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専門の先生に若い人の甲状腺がんに内視鏡手術をお勧めしない理由をお聞きしました
① 実施施設は限られる
海外では内視鏡手術は広まっていませんし、国内でも実施しているのはごく一部の施設だけです。一般的に広く普及した手術方法ではありません。
② 通常の手術より実は侵襲が大きい。
内視鏡手術は、一般的には皮膚を切ったり剥離したりする範囲を小さくすることによって体への負担や痛みを小さくし、手術後の回復を早くするために行われることが多いです。甲状腺は首の皮膚のすぐ下にあります。ですから、通常の手術では皮膚を切開したら間もなく甲状腺が出てきます。ところが、内視鏡手術では、甲状腺から遠いところ(鎖骨の下や、腋の下)から内視鏡を挿入し、離れたところにある甲状腺まで剥離をしながら到達するので剥離範囲がより広くなります。また、当然のことながら通常の手術より手術時間が長くかかります。剥離範囲が広くなると、痛みが増強したり違和感が残ったりする可能性高まり、かえって術後回復が遅れることもあります。
③ 傷口が必ずしもよりきれいになるとは言えない。
内視鏡手術では、傷口は服に隠れる部位であるので確かに目立ちにくいです。首が短い、乳房が大きいなどの場合、内視鏡手術でもかえって傷が目立つこともありますが、これを術前に予測し対処することは難しいです。ご意見を伺った先生は、「多数の症例を経験されたベテランの先生に通常の手術をしてもらうのが一番傷口がきれいになる」とおっしゃっていました。
④ 再発のリスクが高くなる可能性がある
若年者の小さな甲状腺がんの場合、術後の再発が非常に多いので(50%以上とする論文もある)転移している可能性があるリンパ節をきちっと取り除く(郭清と言います)必要があります。通常の手術では直接リンパ節を見ながら郭清できますが、内視鏡手術ではこれができません。したがって、内視鏡手術は再発のリスクをさらに高める可能性があります。