【ガートナー】先進テクノロジのハイプサイクル2018年版 が発表されました #ハイプサイクル
先日、ガートナー社が「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2018年」を発表しました。
ハイプサイクルとは、テクノロジーの普及度やトレンド遷移を示すガートナー独自の図で、
テクノロジー普及のプロセスを、黎明期、過剰な期待のピーク期、幻滅期、啓蒙活動期、生産性の安定期の5段階に分け、
各テクノロジーをグラフ上にプロットしたものです。
ガートナー社の唱えるハイプ・サイクルの目的は、現実から誇張(ハイプ)を切り離すことにより、CIOやCEOが特定技術の採用可否を判断できるようにすることである。(Wikipedia)
ハイプサイクルは、毎年、分野や地域ごとにいくつかの種類が発表されますが、
今回発表されたのは、その中でも最も注目度が高い先進テクノロジー版であります。
↓正式なプレスリリースはこちら↓
・ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2018年」を発表 - 人とマシンの境界を曖昧にする5つの先進テクノロジ・トレンドが明らかに - 2,000を超えるテクノロジから重要な知見を抽出(PDF/日本語版)
↓英語原文はこちら↓
2018年版では、2,000を超えるテクノロジーを分析した上で知見を抽出した上で、35のテクノロジーがピックアップされています。
さらに、以下の5つをトレンドとしてまとめています。
1. AIの民主化
2. エコシステムのデジタル化
3. DIY (自己流) バイオハッキング
4. 透過的なイマーシブ・スペース
5. ユビキタスなインフラストラクチャ
では、簡単に要約しつつ、気になった点についてコメントしていきます。
1. AIの民主化(Democratized AI)
AIテクノロジーは、今後10年間でほぼどこにでも存在するようになり、
クラウドコンピューティングや「作り手」のコミュニティ、オープンソースといった動向やトレンドが発展し、最終的にAIは誰もが使えるものになるでしょう。
AI PaaS、汎用AI、自律走行(レベル4/5)、自律モバイル・ロボット、会話型AIプラットフォーム、ディープ・ニューラル・ネット (ディープ・ラーニング)、空飛ぶ自律走行車、スマート・ロボット、仮想アシスタント
最近、少しブームが落ち着いてきた印象ではありますが、それでもやはりAI(人工知能)は外せないでしょう。
ディープラーニング(深層学習)は、昨今のAIブームの火付け役のひとつであり、非常に注目されているテクノロジーですが、「過度な期待」のピークにあるというのは確かに事実だと思います。
一方で、正しい認識も広まりつつあり、環境・リソースもかなり整ってきているので、今後5年以内に成熟するというのも、また事実でしょう。
会話型AIプラットフォームも、スマホやスマートスピーカーに搭載されている音声アシスタントが既に広く実用されているようにも感じますが、本領を発揮するのは、5G通信とスマートグラスが一般的になってからだと思っています。
自律走行車は、実地テスト含め、この1,2年で一気に研究開発が加速していますが、倫理面含め、まだまだハードルは多そうです。
車だけでなく、道路や街そのものから作り変えることも必要かもしれません。
また、「空飛ぶ自律走行車」は一瞬ネタかと思いましたが、どうやら有人ドローン(※ドローンは「無人航空機」のことなので、この表現は適切ではないが、まだちょうどいい日本語が無い)を指しているようです。
完全にSFの世界ですね。
2. エコシステムのデジタル化(Digitalized Ecosystems)
先進テクノロジを実現するための基盤が、十分な量のデータ、高度なコンピューティング・パワー、ユビキタスに対応したエコシステムを提供します。
ブロックチェーン、ブロックチェーンによるデータ・セキュリティ、デジタル・ツイン、IoTプラットフォーム、ナレッジ・グラフ
「エコシステム(生態系)のデジタル化」、非常に漠然とした分かりにくい表現ですね。
コアになるのは、ブロックチェーンとIoT(モノのインターネット)のようです。
つまり、あらゆるヒト・モノ・カネ・データがクラウド上のデジタル基盤プラットフォームに接続され、そこに集まる膨大な量のデータが、高度なパワーを有するコンピュータによって処理されることで、
世界中に遍在するあらゆる存在がなめらかに繋がるネットワークを形成し、アナログとデジタル・人とマシン・ソフトとハード、それらの境がどんどん曖昧になっていく、
そういった「ユビキタス社会」を実現するエコシステムが、今後5~10年で成熟しつつあるということでしょう。
3. DIY (自己流) バイオハッキング(Do-It-Yourself Biohacking)
バイオハッキング (遺伝子実験)は、「テクノロジの強化」「ニュートリゲノミクス (栄養ゲノム学)」「実験生物学」「グラインダーによるバイオハッキング (人体への電子機器の埋め込み)」という4つのカテゴリに分類される。
今後10年で、生活スタイル、関心事、健康上のニーズに応じて、一般市民が個人レベルでバイオハックできるようになる。
バイオチップ、バイオ技術 (培養組織/人工生体組織)、ブレイン・コンピュータ・インタフェース、拡張現実 (AR)、複合現実(MR)、スマート・ファブリック
いずれ訪れるであろうシンギュラリティ(技術的特異点)に向けて、
特に大きな影響をもたらすと言われているのが、AI/ロボティクス・バイオテクノロジー・情報システム・ナノテクノロジー の4つのカテゴリです。
その一つであるバイオテクノロジーが、10年ほどの間に、DIYレベルで日常に入りこんでくるだろうというものです。
つい先日、NewsPicksでも遺伝子特集が組まれていましたね。
どの記事も、とても面白かったです。
ARやMRがここに分類されているのは、ちょっとよく分かりません。
人間の五感をハックするからでしょうか。
また、2017年のハイプサイクル(下図)で安定期にいたVR(仮想現実)が、今回は圏外になった点も非常に興味深いです。
個人的には、まだまだこれから面白くなるところだと思っているんですが。
4. 透過的なイマーシブ・スペース(Transparently Immersive Experiences)
Immersiveは、「没入型の」という意味です。
テクノロジーは、今後もさらに人中心の原則にのっとったものとなり、人・ビジネス・モノが透過的に関係するレベルに至ると思われます。
テクノロジーの適用範囲が広がり、我々が活動する生活空間やワークスペースがスマート化されます。
4Dプリンティング、コネクテッド・ホーム、エッジAI、自己修復システム・テクノロジ、シリコン負極電池、スマート・ダスト、スマート・ワークスペース、立体ホログラフィック・ディスプレイ
我々の日常的な生活空間、ないしはワークスペースに、透過的、すなわち、もはや特別に意識しないような形で、ごく自然にテクノロジーが溶け込んできます。
注目したいのは、エッジAIです。
従来のクラウドコンピューティングを用いたAIでは、エッジ(端末)側のインプットをクラウドにアップロードし、クラウド側のAIエンジンで処理をして、エッジ側に返すという形が一般的でした。
GPU等の進歩によって、エッジ側に小型で十分高度なAIを搭載できるようになると、クラウドとのやり取りを待つことなくエッジ側で処理をしてしまって、
クラウド側には学習に必要な最小限の加工済みのコアデータのみを送る、というような設計が可能になります。
何をエッジで処理し、何をクラウドに置くのかというのは、今後のIoT関連テクノロジーにおけるポイントの一つになると思います。
また、立体ホログラフィック・ディスプレイといえば、最近量産モデルが販売開始されたGateboxに未来を感じます。
一度体験してみたいです。
また、ガートナーのお気に入りなのが「スマートダスト」です。
2003年に初登場、その後も、13, 15, 16, 17年のハイプサイクルで毎回同じくらいのポジションにいて、今年も安定の4年連続出場となりました。
とても面白い概念ではあるのですが、さすがに一旦スタメンから外してしまってもよいのでは、と思います。
5. ユビキタスなインフラストラクチャ
クラウド・コンピューティングとそれに類する多くのテクノロジーが登場し大衆化したことで、時間を問わずに利用可能な、制限のないインフラストラクチャ・コンピューティング環境が実現した。
5G、カーボン・ナノチューブ、ディープ・ニューラル・ネットワーク向けASIC、ニューロモルフィック・ハードウェア、量子コンピューティング
これ、2の「エコシステムのデジタル化」と一緒にしちゃっていいと思うんですけどね…。
掴みどころのない難しいワードを使って、同じようなことを繰り返し説明しがちな年頃なんでしょうか。
同時多接続や低遅延といった特徴を持つ次世代通信「5G」は、日本でも2020年の実用化を目標に動いています。
果たして、どれほど我々の生活が変わるのか、ほどよく期待しながら待ちたいと思います。
以上、ざっと見てみましたが、まとめるなら、
「SFのような高度なテクノロジーがごく自然に日常生活に溶け込み、人と機械の境界が曖昧になったユビキタスネットワーク社会が到来する」といったところでしょうか。
今後も、こうしたテクノロジーの動向を常にチェックしながら、
数年後を見据えて半歩先に行動し、ビジネスにも上手く取り入れていければと思います。
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