山東京傳『新造圖彙』 「魚蟲」飜刻・句讀
このツイートの画像を本に飜刻しました。不明な所は一箇所(文魚)有る爲、有識者求む。
魚蟲(ぎよちう)
【飜刻】
きよちうはうをとむしの事也色男のきたばんは
うをと水のごとくいやなきやくの来たはんは
むしがいたふおつすといふ客は又むしがいゝと云
【句讀】
魚蟲は魚と蟲の事也。
色男の來た晚は魚と水の如く。
嫌な客の来た晚は蟲が甚くおっすと言ふ。
客は又蟲が良いと云ふ。
金鯱(きんのしやちほこ)
【飜刻】
江戸ッ子は
この魚を
にらんで
うまるゝなり
【句讀】
江戸っ子は此の魚を睨んで產るる也。
鯨(くじら)
【飜刻】
此帯(おび)も
この
ころは
すたつた
【句讀】
此の帶も此の頃は廢った。
文魚(ぶんぎよ)
【飜刻】
やまとの國より
出るうを也
くらへははんくわ
通のくすりと成
どこへ出しても
壹國遣ひの魚也
【句讀】
大和の國より出る魚也。
食らへば半可通の藥と成る。
何處へ出しても一國遣ひの魚也。
干鱈(ひたら)
【飜刻】
うは手な
やつに
つかふ
もの也
【句讀】
上手な奴に使ふ物也。