすくもどこかミステリアス。それにしてもサウスロンドン出身のバンド/アーティストはどれも個性が光っていて毎度聴くたびに楽しいですね。
7. Bring Me The Horizon『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』
前作までのメロディアスな路線は踏襲しながらも、初期の激しさを戻してきた原点回帰的な作品。学生時代はメタルコアの世界に浸かっていた人間である僕の心を完全に鷲掴みにしました。BABYMETALとのコラボも彼女たちのことが大好きなBMTHだからこそ、あそこまでレベルの高い楽曲にできたのでしょう。
6. Rina Sawayama『SAWAYAMA』
ロンドンをベースに活躍する日本人SSWが、今年ついにDIRTY HITからリリースした待望のデビュー作。宇多田ヒカルや椎名林檎など彼女のルーツであるJ-POPに加え、欧米ポップス、時々ニューメタルチックなギターを織り交ぜた唯一無二のサウンドは、良い意味でどこかカオスさも感じます。自身の経験やバックグラウンドを踏まえたメッセージ性の高い歌詞も、混乱を極めた今の状況に刺さりましたね。
5. Sports Team『Deep Down Happy』
今の時代にSports Teamのようなバンドのアルバムが上位に食い込んでくるのってやっぱり嬉しかったですね。彼らの音楽のような思わず踊りたくなるロックンロールサウンドを自分も求めていました。それまで出していた曲の数々もやばかったですが、その勢いのまま最高のデビューアルバムを世に出してくれました。日本に興味津々なメンバーがいるようなので、コロナ禍が終息した際には是非とも来日して欲しいです。
4. beabadoobee『Fake It Flowers』
今年は90sノスタルジーを感じるサウンドを奏でるアーティストが多いなと個人的に思っていましたが、beabadoobeeは特にずば抜けていましたね。かなりの回数リピートしました。Smashing PumpkinsやSonic Youthに影響されたオルタナロックサウンドに、ベッドルームポップ譲りのメロディラインをのせて現代風に昇華したサウンドはもちろん、彼女のボーカルとファッションセンスもピカイチ。
3. Fontaines D.C.『A Hero's Death』
Fontaines D.C.は次世代ロックシーンの代表格として間違いなくこれからもっとビッグになる、そう感じさせてくれた前作からほぼ1年ぶりとなる2ndアルバム。ガレージロックの影響をモロに感じるサウンドはさらに進化をし、退廃的でありながら奥行きの深さも見せてくれました。今年フジロックで見ることを最も楽しみにしていただけに、延期となった来年のラインナップにも名を連ねて欲しいところです。
2. BLACKSTARKIDS『Whatever, Man』
今年一番の僕個人の音楽的な出来事は、間違いなくBLACKSTARKIDSと出会ったことですね。The 1975のMattyにもその才能を認められ、DIRTY HITファミリーの一員となったカンザスシティの3人組。ヒップホップ、インディーロックを独自のフィルターをかけて融合したそのサウンドは、ジャンルレスな若手アーティスト勢の中でもピカイチのセンス。2020年は『SURF』とこの『Whatever, Man』の2枚のアルバムを出すという底知れぬクリエイティビティを持つ彼らの次の一手が早くも待ち遠しいです。
1. The 1975『Notes On A Conditional Form』
衝撃度で言えば前作『A Brief Inquiry Into Online Relationships』ほどではありません。しかしながらそれを差し置いても、正直1位はこれ以外考えられませんでした。リリースまでのワクワク感と、バラエティに富んだ名曲揃いの内容の完成度、僕の中ではぶっちぎりでした。5月22日の真夜中に多くの音楽好きの方と熱狂しながら聴いたあの瞬間はまさに至福そのもの。「Music For Cars」という一時代がフィナーレを迎え、MattyのソロプロジェクトとしてのDrive Like I Doが間も無く本格始動するかもということもあり、しばらくThe 1975としての新作はなさそうなのが寂しいですが、来年のSUPERSONICはNOAFCの楽曲たちを生演奏で聴けると信じて止みません・・・
以上、個人的2020年ベストアルバムトップ50でした!
今年1年は本当にコロナが世界を一変させてしまい、ライブも全く行けない状況に嘆いてばかりいましたが、個人的にはコロナの自粛期間をきっかけに音楽アカとしてTwitterを再開させたり、noteに挑戦したりすることで、混乱する中でも少しでも充実した音楽ライフを送れたかなと思います。
来年も素晴らしい音楽たちに出会えますように、そしてどうか僕をライブにフェスに行かせてください・・・
良いお年を!