中島敦と松本清張。
今朝の中日新聞に中島敦の「山月記」の特集がされている。
「山月記」は芥川龍之介の「羅生門」夏目漱石の「こころ」森鴎外の「舞姫」と並ぶ教科書の定番四天王で、生徒が最も印象深く覚えている小説は「山月記」なのだそう。
私も高校生の頃に出会って、今までにない疾走感と漢詩のように研ぎ澄まされた文体に衝撃を受けて、一見難しそうなんだけど、綺麗なお水のようにスルスルと自分の中に流れ込んできて、染み渡っていき、「なんだこれ!なんだこれ!」と中島敦の作品を読み漁った記憶がある。
「懐かしいな」と思いながら記事を読んでいたら中島敦と同じ年(1909年)生まれの文豪が紹介されていた。
太宰治
大岡昇平
松本清張
埴谷雄高
だそうだ。
え?
松本清張タメ?
え?
「黒革の手帳」の人だよね?
え?
私の中では松本清張は最近の人で、中島敦は歴史上の人物に近い人。
まさか同じ年生まれとは思っていなかった。
中島敦はデビューした1942年に持病の喘息亡くなっている。享年33。
対して松本清張は1992年に82歳で亡くなったのだそう。
どちらの作品がどうとか、どちらの人生がどうとかということを抜きにして、すごく遠く離れた2人のような気がしていたが、まさか同い年とは。
長く生きるとは幾つもの時代に痕跡を残せるということなのかも知れない
私の人生はいつまで続くのかは分からないけれど、何をどれだけ残せるのだろうか。
何事もゆっくりな私のやれることは僅かだろうから、出来るだけ長生きをしながら自分をハッピーにさせつつ周りの人を幸せにしたい。
そんなことをぼんやりと考えた日曜の朝。
ゆったりと蒸らして淹れたコーヒーは香ばしく甘い香りだった。