予言書~もしキミがスタートアップに入社したら~
ベンチャー/スタートアップで働く上で事前に知っておくと少し心が楽になる話し
※過去の経験を元に記載しているため、個人の見解がふんだんに盛り込まれています。ですので、全てを鵜呑みにする必要はないです。
ただのノンフィクションです。設立間もない会社で働くうえで、事前に知っておくと少しはイイ事あるかな?と思いましたのでシェアします。
1.組織や理念がちょこちょこ変わる
理念がちょこちょこ変わるというのは、勘違いしてほしくないのですが、代表が実現したいビジョンや会社の理念は根本的には変わらないです。ただ、それをより社会や従業員に伝えるように表現を変えていくことは、組織が大きくなるに連れて起きてくる現象です。
2.サービスの提供価値と顧客期待のギャップ
業績が急拡大するとそれが嬉しい反面、その拡大がトレードオフになって「顧客期待と、サービス価値の乖離」やそれが生む「顧客期待への対応不安」が大きくなります。どういうことかと言うと、「こんなに急いで成長する必要があるのか?」という疑問が生まれます。
そして、それがさらに進化すると「自分はもっと顧客に向き合いたい(=速度よりも質を大事にしたい)」という論に進化し、結果としてやりがいの喪失につながります。
しかし、スピードを落とせば質が上がる訳でもなく、逆に言えば、スピードを落としたベンチャーに待っているのは死のみです。
大事なことは「高いスピードの中で、顧客期待との乖離を埋め続ける=チャーンレートを意識する」という地道な作業だけです。
3.会社の理念と日々の作業とのギャップ
事業が加速度的に成長すると、全員が恐ろしいほどに忙しくなります。
そうすると、自分がいま担当している「地道な作業」と会社が掲げている「理念」が繋がらずに「私は、いま何の為に、何を頑張っているだろう?」と迷子になるメンバーがあらわれます。
しかし、どんな事業も最初から理想的な価値を提供するなどありえません。
大きな未来に向けて1つ1つレンガを積み上げて行くからこそ、気がつけば、他社を圧倒するレベルのサービスが提供できます。
「世界中を繋げる」といっている FaceBookも最初は大学内の学生名簿からのスタートです。それが、他の大学にも広がり、世界に広がり、色々な機能が増え、今に至ってます。
未来と現実のギャップを、日々の努力で埋めて行くこと。これが事業の本質だと思います。
4.知らないことが生む不信
メンバーが増え、オフィス等も物理的に離れると単純にお互いの相互理解が薄まります。
相互理解が薄まった状態というのは想像以上にやっかいです。(まじで)
例えばですが、最近飲み会に参加しなくなったメンバーがいたとして、その理由が奥さんの出産が近いからと知っているのと、いないのではそのメンバーに感じる印象は異なると思います。
知らなければ、飲み会に参加しなくて、付き合いが悪いとか、不要な不信を芽生えさせます。
要するに、人の言動なんてその背景次第で捉え方がいかようにも変わるモノなので相互理解が減ると、特定の言動だけを切り取って、「あの人はこうだ」とか「あのサービスはこうだ」とか「考え方が合わない」等と不信に繋がり、
最終的にはその人物やサービスへのレッテル貼りに繋がります。
組織がぎくしゃくしたり、仲が悪くなったりするのは、だいたいこのケースな気がします。
5.成長が生む勘違い
大手企業からしたらまだまだな企業にもかかわらず、社内の達成率や成長率に目が取られて勘違いし、結果、慢心を生んだり、仕事が雑になります。その結果、クレームが増え、火消し対応に追われ、足下をすくわれます。忙しいは相手に関係ないですし、俺らスタートアップだからと無意識な言動も避けましょう。小さな組織は、一人一人が会社のブランディングをする必要があります。
6.新メンバーと旧メンバーの対立構造
続々と増え続ける「優秀な中途採用メンバー」に対し、素直な負けん気と、ライバル意識で戦えれば問題ないのですが入社順や、現状の役割といった要素が素直さを邪魔して、対立構造が起きがちです。
本来は、優秀な仲間と切磋琢磨できる環境ほど自身にとって理想的な成長環境は無いし、優秀な仲間が、自分の乗っている船の勝率を上げてくれることほど人生が加速する事も無いはずなので、このような状態は、単純に視座が下がっているだけです。
中小企業の椅子とりゲームなんて、本当に意味がないです。
7.スピード重視の採用とビジョン浸透の希薄化
事業が伸びて採用枠が増え始めると、事業の進捗を優先するあまりに転職者の履歴書上のスペックだけで「えいや!」と採用してしまう事が往々にしておきがちです。結果、ビジョンや事業への共感度の低いメンバーが増え、組織の熱量や一体感が一気に低下します。
そうすると、組織全体がネガティブな雰囲気に飲み込まれていく可能性があります。
まだ事業が伸びていれば救われるのですが、事業が苦境に立った際に、ビジョンへの共感が無い社員は、例外無く辞めます。
そして次々と、船を降りて、雑に辞めて行く社員たちを見て当初の社員たちも大きく傷つきます。これは絶対に避けなければいけない事態です。
8.ミドルマネジメント不足
これが人材リソースの少ない多くのスタートアップにおいて一番のやっかいごとです。要するに、今までは「経営陣+メンバー」という2階層構造だった組織が、人数が増え2階層構想だとどうしても目が届かなくなる中で、経営陣の意思やビジョン、戦略を理解し、自分の言葉で語り、現場で意思決定をするミドルマネジメントが居るかどうか。これが、成長期を乗り越えられるか失速するかの、一番の分かれ道だと思いました。
↑より:理想のマネジャーは「リーダーシップが高い」「傾聴力が高い」「後ろ盾になってくれる」
9.現状維持バイアスとの戦い
根本的に、人は変化を嫌う生き物です。その変化が、本当であれば望ましいものであっても、感情的には変化を避けるのが人間です。
スタートアップは、メンバーの数や顔ぶれはもちろん、組織の雰囲気や文化、数字や業績への意識、お互いの関係性、働くオフィスなど、多くのモノが変化します。
その時に気をつけなければいけないのが、
特に理由もなく「昔のほうが良かった」「いつの間にか変わってしまった」
というネガティブな感情を生まないことです。
喜んで変化し、楽しむ精神的な強さを持てるマインド。これが大事。
10.おわりに
作成したきっかけは、スタートアップに挑戦する人や新しいアイデアを形にしていくフェーズを理解して、楽しんでもらえる人達が増えればいいなと思ったからです。
あと前職では、スタートアップがどういう環境か分からずに入社し、入社前後でのギャップが大きいメンバーがいたので、早期にそのギャップを埋めたいなとも思いました。
MKSは事業特性上、案件によって働く環境や求められる事が違いますが、新規事業を支援している立場であると同時に、当社もスタートアップだという認識と理解を事前にしておくと、苦しまずに済むのかなーと思いシェアします。
冒頭でも述べましたが、個人的な見解が多く盛り込まれているので、共感出来ない方もいるかもしれません。スタートアップってそういうかんじなんだ~と少しでも知るきっかけになれば幸いです。